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第2回 猟師になるための手引きー実習演習科目「狩猟と地域おこしボランティア」2024年度秋学期ー

第2回 猟師になるための手引き
ー実習演習科目「狩猟と地域おこしボランティア」2024年度秋学期ー

宮本あかね(法学部 4 年)

みなさん、猟師と聞くとどんな姿をイメージしますか。多くの人は日本昔話の世界や、おとぎ話の世界など、現代とは違う姿を想像するのではないでしょうか。レストランでジビエを見つけるやいなや飛びつくように注文するジビエ好きの私でも、現代に猟師がいるという事実に、実感はあまりありませんでした。
しかし、現代にも猟師はいます。では、猟師になるためには何をしたらよいのでしょうか。

シカ笛を鳴らしてくださる保坂さん

狩猟を行うためには、まず狩猟免許を取得しなければなりません。狩猟免許を受けるには、法律で定められた 4 種類の区分に応じて各都道府県が実施する狩猟免許試験に合格する必要があります。

①網猟免許 使用できる猟具はむそう網、はり網、つき網、なげ網の 4 種。
②わな猟免許 使用できる猟具はくくりわな、はこわな、はこおとし、囲いわな(農業者又は林業者が事業に対する被害を防止する目的で設置するものを除く)の 4 種。
③第一種銃猟免許 使用できる猟具は装薬銃(火薬の爆発力によって弾を撃ち出す銃)
④第二種銃猟免許 使用できる猟具は空気銃(圧縮空気や不燃性ガスなどの力を利用して弾丸を発射する銃)

私はわなのかけ方を実際に丹波山で見せてもらいました。わなをかけるときはシカの足跡をよく観察して、通り道を割り出します。そして前足にわながかかるように、シカの歩き方を想像しながらわなを置くそうです。前足にわながかかるようにする理由は、後ろ足にわなをかけてしまうと、わなを外そうとシカが後ろ足を動かすことで後ろあしに血が溜まってしまい、一番おいしいモモの部分がまずくなってしまうからだそうです。また、わなはシカの足をなるべく傷つけない作りになっており、わなと
いえばギザギザのわな(とらばさみというそうです)を想像していた私は、動物にも配慮された作りになっていることに安心しました。

また、銃猟では、シカ笛を鳴らしてシカを呼び、出てきたシカを撃つという方法をとっているそうです。実際に保坂さんが吹いて聞かせてくださいましたが「カイーヨ」という聞きなれない音で、本当にシカの鳴き声を模しているのか半信半疑でした。しかし実習中に実際のシカの鳴き声が聞こえ、はっきりと「カイーヨ」と鳴いていたことにはかなり驚きました。

わなのかけ方を説明する保坂さん

狩猟免許試験を受ける前には任意で受けられる初心者講習会があり、「この講習は受けておいた方がいい!」と狩猟免許を取得した人たちは口をそろえて言います。

試験では、猟具の種類ごとに知識・適性・技能試験が実施されます。知識試験は法律、猟具、鳥獣に関する試験です。適性試験では聴力や視力、運動能力を検査されます。反復横跳びをさせられたことがある人もいるそう! 技能試験は猟具の取扱いや鳥獣の判別が可能か確認されます。一日で複数種類の受験も可能です。この試験に合格すると狩猟免許取得となります!狩猟をしたい場所で狩猟者登録をしたら、これであなたも猟師として猟ができる!

と思いきや、そう簡単にはいきません。3000 万円以上が給付される保険に入ってないと銃猟の登録ができなかったり、銃の所持許可を公安委員会から得なければいけなかったり、その一環としてガンロッカーと弾ロッカーを盗難されることのないよう家の壁に付けなければいけなかったりと、様々な決まりごとがあります。また、地元の猟友会とのコミュニケーションを密にとって狩猟をしなければならないことから、免許を取ったばかりの人が狩猟に携わるハードルは高く、そのため免許を取るだけで終わってしまう人がかなり多いそうです。

今までは、どのように獲られ、どのように「生き物」から「肉」になっているのか、何もわからないままジビエのお肉をおいしくいただいていました。しかし、ジビエのお肉を獲るには狩猟免許を取り、方々への申請をし、設備を整える必要があり、ハードルが非常に高いと感じました。このように数々のステップを踏んで食卓へ届いていたのだという実情を初めて理解し、猟師の方々や猟友会への感謝を忘れてはいけないと感じました。

また、丹波山での実習で、実際にシカの解体を体験させていただきました。つるされたシカの目の前に立った時の、むわっとした血の匂いは忘れることができません。
私たちがいつも食べているきれいな「肉」は、誰かがきれいにしてくれていたのだという、当たり前の事実にも気づかされました。「いただきます」という言葉には、命への感謝だけでなく、解体をしている人への感謝も含んでいることを体感しました。

命をいただいているということを身をもって実感したうえで、ジビエ好きとしてはいつか狩猟免許を取り、自分でとった動物を自分で解体してみたいと感じました。

 

体験的学習科目「狩猟と地域おこしボランティア」
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