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2018年度 早稲田大学リサーチアワード WASEDA RESEARCH AWARD の受賞者が決定

早稲田大学では、独創的研究の推進と国際的な情報発信力の強化を目的として、2014年に早稲田大学リサーチアワードを設け、大規模な研究を主導的に推進している研究者および国際発信力の高い研究業績をあげている若手研究者を表彰しています。

本アワードには、大型研究プロジェクト推進(Large Research Project)と国際研究発信力(High-Impact Publication)があり、それぞれ正賞(賞状)ならびに副賞(大型研究プロジェクト推進は賞金50万円、国際研究発信力は賞金30万円)が授与されます。

早稲田大学リサーチアワード(大型研究プロジェクト推進)受賞者
WASEDA RESEARCH AWARD(Large Research Project)
(50音順)

2018年度
※前年度実績に基づく

氏名 研究課題名 研究費受入箇所名
大木 義路 電気・計装設備の長期健全性評価技術調査研究 理工学術院総合研究所
高西 淳夫 極限環境下での高いアクセシビリティを持つ脚型ロボットの開発 次世代ロボット研究機構
巽 宏平 自動車向けSiC耐熱モジュール実装技術の研究開発 情報生産システム研究科
林 泰弘 汎用的な実証基盤体系を利用したシナリオ対応型分散協調EMS実現手法の創出 スマート社会技術融合研究機構
由良 敬 創薬等ライフサイエンス研究を促進する研究支援とデータサイエンス 理工学術院

早稲田大学リサーチアワード(国際研究発信力)受賞者
WASEDA RESEARCH AWARD(High-Impact Publication)
(50音順)

青木 隆朗

青木氏は、量子光学を専門とし、光子と人工原子を含む原子との相互作用を、光素子のマイクロあるいはナノメートルレベルでの精緻な作製と評価により自在に制御する道を拓く実験研究を行っている。特にナノ光ファイバーをセシウムなどの原子、あるいはダイヤモンド中のNVセンターと結合させる高度な手法を用いて、将来の量子中継、量子コンピューティングのプラットフォームとなる基盤技術を確立しており、その研究成果は先進性・独創性・独自性が非常に高く、世界的な評価も高い。また、こうした研究はCaltechをはじめとする様々な大学と国際的な研究のネットワークを築いて行われているものであり、論文数・国際会議での招待講演数などの観点からみても、国際発信力は極めて高い。学術的な価値のみならず、量子技術の実用化の観点からも重要な基盤技術となる可能性があり、その波及効果は非常に大きい。

石井 裕之

石井氏は、主テーマである「ラットと移動ロボットのインタラクション」に関する研究は独自性が高く先駆的なテーマであり、これまでの研究成果において国際論文誌での年間最多閲覧を記録し論文賞を受賞するなど、国際的にも非常に高く評価され社会的波及効果の大きさを示してきた。また、このような活躍は有力科学雑誌記事でも紹介されており、加えてアメリカ、ドイツ、日本が参加しているインタラクションロボットに関する国際共同研究の枠組みであるInterACTや北京理工大学との共同研究による成果発信、国際会議での3 回の招待講演や早稲田のBrussels Office 支援の下でのワークショップ開催など、優れた国際発信力も示してきた。この結果、海外からの留学希望者も多く、これまでにリサーチインターンやリサーチフェローを数多く受け入れている。IEEE 主催・共催の国際会議のプログラム委員を務めるなど、世界的に認知されている若手研究者として、今後のさらなる研究の展開と国際的な活躍が大いに期待される。

稲村 一隆

稲村氏は、ケンブリッジ大学にてアリストテレスの政治哲学について研究し、その成果は、博士論文をもとに展開したJustice and Reciprocity in Aristotle’s Political Philosophy (Cambridge University Press, 2015)にまとめられ、出版されている。本書が収められたCambridge Classical Studiesシリーズは、ケンブリッジ大学における若手研究者の優れた最新成果を広く学界に紹介するための定評ある刊行物であり、実際、本書はすでに複数の国際誌の書評にとりあげられるなど、国際的に広く認知されている。アリストテレスの政治理論における現代的意義を明らかにすると同時に、アリストテレスの政治哲学について「応報、互恵性」という正義概念から、多様な解釈の可能性を導いたところに独創性が認められ、政治哲学分野における研究の発展に貢献するものとして、高く評価される。海外の研究者とのネットワークも広くもち、今後、世界的レベルにおける活躍がおおいに期待される。

上田 路子

上田氏は、経済学に基づく数学的なアプローチを用いて、自殺に関連した社会経済的要因をビッグデータをもとにして明らかにした。自然科学の研究手法を使ったデータ分析結果をもとに、経済学や政治学といった人文社会科学的知見をも融合させ、政策提言という次元にまで昇華させている点に独創性、独自性がある。多くの論文が英語であり、国際的発信力は高く、とりわけ、International Journal of Epidemiology(インパクトファクター、10.17)といったジャーナルに論文を発表していることは、評価することができる。Springerから出版された書籍Economic Analysis of Suicide Prevention: Towards Evidence-Based Policy-Makingは、長年の研究成果を総論から各論にいたるまでを系統的に論じた高著である。また共著論文は、世界保健機関(WHO)が2014年に発行した自殺対策に関するレポートPreventing suicideに引用されており、これが契機となって、他国の研究者も自殺の社会経済的要因に目を向けた研究を行うようになり、国際発信力だけでなく、その学術的・社会的波及効果の大きさをみることができる。

神前 裕

神前氏は、行動分析や破壊実験といった、行動科学のスタンダードな方法を踏襲しつつも、優れた行動課題のデザイン・セッティングや、その解釈によって、独自の世界を展開している。動物の行動のレパートリーの中では比較的新しく手付かずである領域を開拓している。きわめて精力的に研究をすすめ、成果を多くの査読付きの国際的なトップジャーナルに発表しており、研究の先進性、独創性が高く評価されている。
多数の研究成果を国際ジャーナルに投稿して国際的な発信を行っていることに加え、自身が学位を取得したCambridge大学や、その後研究を行ったCardiff大学の人脈上のつながりがあり、それをベースにし海外の研究者とのネットワークをいかした研究活動を進めて、その一部は科研費国際共同研究加速基金の取得につながっているという点からも国際発信力は高い。
我々の日常生活の行動とも深くかかわるものでありその学術的・社会波及効果も大きいと言うことができる。

杉目 恒志

杉目氏は、カーボンナノチューブ(CNT)に関する研究を推進し、特に高密度なカーボンナノチューブの合成技術において世界的な業績を挙げている。具体的には、CNTの触媒条件を精緻に選択し、金属基板上に世界最高密度に密集した垂直配向CNT(CNTフォレスト)の合成に成功している。この触媒条件の選択は物理化学に基づく知見から導かれ、得られたCNTフォレストの合理性検証も行っている。このようなアプローチは、CNT以外の物質合成への応用も可能とし、発展性が高い。実際、グラフェンの研究にもCNTフォレストでのアプローチを応用し、単層グラフェンの画期的な合成方法の提案も行っている。また、ケンブリッジ大学での研究経験を通じて培った海外研究者とのネットワークを活かし、多数の国際共著論文を発表している。現状、CNTフォレストやグラフェンそのものは広範には産業利用されてはいないが、今後の社会的インパクトを持つ可能性は高く、物理化学的な考察に基づく実証的な研究は、さらなる学術的波及効果も期待されている。

バックハウス ペート

バックハウス氏は、社会言語学を中軸に、幅広く言語と文化に関わるさまざまな事象についての研究と著作を行っている。同氏が英語と日本語で公刊した言語景観に関する著作は、社会言語学にあらたな研究課題を提示しただけでなく、日本語教育・観光開発など、関連する広範な研究者に引用・言及されている。介護者と被介護者の相互作用についての英語と日本語による著作は、「敬語・ポライトネス理論」・「職場とことば」・「高齢者とのコミュニケーション」などに関わる社会言語学の研究として傑出しているとともに、高齢化の進行する一般社会に対しても貢献度の高い成果である。迷惑メールのテキスト分析は、スパムメールを排除するシステムの開発に応用可能なだけでなく、女性語や役割語などの理論的研究にもつながる。こうした専門的な研究論文に加え、Japan Times に英語で日本の言語生活についての誰にでもわかりやすいエッセーを掲載しているなど、研究成果を広く一般社会に発信していることから、今回の受賞にふさわしいと考える。

浜野 正樹

浜野氏は、国際マクロ経済学および国際金融論の分野を担うリーディングリサーチャーになることが期待される人物である。同氏の一連の研究は、企業の市場への参入・退出が、国際貿易のみならず国際マクロ経済の実物面や金融面等などにも重要な影響をもちうることを、緻密な経済モデルシミュレーションによって明らかにするものであり、この点で独自性・独創性をもつといえる。また、国際貿易分野の経済モデルの応用可能性の範囲の広さを示したものであり、学術的な波及効果は今後高まっていくことが予想される。さらに、コンスタントに年間1~2本の論文を当該分野のトップジャーナルや高く評価されるジャーナルに発表しており、研究の国際的な発信力やアウトプット数に関して同分野の若手研究者のなかでは群を抜いている。以上の点より、今後も国際発信力のある質の高い研究業績を積み、当該分野の発展に大きく貢献することは十分に期待できる。

藤枝 俊宣

藤枝氏は、高分子ナノシート、バイオマテリアル・デバイスなどを開発し、生体情報を計測制御する研究業績は独創的・先端的であり、高く評価できる。研究開発の殆どは早稲田大学を中心として実施しているが、多くの学会や研究会においてリーダーを務めており、日本のこの分野のエース的存在と言える。イタリア技術研究所(IIT)ポスドク(2年)、欧州バイオメディカルグリーンサイエンス研究所(EBGS)研究員などの海外での研究経験がある。国内外の学会に参加し、自身の研究を発表する積極的な姿勢も評価できる。文部科学大臣表彰(若手科学者賞)、高分子学会・日本化学会・日本バイオマテリアル学会などの講演賞や奨励賞の受賞は、バイオマテリアル領域をリードする若手研究者であることを示すもので、今後の活躍が期待される。多くの競争的資金を獲得しており、その結果、新たな研究課題を創成する力があると評価する。バイオマテリアル・デバイスを活用する「医療・診断」領域でのイノベーションを目指して頂きたく、臨床研究の場での活躍を期待したい。

ブレーム ウィリアム

Working within the framework of comparative and international education with a focus on Southeast Asia generally and Cambodia specifically, Dr. Brehm has been studying the complex dynamics between universalism and cultural relativism through issues such as global education governance, historical memory, civil society, and educational privatization. He has been actively engaged in research addressing practical issues related to educational reform as a whole, at the same time ensuring theoretical depth in his work.
Given the scarcity of research on these topics in Southeast Asia, and since this research is setting out to explore areas as yet unexamined, Dr. Brehm’s research profile is original and unique. Many of his research results have been published in high-profile international journals. He also participates in a network of researchers from various countries, centered around the Comparative and International Education Society, and has obtained research grants for joint research projects. His work is widely disseminated and recognized internationally.
Dr. Brehm impacts the field of education beyond his research. Since 2015, he has hosted a weekly podcast called FreshEd. In these open-access shows, he discusses cutting edge research with education scholars around the world. The podcast has been downloaded over 200,000 times. In addition, he collaborates with organizations such as the World Bank, UNESCO, and the Asian Productivity Organization. These activities have substantial scientific impact and create a social ripple effect.

ホフマン レト トーマス

ホフマン氏は、主たる研究テーマが、イタリア・ファシズムが日本に与えた影響である。ドイツ・ナチズム、日本の天皇制ファシズムについては多くの学問的業績が生み出されているが、ムソリーニ、イタリア・ファシズムが日本の思想界に与えたインパクトについての研究は乏しく非常に注目される。この研究テーマの難しさは、文語文を含む日本語とイタリア語文献解読に熟達していることが必須であることにもあるが、主著The Fascist Effect: Japan and Italy 1915-1952 (2015年コーネル大出版会刊) は、この語学上の困難を完全にクリアしていることを示している。本書は日本、イタリアでの一次史料の精力的な調査・研究の結果であり、下位春吉というわが国でもいまだ知られることの少ない人物に注目し、長谷川如是閑ら当時の日本の論壇へのイタリア・ファシズムの影響を深く追究しており、その学術的価値は高い。また本書出版後3年ほどの間に、既にEnglish Historical Review, Historian 等の代表的な学会誌からも高い評価を受けている。本書出版に前後して、Journal of Global History などの国際的査読雑誌にも論文を発表しており、多くの国際学会で報告をするなど研究発信力はきわめて高く、学問的にも社会的にも評価されると信じる。

宮下 政司

宮下氏は、スポーツ科学を、身体活動と密接に関わるエネルギー代謝、生体・生理、体型・体力、栄養、消化・吸収、メンタル、記憶・認知などの幅広い健康機能性の面から研究している。身体活動(運動)を生理学、栄養学、公衆衛生学とリンクさせる先端的・独自的な研究を推進していることは評価できる。近年創成されつつある学術領域「スポーツ科学分野」における活躍は十分評価されて良いと思う。国際的な活躍は既に充分な実績があり、国際学術交流も盛んに行っており、今後、早稲田大学が国際教育研究拠点を目指す上でもリーダー的存在と考えられる。海外の学会の受賞歴、研究歴も有り、知名度は国内外で高い。スポーツ科学領域研究を国内外で進めるための社会的プラットフォームの構築に貢献するだろう。とくに社会的波及効果は大きく、本賞にふさわしいと考える。

望月 維人

望月氏は、磁性と強誘電性が共存するマルチフェロイックスと呼ばれる物質や、スキルミオンとよばれる渦状の磁気構造をもつ磁性体に関する理論的な研究を行っている。実験的に観測されたスキルミオンの現象がゲージ場の効果として記述できることを明らかにしたり、マルチフェロイックスにおける磁場による誘電分極の変化を数値シミュレーションによって明らかにするなど、常に実験結果に寄り添った理論研究を行っている。研究の多くは実験研究者との国際共同研究であり、2013年から2017年の期間に被引用数Top1%論文が4本あること、スキルミオンに関する単行本(英文)を2名の著者のうちの1名としてSpringerより出版していることなどを合わせて、その国際発信力は抜群であるといえる。さらに、こうした新しい物質機能について、常に技術応用への可能性を追求し社会的な波及効果を意識した議論を論文の中で展開している、数少ない物性理論の研究者の一人である。

横手 康二

横手氏は「協力ゲーム公理的分析」の分野において最も注目されている若手研究者の一人であり、これまでに極めて顕著な業績を挙げている。なかでも、Yokote, Funaki & Kamijo (2016)とそれに関連した研究において、独創的なアイデアを用い、協力ゲームにおける配分ルールが満たすべき性質に関する様々な結果を示したことは学術的に高く評価できる。それに加え、2015年から2017年の3年間に、Journal of Economic TheoryやJournal of Mathematical Economicsなどのゲーム理論および数理経済学におけるトップジャーナルに掲載されたものを含む10本もの論文を査読付き国際学術誌に発表している。これは、当該分野の研究者として非常に高い国際的発信力をもつことの証左である。また、一連の研究は、経済学のみならず、理工学の諸分野における計画問題などで適用例が多いシャープレイ値に関するものであり、大きな波及効果を伴っている。以上のような研究内容の先進性および国際発信力、そして研究結果がもちうる社会的波及効果を鑑みると、今後さらなる活躍が期待できる研究者であると結論付けることができる。

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