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優秀な女性研究者の採用促進のために ―理工学術院女性キャリア支援制度―

SDGsにおけるジェンダー平等が叫ばれる中、本学における任期の定めのない女性専任教員比率は16.4%(任期の定めのある常勤教員、常勤研究員を含めても19.4%)と低く、ジェンダーギャップの是正に向けた一層の努力が求められます。各学術院では、さまざまな施策が検討されているところですが、すでに独自施策により成果を出しつつある理工学術院の取組みをご紹介します。

理工学術院(学術院長:菅野重樹教授)では、優秀な女性教員の採用促進策として、2018年度より「女性キャリア支援制度」を設け、研究資金を支給(実験系では200万円、非実験系では100万円を上限)しています。研究を立ち上げるための環境整備、研究力の向上や研究成果の発信、外部資金の獲得等に繋げてもらうことを目的としたこの制度。これまでに10名の女性研究者が支援を受けてきました。取組みの甲斐もあり、2017年度では14名(4.5%)であった女性専任教員が、2021年度には25名(8.2%)まで増加しました。


積極的な女性採用、研究支援は「未来への投資」

竹内淳教授

当時の理工学術院長として制度導入を牽引された竹内淳教授から、制度に込めた思いをうかがいました。 「女性の社会進出における日本の後進性、とりわけ研究者に占める女性比率が先進国では最低水準であることへの強い懸念を抱いていました。少子高齢化が進む日本において、女性が活躍する社会への改革はとても重要です。また、理工三学部に進学する女子学生が増える中で女性教員比率が低いことは大きな問題です。女子学生が抱える問題に適切に対応するためには女性教員を増やすことが急務と考え、女性教員の積極採用、女性限定採用などの戦略的施策に取り組んできました。

一方、理系の女性研究者は母集団が少ないため、採用にあたっては熾烈な獲得競争に晒されます。また、女性の研究費が相対的に低いという実態への憂慮もあります。科研費等の審査は実績主義であるため、出産・育児等の影響で研究に専念しにくい時期がある女性研究者は論文数が相対的に少ないことをもって十分な研究費を獲得できず、結果として業績が上がらない、という負のスパイラルを断ち切ることが重要と考えていました。そこで、優秀な女性研究者採用のための施策として研究支援策は不可欠であると考え、導入を決意しました」

鬼頭朋見准教授

2018年度に着任し、本制度の適用を受けた鬼頭朋見准教授は当時を振り返り、語ります。「着任直前に第一子を出産し、初年度の講義準備と子育てに追われ、研究との両立が大変な時期に支援金をいただいたおかげで研究環境を整備することができました。おかげさまで、精神面でも資金面でも安心を得ることができ、結果として応募した科研費も採択され、早稲田での研究活動を軌道に乗せることができました。使途の限定されない自由な資金はありがたく、特定の研究費が用意されていなかった活動(書籍の出版や研究者とのネットワーク構築)にも役立ち、研究活動の幅を拡げるために活用できました。長期的な視点で、研究を立ち上げるにあたり必要な下準備ができたと思い、感謝しています」 

菅野重樹教授

学術院長の菅野重樹教授は「今後も、優秀な女性研究者に対する支援を続けるとともに、女子高校生へ向けた理工の広報も強化し、理系女子学生および女性研究者が増える努力を続けます。しかし、女性研究者支援は理工学術院の努力だけでは限界があるので、今後は大学全体の施策として積極的に検討されるべきと考えます」と語ります。

女性教員を増やすための不断の努力によって、女性教員は女子学生にとっての「身近なロールモデル」となり、研究者を志す女子学生が増えるという好循環が生まれます。そして、女性教員比率の向上はやがて「研究教育活動におけるイノベーション」をもたらし、将来的な本学の価値向上に資するでしょう。女性教員の積極採用・支援は、まさに「未来への投資」であり、全学的取組みとなることが期待されます。

 

▲支援金を活用しての研究出張(北欧)にて、ベビーカーを押す鬼頭先生

 

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