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2025年度 早稲田大学リサーチアワード WASEDA RESEARCH AWARD の受賞者が決定

早稲田大学では、独創的研究の推進と国際的な情報発信力の強化を目的として、2014年に早稲田大学リサーチアワードを設け、大規模な研究を主導的に推進している研究者および国際発信力の高い研究業績をあげている若手研究者を表彰しています。

独創的研究推進(Leading Research)

正賞(賞状)ならびに副賞(独創的研究推進は賞金50万円)が授与されます。
独創的研究を先導して推進している研究者を表彰します。

大型研究プロジェクト推進(Large Research Project)

正賞(賞状)ならびに副賞(大型研究プロジェクト推進は賞金50万円)が授与されます。
大規模な研究を主導的に推進している研究者を表彰します。

国際研究発信力(High-Impact Publication)

正賞(賞状)ならびに副賞(国際研究発信力は賞金30万円)が授与されます。
国際発信力の高い研究業績を挙げている45歳未満の若手研究者を表彰します。

早稲田大学リサーチアワード(独創的研究推進)受賞者
WASEDA RESEARCH AWARD(Leading Research)
(50音順)

大塚 直 教授(法学学術院)
大塚直氏は、日本の環境法学における第一人者であり、その学術的評価は他の追随を許さず、その研究における先進性・独創性・重要性は群を抜いている。また、民法学、特に不法行為法の深い見識と洞察力を背景に、その応用発展領域としての環境法学の研究を開始し、現在も共同不法行為論、過失判断と予防原則、違法性判断における比例原則的衡量による不法行為の類型化などの特に秀でた研究業績がある。これに加え、行政法、国際法の領域まで横断的に研究を進め、気候変動、自然保護、公害など環境法分野のすべての領域、AI関連事故にかかる責任主体などの世界的な課題にまで研究対象が広げられ、そのいずれもが高い研究水準を保つ。研究成果の発信、アウトプット数も膨大で、学会随一ともいえる。中央環境審議会会長(環境省)などの要職を務め、環境法の立法過程・政策形成にも積極的に関与し、同氏の研究が国内外を含め社会全体にもたらすインパクトや、当該学術分野における影響力等も極めて大きく、早稲田大学リサーチアワード(独創的研究推進)を受賞するに値する。

片岡 淳 教授(理工学術院)
片岡淳氏は、コンプトンカメラをはじめとするX 線ガンマ線検出器の開発で高エネルギー天体物理学を牽引し、様々な宇宙現象の解明に貢献するとともに小型衛星を活用する革新的アプローチで新しい宇宙科学戦略を推進している。さらに、衛星技術を応用することで、抗がん剤などの体内動態をトレースする全く新しい手法を開拓し医療分野への寄与も行うなど、多彩な先端的研究成果を挙げている。最近5 年間だけでも発表した国際学術論文は 100 報を超し、すでに450件近い被引用数があるなど、圧倒的な研究業績を有する。また科学技術分野の文部科学大臣表彰を2度受賞するなどその活躍は国際的・国内的に高く評価されている。これまでの理学・工学・医学を橋渡しする新しい形の学際研究を推進してきた氏の研究成果は、今後宇宙における元素合成の起源解明や、医療分野における革新的な治療可視化技術の開発により、両分野に新しい地平線を切り拓く可能性が期待されている。

滝沢 研二 教授(理工学術院)
滝沢研二氏は、数学を手段として、生命科学分野・医学関連分野から工学分野まで、様々な実際の物を対象とした流体解析などの研究を広範に行っている。とくに、時間と空間を統合するSpace–Time法を核とした流体構造連成解析の新手法を開発したことは、研究の先進性,独創性の現れである。この手法をもとに、氏は,独自に流体・構造・生化学を統合する三連成解析を発展させ、医療や産業界に大いに貢献する重要な成果を続々と生み出している。
「研究成果の発信力」を重視している早稲田大学リサーチアワード(国際研究発信力)、Clarivate Analyticsやトムソン・ロイターの賞を受けていることは、研究成果発信力の高さの何よりの証明である。
氏が独自に開発された流体構造連成解析の新手法は学術的に高く評価され、日本学術振興会賞や文部科学大臣表彰、さらには大型科研費獲得につながっている。また、その手法の応用先は、人工心臓弁設計支援などの医療分野や、パラシュート挙動解析やタイヤ空力解析・風車の流体構造連成解析など産業界にも広がっており、社会的波及効果も極めて大きい。

中井 浩巳 教授(理工学術院)
中井浩巳氏は、量子化学の基礎理論を革新し、その応用範囲を飛躍的に拡大してきた。とりわけ、分割統治(Divide-and-Conquer)法の体系的構築により、大規模分子系を多数の部分系に分割して扱う新たな枠組みを創出し、量子化学計算を実質的に原子数に比例する計算量で実行可能とする道を拓いた。この成果は、従来は計算不可能であった大規模系の電子状態解析を現実の研究対象へと押し上げ、理論化学の発展に決定的な貢献を果たしたものである。さらに、相対論的量子化学法の高精度化や、機械学習と電子相関理論の融合による新しい理論枠組みの創成など、常に独創的かつ先進的な研究を展開し、その業績は国際的にも高く評価されている。また、主要学会や国際委員会の運営、研究プロジェクトの主導を通じて学術界の発展にも大きく寄与してきた。開発した計算手法とソフトウェアは世界中で広く利用され、材料科学、生命科学、データ科学など多様な分野に波及している。中井氏の研究は、理論化学と計算科学を融合させた先駆的成果として、学術的・社会的に極めて大きな意義を有する。

野口 晴子 教授(政治経済学術院)
野口晴子氏は医療経済学の専門領域において、ミクロ計量経済学を用いた実証研究を広範囲にわたり精力的に行ってきている。しかも、どの研究を見ても質がきわめて高く、重要かつ時宜にかなったテーマを扱っている。
国際的発信という点では、トップレベルの国際ジャーナルに数多くの論文を公表しており、十分な貢献がある。研究領域は、日本の制度・政策分野の分析を中心とするという特性上、政策領域特有の限界があるが、むしろその限界を超えて優れた研究活動を展開していると評価できる。
野口氏の研究は、重要な政策的インプリケーションを持っており、政府審議会、研究会の委員等での活動を通じて社会保障、医療政策にも重要な影響を与えてきたという点で社会的波及効果も大きい。
以上の通り、野口氏は、独創的でインパクトのある学術論文を多く公表し、政策的にも有意義な研究活動をしている点で、早稲田大学リサーチアワード(独創的研究推進)にふさわしいと思料する。

樋口 直人 教授(人間科学学術院)
樋口直人氏は、日本でのヘイトクライムの実態とそれを誘発する人びとの意識や社会的背景などの深層を実証的な研究データを踏まえて捉えようと長年にわたって尽力してきた研究者で、専門は移民と移民を取り巻く制度や文化意識などの研究である。代表作『日本型排外主義:在特会・外国人参政権・東アジア地政学』(2014)では、聞き取り調査をもとに従来の説を翻し、在日コリアンへの排外主義に走る人々が日本社会の中のありふれたノーマルな存在であることを明かす。また欧米の3者関係モデルを援用し、日本国家、在日コリアン、彼らの祖国、の関係を時間軸と空間軸で捉え直した上で、日本の場合、東アジアの地政学的構造が大きく影響するとして「日本型排外主義」という概念を打ち出した。1990年代から2000年代にかけて深化していった日本における排外主義運動の3つの源流について、既存右翼の流れ、歴史修正主義的な市民運動の流れとネット右翼という源流について、具体的に「在特会」がネット空間で勢力を拡大した背景について検討し日本の排外主義運動の分析枠組みを構築した点は独創性・先進性が高く、欧米のナショナリズム、排外主義の台頭に関する、より広範な国際研究の比較枠組みの可能性を示している。
樋口直人氏は、近年ではこの領域での研究者群の要の役割を果たすようになっており、大型の科研費を継続的に取得しており、毎年多数の論文執筆のほか、学会を通じた活躍なども顕著である。日本の排外主義や移民政策等の領域では日本を代表する研究者の一人であり、この研究領域での国際的なネットワークの構築にも現在精力的に尽力しており、国際的な活躍が今後もさらに期待されている。

早稲田大学リサーチアワード(大型研究プロジェクト推進)受賞者
WASEDA RESEARCH AWARD(Large Research Project)
(50音順)

※前年度実績に基づく

氏名 研究課題名 研究費受入箇所名
川西 哲也 教授(理工学術院) テラヘルツ帯を用いた Beyond 5G 超高速大容量通信を実現する無線通信技術の研究開発  理工学術院総合研究所 

早稲田大学リサーチアワード(国際研究発信力)受賞者
WASEDA RESEARCH AWARD(High-Impact Publication)
(50音順)

鈴木 祐一 准教授(国際学術院)
鈴木祐一氏は、Studies in Second Language Acquisitionなどのトップジャーナルにおける影響力の高い様々な研究成果によって、応用言語学および第二言語習得(SLA)分野に新たな地平を切り拓き、国際的に高く評価されている。認知心理学・脳科学の知見を統合した学際的なアプローチにより、語彙・文法習得やスキル習得理論、とりわけ学習者の知識が「使えるスキル」へと変容する「自動化」プロセスを実証的に検証した一連の研究は極めて独創的である。その成果は国際的に広く引用され、主要な国際学会賞の受賞など、確固たる評価を確立している。さらに、ISLA(指導による第二言語習得)の観点から理論と教育現場との双方向の対話を推進し 、世界の学術界をリードすると同時に教育実践の発展にも寄与し続ける姿勢は、日本の国際的な研究プレゼンスを高めるものであり、早稲田大学リサーチアワード(国際研究発信力)を受賞するにふさわしい。

瀬田 真 准教授(国際学術院)
瀬田真氏は、国際法の分野において、極めて現代的な課題を取り上げて、隣接する他分野の知見も取り入れた分野横断的で独創的な海洋法に関する研究を積み重ねるばかりでなく、その成果を国際法学においてインパクトの高い雑誌にて積極的に発信しており、同氏の研究の学術的評価と国際発進力は質・量ともに高い水準に達していると評価される。堅実な論証力に支えられた瀬田氏の知見は、今後の国際法・海洋法の学界に対して大きな影響を与えることが予想され、また、各国政府の実践を通じて同氏の思い描く海洋法規制の構築につながっていくことが期待されるところであり、学術的・社会的波及効果も認められる。以上に加えて、瀬田氏は、海外の研究者と共同してワークショップを開催する、国際会議に招聘されて研究報告を行う、本学にて海外の研究者を招聘して講演会を開催するなど、国際法・海洋法の分野における国際的な学術交流ネットワークの構築に力を注いでいることも特筆に値する。

谷澤 薫平 准教授(スポーツ科学学術院)
谷澤薫平氏は、身体活動・食事などのライフスタイル要因が健康に及ぼす影響とそのメカニズムについて、生理学・生化学・疫学・遺伝学の観点から統合的にアプローチしており、先進的な健康スポーツ科学の研究をリードしている。たとえば、DNAメチル化クロックを用いた生物学的老化と有酸素能力・ライフスタイル要因との関連研究は極めて先進的であり、従来の生活習慣病リスク評価に新しい視点を加えるなど、独創的かつ有意義である。第一著者や責任著者として多数の査読付き国際原著論文を継続的に発表している点と、国際共同研究や海外研究者招聘を通してネットワークを拡大してきた点に鑑みて、氏は非常に高い国際研究発信力を有すると評価できる。社会的波及効果としては、WHOの“Health for All”を、エビデンス→政策→現場実装→評価の循環として結び、健康スポーツ化を社会全体で前進させる面で寄与しうると期待される。以上のことから、氏は早稲田大学リサーチアワード(国際研究発信力)を受賞するにふさわしい。

橋本 健二 教授(理工学術院)
橋本健二氏は、ロボット工学研究者として特に脚車輪型ロボットに焦点を当て、AIとロボティクスを橋渡しする実用的かつ独創的なメカトロニクス設計と制御技術を融合した先駆的研究を展開し、国際的な発信とネットワーク形成に成果を上げるとともに、国際的リーダーシップを発揮している。氏の研究は、パラレルリンク構造に基づくハードウェアのメカトロニクス設計とソフトウェア制御の両分野の組み合わせに顕著な独創性が認められ、多数の論文発表と引用および受賞を重ねており、優れた国際発信が認められる。こうした成果は、災害対応や屋外搬送などの社会的ニーズに直結するとともに、ロボティクス分野における機械設計と知能システムの融合研究の発展に大きく貢献するものである。また氏は、国際誌の共同編集や国際会議の運営・諮問など、グローバルな研究コミュニティにおいて顕著なリーダーシップを発揮してきた。以上の理由から、氏は早稲田大学リサーチアワード(国際研究発信力)受賞者として極めてふさわしいと評価される。

星名 直祐 講師(高等研究所)
星名直祐氏は、神経科学分野において先進的かつ独創的な成果をあげている。特に、神経細胞の接着やシナプス形成に関わるプロトカドヘリン遺伝子ファミリーが、発達期の脳において果たす役割を多角的に検証してきた。筆頭著者として Science 誌をはじめとする世界的トップジャーナルに発表した論文は国際的に高く評価されており、その研究の先進性、独創性、独自性はいずれも顕著である。X連鎖性てんかん・知的障害症候群として知られるPCDH19関連障害において、従来は説明が困難であった「PCDH19ヘテロ接合体の女性に特異的に発症する」という現象に対し、PCDH19発現細胞と非発現細胞の不一致に基づく「ミスマッチ仮説」という独創的なモデルを提唱した点は特筆に値する。星名氏はこの仮説を、分子生物学、電気生理学、行動解析を統合した厳密な手法により実証し、海馬におけるシナプス機能不全が認知機能障害と直接結びつくことを明らかにした。さらに、本研究は治療標的の可能性にまで踏み込んでおり、基礎研究と臨床応用との橋渡しという点でも極めて高く評価されている。神経科学および発達障害研究におけるブレイクスルーとして、氏の業績は極めて意義深く、その学術的・社会的波及効果は極めて大きい。

ホン シャオミン 講師(高等研究所)
Dr. Shao-Min Hung is an accomplished cognitive neuroscientist whose pioneering publications have advanced our understanding of the neural mechanisms underlying consciousness and unconscious processing. His recent series of studies in Nature Communications, NeuroImage: Reports, and GeroScience represent a coherent and original research trajectory that bridges fundamental neuroscience and societal applications—from revealing how attention shapes unconscious processing, to mapping mind-wandering experiences in the brain, to identifying behavioral biomarkers for Alzheimer’s disease risk. Between 2020 and 2024, Dr. Hung has published over a dozen peer-reviewed articles, many as first or corresponding author, in the most respected international journals in his field.
These high-impact works are noted not only for their methodological rigor and theoretical originality but also for their breadth of collaboration across leading global institutions such as Caltech, UC Irvine, and NTU. His research elegantly combines experimental precision with social relevance, demonstrating how basic science can inform clinical practice and educational applications. In both scholarly influence and international visibility, Dr. Hung exemplifies the ideals of the Waseda Research Award for High-Impact Publication, having produced a sustained record of innovative, globally recognized, and field-shaping research.

山本 鉄平 教授(政治経済学術院)
山本鉄平氏は、政治学方法論分野において卓越した研究業績を挙げ、国際的に最も高い評価を受ける日本の研究者の一人である。山本氏の研究は、コンジョイント分析や因果媒介分析など、現代政治学の実証研究を支える基礎的手法の開発と理論的精緻化において世界を先導してきた。とりわけ、投票行動や政策評価研究における実験的手法の適用とその因果的解釈を明確化した功績は、政治学における方法論的転換を促す画期的なものである。これらの研究は、政治学にとどまらず、社会科学全般の因果推論研究にも新たな地平を開くものとして高く評価されている。
研究成果はいずれもProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of Americaを始め、American Political Science ReviewやAmerican Journal of Political Science、Political Analysisといった世界的トップ学術誌に掲載され、多くが数百回、数千回にも及ぶ引用を受けており、その国際的発信力は群を抜いている。また、米国をはじめとする海外の研究者らとの共同研究を継続的に展開し、国際的ネットワークのハブとして活躍している点も顕著である。
さらに、山本氏の研究は、学術的理論の深化にとどまらず、データ分析技術を社会実装へと結びつけ実証的政策研究や企業のデータ分析にも波及している。こうした先進性・国際性・社会的意義のいずれをとっても、山本氏は本賞にふさわしい研究者である。

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