The Hirayama Ikuo Volunteer Center (WAVOC) 早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)

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ボランティアの先輩に体験談を聞いてみた!Part2「気仙沼チーム ~新しいことへの挑戦のなかで皆で考えたこと」

ボランティアの先輩に体験談を聞いてみた!Part2
「気仙沼チーム~新しいことへの挑戦のなかで皆で考えたこと」

2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、宮城県気仙沼市で復興支援活動などに取り組んできた「早稲田大学気仙沼チーム」。現在では気仙沼で行われるイベント運営のボランティアや、現在の気仙沼の魅力を発信する活動を行うなど、幅広く活躍しています。

今回インタビューさせていただいたのは「気仙沼チーム」で副幹事長を務める福玉さん。気仙沼チームでの活動を振り返る中で、自分たちが行っている活動はこのままでいいのか、と葛藤したそうです。福玉さんに普段の気仙沼チームの活動や、そのような葛藤をどのように乗り越えたのかをインタビューしました。

気仙沼チーム
福玉 将(ふくたま・しょう)さん (社会科学部2年)

――普段気仙沼チームではどのような活動をされていますか?

福玉さん:メインの活動は気仙沼に行くことです。直近だと8月上旬の気仙沼みなとまつりに参加してボランティア活動を行います。加えて定期便というのも開催します。定期便では参加学生を公募して、気仙沼に連れて行き、気仙沼を紹介しています。また、気仙沼に行って現地のさまざまな人たちと交流するのも活動の一つです。いろいろな活動をしながら一年中まんべんなく活動しています。例えば、夏にみなとまつりが終わった後には、地球感謝祭であったり、早稲田祭に出店したりと、なんだかんだ一年間を通して活動しています。

気仙沼みなとまつりの様子

――気仙沼チームは現在何名で活動しているのですか?

福玉さん:現在50人くらいで活動しています。今年は1年生がとてもたくさん、20人くらい入ってくれました。何でこんなに増えたの!と驚いています。人数が増えたことでこれから活動を広げていけるなと感じています。

活動を広げていくこともそうなのですが、人が増えたからこその難しさもあると感じています。あくまでも私たちはボランティアサークルであって、私たちの考えとしては旅行サークルではありません。そこをはき違えてしまって、齟齬が生じると従来の活動もうまくいかなくなるようなことが起きてしまうのではないか…と全体でも話しています。

――福玉さんが気仙沼チームでボランティアを始めたきっかけは何ですか?

福玉さん:きっかけは高校生の時の修学旅行でした。コロナ禍で様々なことが中止になる中、沖縄での修学旅行が行き先を宮城・岩手に変更となり、実施できました。修学旅行のなかでたろう観光ホテルなどの震災遺構も見に行ったのですが、そこで大きな衝撃を受けました。2011年当時はテレビを通して小学生ながらに大変なことが起こっているのだなと思っていましたが、実際に現地で見ると格段に恐ろしいと感じられました。それがきっかけとなって、被災地に関わりたいなといろいろと探している中で気仙沼チームを見つけました。

――気仙沼チームの活動の理念は何ですか?

福玉さん:「気仙沼チームがこれまで気仙沼の人々と繋いできた縁を活かして、新しい活動に挑戦する」というのがチームの理念です。去年までは「縁を繋ぎ続ける」というのが主軸にあったのですが、それだけでは受動的なのでは?という意見が多く出ました。そのため、繋いできたご縁を活かして新たに自分たちのチームらしいことをやっていこうと考えるようになりました。

チームの元々の設立の目的は東日本大震災の被災地であった気仙沼へのボランティアでした。でも、いま気仙沼に行っても瓦礫とかは残っていないんですね。瓦礫撤去などのボランティアの段階からはもうすでに進んでいるんです。では、そこでボランティアに何ができるかと考えると、ボランティア活動の中で生まれたご縁を繋ぎ続けることであったり、さらに現在のように繋いできたご縁を活かして、大学生にしかできないような活動を行っていくということができると考えています。

――「繋いできた縁を活かして新しいことに挑戦したい」とのことでしたが、ボラコンの発表の中では「団体の活動が本当に現地に貢献できているのか?」「自分のやりたいことをやってもいいのか?」という悩みがあったとおっしゃっていました。それについてお聞かせください。

福玉さん:昨年11月に総会を行ったのですが、その中で自分たちの活動を見つめなおしているときに、この悩みが生まれてきたなと感じています。気仙沼チームとしてボランティア活動をしていることを振り返ったときに、ボランティア活動って言われたことをただやるだけではいけないよな、自分で考えて行動していくべきだよな、という風に考えました。そこから「繋いできた縁を活かして新しいことに挑戦したい」というところに繋がりました。

その一方で自分たちらしい新しいことに挑戦しようとは思っても、気仙沼の人々からしたら、「そんなもの求めてないよ」という事態になってしまうのではないかという危惧も生まれてきたんです。私たちが余計に介入しておせっかいになってしまうのではということです。

ですから、「それだったら今までの活動のままでいいじゃないか」という思いと「新しいことに挑戦したい」という思いのどちらもがチーム内にある状況になりました。様々な意見が飛び交いましたが、だからこそこの状況を乗り越えていかないといけないとも思いました。

――どんなふうにこの葛藤を乗り越えていこうとされているのですか?

福玉さん:今この葛藤を乗り越えていくための手助けとなっているのが、気仙沼の方々との縁です。現地の高橋正樹さん(本学校友。株式会社気仙沼商会代表取締役社長)という方に相談したところ、「なんでもやっていいよ。気仙沼の人たちに迷惑がかかるからやめておこうとか、このままの活動でいいとかではなくて、失敗を恐れず挑戦してほしい。挑戦の手助けをしたいよ」とのお言葉をいただきました。しかも、これは高橋社長だけではなくて、ほかの気仙沼の方々からもこのように好意的にとらえていただけました。

これをきっかけにして、気仙沼の人たちのリアクションに過剰に反応しすぎないで、自分たちらしいことに挑戦していっていいんだな、ということが分かり、「繋いできた縁を活かして新しいことに挑戦したい」という方針が固まってきています。組織も自分たちも新しくなっていって、成長してできるようにしようと考えています。

――「新しいこと」として気仙沼チームスタディツアーを開催されていましたが、何か反響はありましたか?

福玉さん:気仙沼チームスタディツアー3月便として開催したのですが、3月便の後の事後学習会にて、参加者から「気仙沼に行ったことが無かったけどいい場所だね!」「今度のみなとまつりにも行ってみたい!」など、うれしい反響をいくつもいただきました。同時にスタディツアーとしての学習の部分も、気仙沼についてよく学べたということで評価していただけました。

参加した動機は参加者それぞれバラバラで、「旅行が好きで気仙沼に行ったことが無かったため」という人や「東日本大震災の被災地について学んでみたい」という人もいました。いろいろな人がいる中で好評だったのは開催した側としても実りある3月便になりよかったと感じています。

――今後いまある縁を生かしてどのようなことをやりたいといった展望はありますか?

福玉さん:以前から教育支援を今後やりたいという声がチーム内でありました。そこで、6月に気仙沼に行った際に現地の方々と相談して、市内の中学生・高校生との交流会を企画しています。現地の元々中学校の先生だった方から、「気仙沼には大学がないため、中高生は大学がどんな場所なのか・どのような雰囲気なのかを知らないので、大学生と触れることは子どもたちが将来のことを考えるときに良い刺激になる」と言っていただけました。この環境で交流会をするということは、大学生だからこそできる気仙沼への貢献なのではないかなと考えています。

これに関連して、早稲田大学は8月末に気仙沼市と連携協定を結びます。気仙沼市の教育の分野と連携しながら進めていけたらなと思っています。

行政との連携だけでなく、早稲田大学出身で気仙沼プロジェクトの時から支援していただいている 加藤拓馬さんが行っている一般社団法人まるオフィスという探究学習支援等を行っている団体ともご縁がありますので、このご縁も生かして教育の分野に取り組んでいきます。

大学生だけではできなかったことを、現地の人々・行政・校友との縁があるからこそできているというのをひしひしと感じています。

――最後に読者に対してメッセージをお願いします。

福玉さん:早稲田大学はWAVOCや公認サークルがたくさんあることなど、ボランティアを始められる環境が整えられていると感じます。ボランティアを始めようと思っても、まず環境がないとできないと思います。施設やサークルがあるからこそ、簡単に一歩踏み出せるし、それを活かさないのはもったいないことだと思います。

ボランティアは尽くすだけではなく、自分にもいい経験が返ってくるものです。勉強やサークルだけでなく、ボランティアをすることは自分の視野を広げるいい刺激になるのではないでしょうか。早稲田大学には一歩踏み出す環境がしっかり整っています。ぜひこれを活かして、新たな世界へ飛び込んでみてください。自分の意外な一面に気づけるかもしれません。

取材・文:南部耀之介(WAVOC学生スタッフ

気仙沼チームのボランティアプレゼンコンテストの発表の様子はYouTubeに公開しております。
https://youtu.be/AWS-t5P-NmE?si=NIEAxfUVA_OE4NKc
気仙沼チームの活動はこちらから確認できます。
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