Research Activities早稲田大学 研究活動

News

ニュース

2019年度 早稲田大学リサーチアワード WASEDA RESEARCH AWARD の受賞者が決定

早稲田大学では、独創的研究の推進と国際的な情報発信力の強化を目的として、2014年に早稲田大学リサーチアワードを設け、大規模な研究を主導的に推進している研究者および国際発信力の高い研究業績をあげている若手研究者を表彰しています。

本アワードには、大型研究プロジェクト推進(Large Research Project)と国際研究発信力(High-Impact Publication)があり、それぞれ正賞(賞状)ならびに副賞(大型研究プロジェクト推進は賞金50万円、国際研究発信力は賞金30万円)が授与されます。

早稲田大学リサーチアワード(大型研究プロジェクト推進)受賞者
WASEDA RESEARCH AWARD(Large Research Project)
(50音順)

2019年度
※前年度実績に基づく

氏名 研究課題名 研究費受入箇所名
大木 義路 電気・計装設備の長期健全性評価技術調査研究 各務記念材料技術研究所
齋藤 潔 液式デシカントと水冷媒ヒートポンプの組合せによる高効率空調システムの開発 理工学術院総合研究所
巽 宏平 自動車向けSiC耐熱モジュール実装技術の研究開発 情報生産システム研究センター
林 泰弘 汎用的な実証基盤体系を利用したシナリオ対応型分散協調EMS実現手法の創出 スマート社会技術融合研究機構
松方 正彦 オレフィン分離膜精製用ゼオライト膜の性能実証と分離プロセスの構築 ナノ・ライフ創新研究機構

早稲田大学リサーチアワード(国際研究発信力)受賞者
WASEDA RESEARCH AWARD(High-Impact Publication)
(50音順)

エドマン ジェスパー

エドマン氏は、従来の分析で論じられることのなかった海外子会社の行動が進出国の制度環境に与える影響についての分析を行うなど、組織理論(制度理論や組織アイデンティティ理論)を国際ビジネスの文脈に応用し、独創的かつ先進的な論考を提示している。Financial Times Top 50 Journalsに選ばれているJournal of International Business StudiesおよびJournal of Management Studiesに3本の論文を刊行している。うち2本が単著であり、最近のマネジメント・国際ビジネスの論文の大半が複数の研究者によるものを考慮すると、氏の能力の高さが推察される。同年代でこれだけの研究成果を出している日本の研究機関に所属する研究者は他にはいない。受賞者の論文は、今後の国際ビジネスの研究において、新たな理論的基礎を提供するものであり、これらの論文で提示されたパターンをフレームワークとする研究が出てくるだけでなく、国際ビジネスの教科書や文献レビュー論文などにも記載されるのではないかと思われる。

佐野 雅規

 佐野氏は、樹木年輪の酸素同位体比を用いて東南・南アジアの気候変動を高精度で復元することに成功した。また近年は、歴史学や考古学との共同による環境史の研究にも取り組んでおり、先進性・独創性のある学術的に価値の高い研究成果をあげている。具体的には、研究の立ち後れていた南アジアにおいて、夏季モンスーンの時空間変動を詳細に復元し、過去200年間にわたってインドモンスーンが弱化していることを検出した。また、ヒマラヤ山脈の東西地域に降水としてもたらさせる水蒸気の起源をアラビア海とベンガル湾に分離して復元できることを示した。さらに佐野氏は、国内外の多数の研究者と連携し、アジア地域の古気候データを収集して当該地域の気候変動の時空間構造を統計的に解析する組織の構築に貢献するなど、この研究分野における実質的なリーダーの一人である。加えて、PAGES 2k Network(過去2000年間の古気候変動研究プログラム)において特出した成果を挙げており、地球圏・生物圏国際協同研究計画—古環境の変遷研究計画(IGBP–PAGES)および気候変動に関する政府間パネル(IPCC)を通じて、各国の政策に強い影響を与える牽引力となっている。以上のように数々の国際集会を主催し、国際共同研究でも主要な役割を果すなど、今後のさらなる研究の発展と国際的な活躍が期待できる。

ジョウ ウィリー

The recipient Dr. JOU Willy has conducted extensive empirical research using original theories in the field of comparative politics. One of his coauthored works applies sophisticated methods for statistical analysis to data collected from 35–40 countries in order to comprehensively test the impact of ideological proximity between government and voters as well as voters’ electoral win–loss experiences on political participation, satisfaction with the political system, and subjective well-being. Another coauthored book presents the original idea of generational differences in recognizing the positions of various political parties’ conservative or progressive ideologies in Japan, based on an excellent empirical study which holds significant implications for studies of countries with multiparty systems.
In addition to publishing single-authored papers in the International Political Science Review and other journals, the recipient continues to publish papers coauthored with domestic and foreign researchers in impactful journals. He also actively publishes papers coauthored with faculty members at this university and is attracting increased attention in the field of Japanese political studies. With the aid of these collaborators, he is trying to improve communications in Japanese, and some of his results in the field of Japanese political studies have received media coverage.

多湖 淳

多湖氏は、政治学・国際関係論の中でもとくに安全保障論・外交論の分野において研究の地平を切り開く研究を行っている。この分野においては、シェリング(Thomas Schelling)以来、非協力ゲーム理論の分析手法を用いた戦略的相互作用の理論研究が主流を形成してきた。これに対して同氏は、外交と世論の関係に着目して、サーヴェイ実験を積極的に行って議論の幅を広げることに成功してきた。氏は恒常的に、政治学・国際関係論分野のフィールド・トップジャーナルであるJournal of Peace Research, British Journal of Political Scienceなどに単著や共著の論文を公刊し続けている。共著論文は、国際共同研究の着実な成果を公刊したものであり、本学を拠点とした学術的研究の国際ネットワークを広げ・深める点でも大いに貢献している。同氏は、米英の研究者とのネットワークを着実に築いており、北欧のオスロ平和研究所(PRIO)のグローバル・フェローでもある。外交と世論の関係について、サーヴェイ実験を意欲的に活用した国際関係論研究は、社会的な波及効果も大きい。同氏の学術研究は、例えば最近の日韓関係についても重要な知見を与えるものである。

寺内 多智弘

寺内氏はプログラミング言語の基礎理論分野で顕著な業績を誇る。特にプログラムの正しさを形式的に(フォーマルに、理論的に)検証する手法に関して先駆的な数多くの研究成果を挙げている。具体的には、基礎理論に立脚したプログラムの合成・解析・検証手法や,プログラミング言語に関連したセキュリティの分野において、高度な技法を駆使した先導的な成果を数多くあげてきている。同氏は、PLDI、POPLなどトップクラスの国際会議、さらにACM TOPLASなどの主要な国際論文誌に多数の論文を発表しているだけでなく、トップクラスの国際会議POPL のプログラム委員を複数回務めている。さらに、同専門分野において年間4件を超える会議のプログラム委員、組織委員長等を継続して務めているなど、国際的によく認知されている数少ない国内研究者の一人である。同氏の研究は、並列処理や通信を行うプログラム、ソフトウェアの品質を高めるものであり、社会的重要性が大きく、国際的な活躍が期待される研究者である。

フランク ビョーン

フランク氏の専門分野はマーケティングで、顧客満足、購買意図、顧客ロイヤルティといった成果変数へ影響する諸要因を既存研究より特定し、それら変数間の因果関係を国際的な大規模データを用いて実証する方法論に特徴がある。その精緻な方法論に特に優れており、Financial Times Top 50 Journalsに選ばれているJournal of the Academy of Marketing Scienceを始め、Journal of Retailingなど、国際的に権威のあるジャーナルに多数の論文を刊行しており、 生産性が極めて高い。日本国内に在籍するマーケティング研究者の中では、方法論的頑健性においては間違いなくトップクラスである。学術的な波及効果としては、実証科学としてのマーケティング分野に対するその科学的証拠の蓄積への貢献に対して、高い評価が与えられるべきである。社会的な波及効果については、中小企業が主として対象となるマーケティング後進企業群にとって、氏による精緻な実証データが顧客満足度向上計画を立案する際に、大いに役立つと推測される。

三好 力

三好氏の専門分野はイギリス王政復古期の演劇史である。独自性に富み、未解決の問題を的確に探り当て、無数の史料の中から問題解決に最適なものを探し出し、それを効果的に解析、解読して最終的な結論を導き出す氏の学術的力量は並外れて高い。これまでも英語による査読付き論文を世界の一線級の学者達が多く投稿する学術誌での発表に意欲的に取り組んできた。先行研究を過不足なく渉猟し、発見された新史料について世界で初めて言及し、過去の素材の読み直しと再評価を通して新たな知見を幅広く提供している点で、いずれも学術的価値は極めて高い。氏が持つ先進的で高度な研究成果の多くは、将来の英文学研究に一筋の新たな光を放つ可能性が高く、大学教育と研究における社会的貢献度も潜在的に有している。今後も国内・国外多くの英国演劇研究者にとって限りない魅力とインパクトある業績・成果が期待できる。

棟居 徳子

棟居氏は、国民皆保険を達成し、ヘルスケアのパフォーマンスにおいて高い国際的評価を得ているがゆえに、健康権を論じることに消極的な立場もある中で、この分野の研究に真摯に取組んでいる。その研究成果において、健康権を論じることの意義や人権指標の活用など、独創的な提言を行っていることが高く評価される。
本分野では、日本語で研究成果を発表する研究者が多い中、真摯な研究姿勢と米国留学を通じて培った人脈を活かして、英語による研究成果の公刊に熱心に取組んできており、その研究姿勢は今後のさらなる発展を期待させるものとなっている。今後の日本の社会において、健康権をどのように考え、政策を立案していくかが問われていく中で、棟居氏の研究は、学術的・社会的に大きな意義を持つものである。また、英語による研究成果の公刊によって、日本の状況を世界に発信するとともに、他国の法制度との比較という視点ももたらされるものと考えられる。

山口 潤一郎

山口氏はビアリール合成法の開発を中心に成果を挙げている。同氏が進めてきたヘキサアリールベンゼンの合成やエステルを使ったクロスカップリングでは、ヘテロ環の性質を熟知しながら複雑な目的分子を効率的に構築している。特に、異なる芳香環をベンゼンに結合させたヘキサアリールベンゼンは,構造の面白さ、合成の巧みさを含めて独創性の高いホットトピックとなっている。同氏の挙げた研究成果は高インパクトの査読付国際誌に掲載され、被引用度も高く世界中の研究者の関心を惹いている。また,化学系ポータルサイトを立ち上げ、インターネットの普及を先導するようにウェブを通じた情報発信から教育まで強力なアウトプットを行なっている。同氏は新しい炭素—炭素結合反応、炭素—酸素結合反応の開発を組み合わせて、機能分子の自由自在なデザインと合成を実現している。また、理学的視点から新反応開発や新規化合物の合成を行うだけでなく、工学的視点からも応用が期待される分子の創製に力点を置き,社会的波及効果の大きい成果を挙げている。

吉田 知史

吉田氏は出芽酵母をモデル系として、遺伝学、細胞生物学的な手法を駆使して細胞極性の制御機構の研究を行なっている。具体的には、細胞極性を決める重要な因子であるRho1 GTP結合タンパク質に着目し、この因子が関わるシグナルネットワーク経路を明らかにした。この一連の研究は先進性に富む業績であり、海外の国際的評価の高い学術雑誌に掲載されている。また、国内外のさまざまな研究機関と共同研究を行い、国際的なネットワーク形成を作って研究を展開している点も高く評価できる。細胞極性の制御機構は酵母からヒトまで保存されており、その異常・機能不全がヒト疾患に関連することも知られている。それゆえ、吉田氏の研究は酵母にとどまらない生物学全体のテーマと捉えることができ、その学術的・社会的な波及効果は極めて高い。

ラーデマッハ クリストフ

ラーデマッハ氏は、特許やデザインに関する知的財産権法の分野において、日本語と英語による多くの研究業績を発表してきており、欧米の著名な出版社からも編著を出版してきている。研究内容も基礎理論と実務の双方の観点から、独自の視点を持った結論を導くものであり、学術的に高く評価されるべきものである。
日本、米国、ドイツの3か国で教育を受け、研究にも従事してきており、3か国の文化の深い理解が、その業績にいかんなく発揮されている点が高く評価される。その誠実な研究姿勢を考えれば、今後も、英語、日本語、ドイツ語の3か国語を駆使して、優れた研究を国際発信していくことが大いに期待される。
氏の研究分野は現代社会の経済活動において最も注目されている分野の一つである、知的財産権法に関わるものである。また、日本、米国、ドイツの文化、社会、及び法律実務の相違点を熟知した視点とアプローチは、比較法の分野においても大きな意味を持つと考えられる。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/research/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる