Office for Promotion of Equality and Diversity早稲田大学 ダイバーシティ推進室

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【開催報告】「居場所」のない男、「時間」がない女~ワークライフアンバランスな日本社会を考える~(10/26)

2018 年10 月26 日、早稲田大学大隈小講堂にて、詩人で社会学者の水無田気流先生を講師にお迎えし公開講演会を開催しました。本学の学生・教職員や一般の方々など146 名の参加がありました。

冒頭、男女共同参画・ダイバーシティの推進プロジェクトリーダーでダイバーシティ推進担当理事である畑惠子社会科学総合学術院教授より、「早稲田大学は、2007 年より男女共同参画に取り組み始め、ワークライフバランスを掲げてきたが、今回のテーマにあるように、まだワークライフアンバランスと言わざるをえない社会状況がある、多様な人々が分け隔てなく学び、働ける環境がある心地よい社会の実現を目指していくために、みなさんと一緒に考えていきたい」と開会の挨拶がありました。

水無田先生は、日本における女性の時間貧困問題と男性の関係貧困問題を取り上げ、「女性は、周囲からのストレスを感じやすいが、ストレスを人に話すことが出来るため解消も早い、反対に男性は、弱みを見せると社会的立場を失ってしまうと考えるため、ストレスを周りに伝えることが出来ず、同性と会えなくなり孤立する傾向がある」と日本人男性の関係貧困の深刻な問題を、自殺率の例をもって説明されました。加えて、日本の既婚女性は先進国で最も「働きバチ」であり、しかし、その現状を認識している夫は47%である、男性と女性では日常が違いすぎるというジェンダーセグリゲーション(性別分離)の社会が日本にあるとされました。
長時間労働が必須で男性社会である日本の組織において、出産・育児後の女性に対し、家庭と仕事との両立の為の配慮として仕事を軽減する措置がとられることが多いが、仕事内容の変化は人事評価に影響を及ぼす結果となり、このことにより、本人が仕事への行き詰まりを感じ、離職へ繋がるという日本女性独特の離職理由を挙げられました。また、国際比較データをもとに子どもの有無による男女賃金格差が示され、重い家庭責任を負う日本女性は、ケアワーク(育児や介護)の為に働き方を変えることが多い、ケアワークと就業の両立が難しい日本社会であることがそもそも問題であり、同一労働同一賃金制度の必要性を示唆し、単位時間当たりの評価を現在の人事評価制度に取り入れるべきとされました。
2016 年度に社会現象になったドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のセリフ「やり甲斐搾取」という表現とともに、日本社会において妻や母の仕事とされる家事・育児の仕事量はブラック企業の労働量であり無償の愛とされる、日本人女性はブラック労働と表現されました。また、子どもがいる女性の働き方は、正規雇用のキャリアウーマンではなく非正規雇用のパートタイム労働者や主婦が多いという総務省の調査結果が紹介され、「日本型性別分業制を超え幸せになるには、男女問わず総合的な働き方・暮らし方の見直しが必要であり、働き方改革とともに暮らし方改革、全方位的な雇用環境の改善が必要」という言葉で締めくくられました。


講演後の、事前に寄せられた質問に対する回答の中で、税制は男女平等参画に大きく影響があること、旧来型の家庭像を前提とした制度や支援ではなく、ケアワーク負担ごとの税の控除や保障といった新しい時代にフィットした制度に新調すべきと、スウェーデンやオランダの事例を紹介されました。また、現代詩人の立場から、日本語は含みのある言葉であり聴き手が忖度する言葉であり、この日本的要素がダイバーシティの推進を妨げている、日本社会において、多様な人々とのコミュニケーションをとる為に言語化が必要ではないかとされました。参加者からは「女性活躍推進という言葉がモヤモヤしていた、女性と同時に男性側の改革が不可欠だと思う」「これからの人生設計に参考になった」「様々なデータをもとに現代社会と絡ませて解説していただき、解りやすく学ぶことが出来た」「改めて、夫が支えてくれている家事分担について感謝したい」等、参加者自身の立場から、この問題を考える意見が届きました。

*開催報告(PDF)のダウンロードはこちらから

以  上

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