【開催レポート】【早稲田大学×東京メトロ×環境ロドリゲス】アップサイクル・ワークショップ ─ 廃材に新たな価値を。未来のサステナビリティを考える ─
WAVOC学生スタッフリーダー(SSL) 今泉 栞花
2025年12月13日(土)、GCC Common Room(27号館・早稲田キャンパス)にて、『【早稲田大学×東京メトロ×環境ロドリゲス】アップサイクル・ワークショップ』を開催しました。
本ワークショップは、東京メトロの鉄道事業において実際に発生する廃材・廃品を題材に、アップサイクル(=廃棄予定のものに新たな価値を与え、別の製品として価値を高めて生まれ変わらせること)の視点から、参加者がチームでアイデアを考え、提案するプログラムとして実施しました。開催にあたっては、東京メトロおよび学生サークル「環境ロドリゲス」の皆さまにご協力をいただきました。
ここからは、当日のワークショップの様子をご紹介します。

東京メトロによる概要およびサステナビリティの取り組み紹介
はじめに、東京メトロ サステナビリティ推進部の高平真菜さんより、首都圏の鉄道ネットワークを支える企業として、安全・安心で快適な輸送サービスを提供し続けるという理念や、地下鉄の歴史、事業規模についてお話しいただきました。
続いて、サステナビリティに関する取り組みとして、鉄道が走行中に排気ガスを出さない特性を踏まえた省エネ車両や高効率機器の導入、路線によっては再生可能エネルギー由来の電力活用を進めていることが紹介されました。2050年度のCO₂排出実質ゼロを目指す方向性も示され、環境に配慮した事業運営が着実に進められていることが伝わってきました。
また、制服や座席カバーを活用したアップサイクル製品、車両素材のリサイクルなど、具体的な事例も共有されました。当日は、実際にアップサイクルの対象となる制服や座席カバー、電子基板なども用意され、参加者が素材に直接触れる機会が設けられました。さらに、廃食用油を原料としたSAF(持続可能な航空燃料)関連の取り組みや、遺失物のビニール傘を活用したアート企画など、多角的な視点からの取り組みも紹介されました。
学生サークル「環境ロドリゲス」活動紹介
続いて、学生サークル「環境ロドリゲス」の堀行大智さんより、団体の活動紹介が行われました。「学生が主体となって、多様なアプローチから環境問題の解決に貢献する」という理念のもと、里山、教育、海洋、地域活性、プラスチック、商品開発など、複数の部門に分かれて活動していることが説明されました。今回ご協力いただいたRe:coverの皆さんは、廃材や古着を活用した制作や各種ワークショップへの出展に取り組んでおり、今回のワークショップにおいても参加者の心強い伴走者として加わってくださいました。
ワークショップの実施
説明の後は、いよいよチームごとのワークショップです。テーマは、「廃材に新たな価値を。未来のサステナビリティを考える」。東京メトロの皆さんに実際に役目を終えた廃材を持参いただき、参加者はそれらに直接触れながら、チームごとにアイデアを出し合いました。
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グループワークの時間は約50分間。限られた時間の中で、参加者が互いに協力しながら、着想したアイデアを「新たな価値を生み出す製品提案」へと発展させていきました。
各チームの提案内容
こうらくえんチーム:「COVER METRO」
こうらくえんチームは、乗客の電車内での小さな困りごとを解決する(カバーする)という思いを込め、「COVER METRO」と題し、騒音を軽減する耳あて「SOUND METRO」と、つり革部分を覆う「CLEAN METRO」の2点を提案しました。座席シートの端材を素材とし、カプセルトイとして販売展開することで、購入体験も楽しめるアイデアが盛り込まれていました。
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スーパーカップチーム:「メトっパ」
スーパーカップチームは、座席シート端材を活用したスリッパ「メトっパ」を提案しました。東京メトロが展開するホテル関連事業に着目し、定期的に発生する廃材をアメニティとして活用することで、環境負荷の低減と記憶に残る体験の両立を目指す内容でした。
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気ままに散歩チーム:「モバイルバッテリーケース」
気ままに散歩チームは、座席シートの難燃性を活かした「モバイルバッテリーケース」を提案しました。発火事故への不安を軽減することを目的とし、制服のボタンを留め具に使用するなど、素材の背景が伝わるデザインも特徴でした。内側に耐火素材を用いる案も示され、社会的意義の高い提案となりました。
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空気輸送チーム:「ヘルメトロ」
空気輸送チームは、「アップサイクル×防災×教育」をテーマに、防災頭巾「ヘルメトロ」を提案しました。平時は座布団、災害時には頭を守る防災用品として使える点が特徴で、学校現場での活用を想定した、防災教育につながる提案がなされました。
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結果発表・講評
全チームの発表終了後、参加学生、東京メトロ、WAVOCによる投票を行いました。その結果、1位は気ままに散歩チームの「モバイルバッテリーケース」に決定しました!いずれのチームも完成度が高く、非常に接戦となりました。
講評では、東京メトロ サステナビリティ推進部 課長補佐の大西壮馬様より、各チームのアイデアに対して具体的かつ丁寧なコメントをいただき、「想定していなかった着眼点が多く、限られた時間の中でも有意義で勉強になった」との総評をいただきました。また、鉄道事業の使命と事業運営に伴う廃棄物発生という現実の両面に触れつつ、「アップサイクルを通じて、企業が抱える課題を自分ごととして考えてほしい」とのメッセージが参加者に送られました。
参加者の声
以下に、参加者の声をご紹介します。
・何よりも素材に触れられたことがとても良かったです。チームでは、さまざまなアイデアを出すことができましたが、現実的な観点から一つに絞り込むのは思ったより大変でした。多様な背景を持つメンバー同士で意見をすり合わせる経験は、とても貴重な学びになりました。
・端材の良さをどう活かして日常で使えるものにするかを考えるのが楽しかったです。一方で、収益性や実現可能性を考えることの難しさを実感しました。東京メトロのサステナビリティの取り組みはとても魅力的だと感じました。普段何気なく過ごしている生活の中にも多くの工夫があることに気付きました。
・他の方と協働的に活動することで、正解が一つではない課題に対し、他者と意見を出し合いながら、自分にはない視点で物事を捉えることができました。これまでは環境問題には大きな転換が必要だと考えていましたが、市民の手に届くアップサイクル商品をより普及させることで、資源を大切に使うだけでなく、市民の環境意識の向上にもつながると気づきました。
・主体的に意見を出す機会が多くあり、学生という立場を超えて、社会の一員として問題解決に関わる感覚を得られたことが印象に残っています。特に企業の立場として考えることで、答えのない課題に対してどのように向き合い、現実的な視点から具体的に解決していくかを学ぶことができました。
・(立教大学参加者)他大学のイベントに参加する機会がなかなかないため、とても貴重な時間でした。

まとめ
本ワークショップでは、東京メトロの廃材を題材に、アップサイクルを通じて新たな価値を生み出すことの可能性について、チームで議論を行いました。環境問題はどうしても大きなテーマとして捉えがちですが、実際に廃材に触れながら検討することで、環境問題を身近な課題として向き合うきっかけになったと感じます。
改めて、本ワークショップの開催にあたりご協力いただきました東京メトロの皆さま、環境ロドリゲスの学生の皆さま、そしてご参加いただいた皆さまに、心より感謝申し上げます。














