第3回 「きのしたベーカリー」インタビュー
ー実習演習科目「狩猟と地域おこしボランティア」2024年度秋学期ー
大西直輝(文化構想学部4年)
「きのしたベーカリー」は、木下夫妻が経営している丹波山村のパン屋さんだ。このお店の開店の経緯や想いについて、店主の木下美佐さんに話を伺った。

キャプション「きのしたベーカリー」外観
〇「きのしたベーカリー」が開店したのは2017年11月とのことですが、開店の経緯を教えてください
夫は丹波山村役場に、私は歯科診療所に勤めていました。元々、私は趣味でパンを焼いていて、焼きたてのパンを知り合いの人におすそ分けするとすごく喜ばれたんです。だから、こういう小さい村で、焼きたてのパンをみなさんに食べてもらいたいな、という思いで「きのしたベーカリー」を始めました。
〇どのようなパンがよく売れますか
小さい村という場所柄、派手な、奇をてらったようなパンよりは、ほっとして食べていただけるようなパンが喜ばれます。「食べたい」と思われて選ばれるパンって、決まってるんですよね。だから、定番のメニューはそのままに、あとは季節に合わせてパンを何種類か変えています。一番売れるのは塩バターロールです。あと、意外とエリンギのおやきも売れますね。最初は季節商品だったんですけど、あまりにも買いに来てくださる方が多いので、今は定番商品になってます。

ペストリーケースに並べられたパン
〇どのようなお客さんが多いですか
村の方はもちろん、東京方面からも山梨方面からも、丹波山村に観光で来る方はいらっしゃいます。小菅村や奥多摩の方からも来ますね。
〇お店を続けるにあたって、大事にしていることはなんですか
体を壊さないことです。パン屋って重労働なんですよ。朝早くから仕込みもあるので、大体14時間労働です。自分の家でしている仕事なので、会社員とは違って終わりがなくて、いくらでも仕事ができてしまいます。体が資本なので、体を壊さないように気をつけています。あとは素材です。やっぱり毎日食べるパンだから、良い材料を使った美味しいものが良いですね。時代的に原材料の値段が上がって、今は大変なところではあるんですけど、質を落とさずに、今のままで変えずにやっていきたいです。
〇お店を始めて、木下さんご自身での変化はありますか
開店するにあたって、村の方々がとても喜んでくれたのは良かったですね。お店がどんどんなくなっていく中で、新しく商売を始めるということに「がんばってね」とみなさん応援してくださって。それから今は、協力隊の方々をはじめ、丹波山村に人やお店が増えて、食の面でにぎやかになったのはとても良いなと感じています。みなさんに焼きたてのパンを食べてもらいたい、という気持ちは変わらないですね。
〇丹波山全体の変化をどのように受け止めていますか
ありがたいですね。若い世代の方々が結婚して子供ができて、村の人数の割には保育園もあるんですよ。子どもたちもいるし、若い方たちもがんばってくれています。あと、色々とお店ができているのも、にぎやかになってすごく良いことですね。丹波山村に来たお客さんが村を楽しんでいるし、住んでいる私たちも夜に行ける店があったり、弁当を一個から配達してくれる店があったり、何か食べたいときに、そばに食べ物屋さんがあるのは本当にありがたいです。「きのしたベーカリー」も、丹波山村をそうやって元気に盛り上げていく中の一つであればいいなと思っています。いろんな世代の方と一緒に、みなさんで村を盛り上げていけたらいいなと思っています。
体験的学習科目「狩猟と地域おこしボランティア」
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