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とある理工系教員の育休体験
理工学術院 教授 岩瀬 英治

連載 ワーク・ライフ・バランス挑戦中! 第33回

とある理工系教員の育休体験

理工学術院 教授 岩瀬 英治

誰の役にも立たないけれど、誰かの役に立つかも

▲育児と仕事の両立中?

記事執筆のご依頼をいただき、私自身がこだわりをもって育休を取得した経験が、どなたかの役に立てばと思い、お引き受けしました。しかし、いざ書こうとすると、「これは誰に役立つのだろうか」と考え込んでしまいました。教員、教授、男性、理工系――自分の立場はそれなりに「特殊」であり、果たして誰かの参考になるのだろうかと思ったためです。

一方で考えを巡らせるうちに、仕事や育児において、誰もがそれぞれ異なる事情を抱えており、誰一人として同じ状況の人はいない、つまり誰もがそれぞれ「特殊」なのだという思いに至りました。そこで、「誰かの役に立つ」ことを意識するのはやめ、自分の体験を率直に書くことにしました。結果として、誰の役にも立たない内容かもしれませんが、どこか一部でも誰かの役に立てば幸いです。

育休を取得した経緯

▲育休より後の話ですが、妻の仕事で1カ月間、家族でアメリカに。1週間の海外ワンオペ育児も経験しました。

私には4年前、9月に第一子の娘が生まれ、9〜12月の4か月間、育休を取得しました。理工系の男性教員(教授)が4か月の育休を取る例は、当時も今も多くはないように思います。「育休を長く取る男性は、妻に言われたか、仕事が嫌いかだ」という意見をSNSで見たことがありますが、私はどちらでもありません。むしろ仕事、特に研究や教育は好きな方です。

私のモットーは「自分がしたいことをするために、様々なことを頑張る」であり、育児は私にとって「自分がしたいこと」でした。また知人の言葉ですが、「人の価値は、その人がいる世界といない世界の差分である」という考え方に共感する部分があります。研究などもそのような側面がありますが、「自分がいなくても進んでいくことよりも、自分がいなければ生まれなかったもの」に価値を感じます。その意味で、我が子の育児は大きな「差分」を生むものであり、積極的に関わりたいと思いました。

育休は育児休暇ではなく育児休業

▲今も、仕事も育児も全力で取り組んでいます。

育休は「休暇」ではなく、「休業」であるということを実感しました。取得前は育休中に次の研究のアイデアを考えたりしようかなと思ったりしていましたが、そんな余裕はなく、まとまった思考の時間を取ることもできませんでした。

また、育休が「休業」であることによる最大の課題は、研究室の運営でした。理工系では研究室単位で学部・大学院生の研究指導を行い、専門性も高いため、簡単に他の教員に代替をお願いできるものではありません。これは性別に関係なく、理工系教員に共通する悩みだと思います。週に半日だけでも研究打合せが行えればある程度の研究室運営は可能だと感じるのですが、当時の制度では完全な休業のため叶いませんでした(制度は変化しつつあり、今後に期待しています)。非常勤講師などの支援制度を利用するという方法もありますが、私の場合は、任期付き講師の先生と博士課程の学生に、研究室運営の一部をお願いしました。

研究と育児は、「自分がしたいこと」という他に、「いくら時間をかけても十分ということはない」という点でも似ているように感じています。すべてがうまくいったということはなく、研究室メンバー、学科の先生方、共同研究者、講義を代講してくださった方々など、多くの方の理解と協力があって実現した育休であり、今も深く感謝しています。育休制度も多様な状況に対応しつつありますので、それぞれの方の「特殊」に応じた、「したい」形の育休が取れるようになってゆくと良いと思っております。

岩瀬 英治(いわせ えいじ)
2012年に早稲田大学理工学術院に専任講師として着任。准教授を経て、2019年より同学術院教授。2016年に早稲田大学大隈記念学術院褒賞(奨励賞)を受賞、2023年に早稲田大学次代の中枢研究者育成プログラムの支援対象に選出。

 

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