実習科目「狩猟と地域おこしボランティア」の履修生による体験レポートです。自然豊かな山梨県丹波山村で、猟師さんや地域の方との出会いや実習を通して履修生は何を感じ考えたのか?
ぜひお読みください!
【第5回】じゃがいもの守り人
ー体験的学習科目「狩猟と地域おこしボランティア」2023ー
西森 旭(社会科学部 4 年)
「丹波山でしかとれないこのじゃがいもを将来に残したい」
私は「狩猟と地域おこしボランティア」という科目を受講しており、その活動の一環として丹波山村へ二回にわたり実習に行った。丹波山村は山梨県の東京寄り、人口 500 人ほどの静かな村である。この村では狩猟が盛んにおこなわれており、そこで取れたシカやイノシシなどをジビエとして販売することで地域おこしを行っている。そのため、本授業のテーマである「狩猟×地域おこし」との親和性が非常に高いことから、授業の実習として丹波山村に行き、そのあり様について一人ひとり理解を深めている。
冒頭の一文はこの地域で地域おこしを行っている、保坂さんの言葉である。この一言が第二回丹波山実習で一番印象的だった。そもそも丹波山には「落合芋(あかいも)」と「つやいも」という昔から受け継がれてきた地芋が二つある。全国に地芋が全部で 50 種ほどしか存在しないことを踏まえると、丹波山にその2つがあるということの凄さとその希少さが伝わると思う。そんな落合芋とつやいもは現在では丹波山でしか育てられていないため、もし数年間これらのイモを育てなければ日本から落合芋とつやいもは絶滅してしまう。そんな事態を防ぐべく、保坂さんはこれらのイモを育て、その種芋(じゃがいものタネのようなもの)を回収し続けている。
じゃがいもを育てることはとても大変な作業だ。私自身、父方の実家が代々じゃがいも農家であり、じゃがいもの収穫を手伝ってきた。じゃがいもは比較的育てやすい作物であると言われることが多いが、実際は雨が降りすぎては腐ってしまうし、日に当たりすぎては実が焼けてしまう。そんなじゃがいもを保坂さんは手作業で育てている。畑を耕すことも、種芋を植えることも、イモを収穫することも手作業だ。そんな状況を目の当たりにした際、保坂さんがまるで丹波山じゃがいもの守り人のように感じられた。誰かが育て続けなければ落合芋とつやいもはなくなってしまう。だからこそ、保坂さんはその役割を率先してやっているのだろう。このようなことを理解したうえで冒頭の一文を再び読んでほしい。
「丹波山でしかとれないこのじゃがいもを将来に残したい」
体験的学習科目「狩猟と地域おこしボランティア」
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