Gender and Sexuality Center早稲田大学 ジェンダー・セクシュアリティ・センター(GSセンター)

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【活動報告19-02】「なぜ女性だけが速く走ってはいけないのか?」から考えるセクシズム

「なぜ女性だけが速く走ってはいけないのか?ーインターセックス/性分化疾患から考えるセクシズム」と題したトークイベントが2019年6月15日、早稲田キャンパス8号館で行われました。

性分化疾患/インターセックス当事者で、性分化疾患情報サイト「ネクスDSDジャパン」を主宰されているヨ・ヘイルさんと、同じく性分化疾患/インターセックスの当事者でNPO法人バブリングに所属されているCHIKAKOさんをお招きし、GSセンター専門職員でXジェンダーでもある大賀一樹を交えながら講演会を行いました。当日の悪天候にもかかわらず50名近くの方にお越し頂き、登壇者の方々と性分化疾患やスポーツとジェンダーについて考えるイベントになりました。

※本イベントは写真撮影及び録音が一切禁止の中行われましたので、写真の掲載はございません。予めご了承ください。

 

【性分化疾患/インターセックスについての基礎知識講座】

まず始めに、第一部ではヨ・ヘイルさんに「体の性の様々な発達(性分化疾患/インターセックス)」についてお話しいただきました。

説明の中では、体の性の様々な発達のことを総称してDSDs (Differences of Sex Development) ということや、DSDsやインターセックスは総称でしかなく実際には約30種に細かく分類されていること、具体的な症例や医療現場における認識の変遷について紹介していただきました。また、DSDsに対する偏見と当事者の声、LGBTQ等のセクシュアルマイノリティの人々との関係などについても、多くのDSDs当事者の声をもとにした視点から分析的にお話しいただきました。特に、「第三の性」が多くの場合、当事者から望まれていないという事実をご自身の体験談などを交えながらわかりやすくご説明いただき、大変有意義な時間となりました。

フロアからの質問では、ヨ・ヘイルさんとCHIKAKOさんにお答え頂きました。近年のヨーロッパにおける対応医療についてや、日本国内の医療現場におけるインターセックスについての情報格差などについてが話題にのぼりました。

【なぜ女性だけが速く走ってはいけないのか?】

後半では「女性ではない」ことが疑われオリンピックへの出場資格を制限されたキャスター・セメンヤさんの事例を中心に、性分化疾患を通したスポーツにおける女性差別についてお話いただきました。

競技の公平性を謳い、選手がモノのような扱いを受けた裏側にはどんな社会的規範や言説が隠れているのかを考える大変貴重な時間でした。

女性選手だけが「普通でない」ことにより規制の対象になる現状や、性差別のみにとどまらず、人種差別、ルッキズムなど幅広くお話しいただき、あらためて「なぜ女性だけが速く走ってはいけないのか」について様々な観点から考えられるようなイベントとなりました。

参考リンク:「ONE TRACK MINDS

 

【イベント報告者より】

GSセンター専門職員(ファシリテーター) 大賀 より

ご参加してくださった方、本当にありがとうございました。また、当日雨天で難しかった方や他のイベントや予定と重なり来られなかった方にとって、少しでも会場の雰囲気をこの記事で感じていただければ幸いです。
本日行ったイベントの前、打ち合わせでの話が印象的だったので共有します。私はXジェンダーであり、性別二元性に対して問い直しをしたり、その前提について違う視点で考えようと提案するタイプである一方、ヘイルさんのスライドでは、DSDsの多くが、第三の性であるかのようなステレオタイプや、美化や象徴化によって苦しめられてきたことを語ってくれました。私たちは最初、コミュニケーションをする際、お互いを傷つけないように、でもこのイベントが、どのような立場の人にとっても有意義であるように、誤解を恐れず色々な話をしました。そして、ヘイルさんの方から、「これこそが“LGBTI”だね。この会議をしていること自体が。DSDsを矮小化することもなく、セクシュアルマイノリティが抱えている問題も含めて考えていくこと。DSDsにもLGBTQはいるし、LGBTQにもDSDsはいる。この連帯こそが、必要な信頼関係ですね。」と仰って頂けたことが非常に、非常にうれしかったことを記憶しています。今まで、私が知識不足で、DSDsのサポートについて語ることで却って当事者を傷つけてしまうのではないか?私の無知により偏見が助長したら…と考えていましたが、こうやってお互いにコンセンサスを取ることで、少しずつ、私も“LGBTI”としての連帯を語ることができるようになればと思った次第です。今後、GSセンターで行うイベントでも、DSDsの視点も忘れず、フェミニズムの視点も忘れず、私自身のセクシュアリティも大事にしていこうと決めた大事な日となりました。

 

GSセンタースタッフ ちゃんまな より

参加者の皆さんからは「当事者の方の声を直接聞く機会はなかなかないので貴重な時間だった」また、「多くのインターセックス当事者が『第三の性』を望んでいないということをはじめて知った」などといった感想を多くいただきました。

ご来場下さった皆様、お足元の悪い中本当にありがとうございました。本イベントの記録はGSセンターにて閲覧することができますので、当日ご参加いただけなかった方も是非GSセンターにお越しください。

GSセンターは、早稲田大学のLGBTQ+(性的マイノリティなど)学生や、ジェンダー・セクシュアリティに関心のある全ての人(アライ含む)の居場所であり、誰もが自由に利用できるセーファースペース兼リソースセンターです。

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