【開催レポート】外来生物駆除ボランティア2023
学生リーダー 池田 葵
WAVOCでは、8月24日(木)に、「外来生物駆除ボランティア2023」を実施しました。本イベントは、認定NPO法人生態工房様のご協力のもと、都立光が丘公園内バードサンクチュアリ内にて、外来生物や生態工房様の活動に関するご講演の後、実際に池で外来生物であるアメリカザリガニの駆除作業を実施するという企画でした。イベントの様子や企画者としての感想をお伝えします。
当日は、学生リーダーを含めた学生6名とWAVOC職員1名の計7名で「外来生物駆除ボランティア2023」の方に参加しました。
まず初めに、認定NPO法人生態工房理事長の片岡様より、外来生物の現状やそれを取り巻く法制度について解説をしていただきました。
今回実際に駆除したアメリカザリガニ、そしてアカミミガメは、今年令和5年6月1日より「条件付特定外来生物(特定外来生物のうち、一部の規制がかからない生物)」に指定されました。一般家庭でペットとして飼育しているアメリカザリガニ・アカミミガメは、これまで通り飼育することができますが、池や川などの野外に放したり、逃したりすることや売買などは法律で禁止されています。また、違法行為は重い罰金・罰則の対象となります。

【講演を聞いている様子】
そもそも、なぜアメリカザリガニを厳しく取り締まらなければならないのかというと、「池の生物多様性が失われてしまうから」です。アメリカザリガニが繁殖しが池に住み着くと、水草を切ったり食べたりしてしまいます。そこを住処にしていた小魚や両生類などが影響を受け、生息する水鳥の種類も少なくなります。また、一度アメリカザリガニが繁殖し姿を変えてしまった池を元の姿に戻すためには、とても長い年月が必要であり、アメリカザリガニにかかわらず外来種の対策は可能な限り早く行う必要があることを学びました。
アメリカザリガニやアカミミガメは私たちにとって身近な存在であるため、これまでどうしても法律で厳しく取り締まることが難しい対象でした。だからこそ、今回の法改正はとても大きな進歩であるそうです。しかしながら、実際の池の状況を改善していくためには、地道な駆除作業が必要であり、生態工房の皆様が行っている活動の重要性を理解することができました。
お話を聞いた後で、作業着に着替え、実際にバードサンクチュアリ内の池の中へ入り、罠にかかったアメリカザリガニを駆除していく作業を開始しました。池の中は、泥に足をとられやすく、一番深いところでは太腿が水に浸かるくらいの深さだったため、タライを支えにしてゆっくり歩かなければなりませんでした。生態工房の皆様は、とても体力のいるこの作業を週に1、2回行われているとのことだったので、参加した私たちは驚くばかりでした。

【作業スタート!】
罠は、餌を入れたものや、暗いところに集まる習性を利用するために遮光シートを巻きつけたものなど、いくつかの種類の罠が池全体に仕掛けられていました。主な作業は、仕掛けられている罠にアメリカザリガニや他の生物が何匹掛かっているかを数え、スタッフの方に報告し、新しい餌を入れるなどして再度仕掛け直すというものでした。アメリカザリガニ以外の生物としては、在来種のクロダハゼやモツゴが多く、数を数えた後にはもちろん池の中に返しました。また、池での作業中、スッポンの赤ちゃんにも遭遇し、池の中での多様性を感じました。
作業を通じて、罠の種類や、仕掛けられている場所によっても、捕獲できるアメリカザリガニの数に差があることが分かり、日頃から生態工房の皆様が工夫して活動を行われていることが伺えました。
![]() 【餌を入れるタイプの罠】 |
![]() 【日陰を利用した罠】 |

【偶然見つけた、スッポンの赤ちゃん!】
改めまして、参加者の方々と認定NPO法人生態工房 片岡様、スタッフの皆様にお礼申し上げます。
【参加した学生の感想】
・毎週一度のザリガニ駆除を行っているにも関わらず、まだ多くのザリガニがいることに驚き、外来生物のしぶとさ・危険性を感じた。 ・実際に池の中に入り、触ることで、より外来生物の問題を身近に感じることができた。今日の学びを家族や友人に伝えていきたい。 |