The Hirayama Ikuo Volunteer Center (WAVOC) 早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)

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「支援」をしたと思う瞬間が、一度もなかった。 新井君の場合

新井宏基 ARAI hiroki

新井宏基
ARAI hiroki

PROFILE

早稲田大学本庄高等学院出身。現在法学部4年。大学1年の春、大学2年の秋とボランティア論を履修し、普段活動しているDV被害者支援「DVほっとプロジェクト」に関する考察を深めている。現在は法学部4年生で、法曹界へとキャリアを定め、大学院進学のために勉強中。

参加したWAVOCの科目・プロジェクト

  • ボランティア論-理論と実践-
  • ボランティア論-体験の言語化-
  • DVほっとプロジェクト

arai

1.「学問として」関わるのが大学生?

高校の頃、裁判傍聴や模擬裁判授業を通じて興味をもち、法学部に進学しました。今思えば頭でっかちなのですが、あらゆる社会の事象に対して「学問として」関わるのが大学生だという先入観があり、その最前線の現場へ行って考えたり、それを解決したいという思いがありませんでした。そんな中、「学問として」受講したのが『ボランティア論―理論と実践―』でした。講義形式で理論を学べると思っていた私は、300人の学部学年を超えた学生が集まり、ワーク形式で進行される双方向型の授業であることに不意打ちを喰らいました。

2.「体験のない」自分

story_01_01必修の法律を勉強する過程では様々な社会の課題を知り、「被害者」「支援」等とやはり様々なことばで、それを整理しながら学んでゆきました。ただ、それらを「」カッコ書きでしか知らない自分に気づき、その「」カッコ書きの中に飛び込んでみようと、WAVOCのDV被害者支援のボランティアに参加しました。行ってみて、「支援」をしたと思う瞬間が、一回もありませんでした。また「被害者」なんていう人はいないんだ、自分も被害者(や加害者)になりうるという当事者性があるのだ。と実感したのです。体験というものが心をふるわせることを知りました。それから、東日本大震災復興支援や国際法模擬裁判大会世界大会に参加する等、現場に行くことを意識し、行動するようになりました。

3.「体験をことばにできない」自分

あらゆる体験を経ていくうちに、「主専攻で学びながら育てた先入観」が打ち砕かれてしまいました。一方体験から学んだ多くのことは、うまく説明できなくて、もやもやしました。そこで原点に戻り、今度は『ボランティア論―体験の言語化―』を受講しました。これは各人のボランティア経験をふりかえり、社会の課題と結びつけ、10分のプレゼンテーションを行う授業でした。私はDV被害者にまつわる社会の課題に取り組みました。「きれいごとにまとめたら、単位は来ないよ。」と先生に言われ、常套手段の先を、必死にもがき考えました。そこで、法的視点でみるのではなく、当事者意識をもった視点で語る必要性に気づきました。社会で役立つ人材になるためには、この2つの視点で学び行動する自分でありたいと強く思いました。授業では、同じようにもがき考える多様な学生達との関わりの中で、自分の到達度や、自分を自分で評価できるようになりました。

4.効率は悪くても、最後までやってみよう

story_01_02大学生になれば、「社会」「学問」に触れられると思っていたのですが、そこに実感をもって辿り着くまでが、大変だということを突き付けられました。それでも、最後までやってみようと努力したときに、自分自身の根っこを見つけることが出来たように思います。今、弁護士を志望しています。やっぱり「被害者」を助けたい。でも、そこで浮かぶのは、あの人やこの子といった、ボランティア活動で出逢った“個人”です。「被害者が行っても役所は動かない。支援者がいるだけで、態度が変わる。」という、DV被害者支援の団体の方の言葉が胸にひっかかっています。とても不合理だと思っています。でも、その弁護士という「支援者」がいるだけで、そのバッチだけで、支えられるなら、とも思っています。また、女性支援を女性がリードしていて男性は対立者のようであることも課題に感じています。これからも、何かできないかということを模索したいと思っています。

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