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男女共同参画・ダイバーシティの推進プロジェクト講演会(公開) 「男性が介護を担うとき~仕事と介護の両立を目指すには~」開催報告

畑先生 2016アルバム 073-2

標記の公開講演会を、2016 年10 月7 日、立命館大学産業社会学部教授の津止正敏氏をお迎えし、26号館大隈タワーで開催いたしました。参加者数は、本学の学生・教職員だけでなく、他大学や企業からの一般の方々を含めた24 名となりました。

はじめに、早稲田大学ダイバーシティ推進担当理事 畑惠子教授より、ダイバーシティ推進の一つの柱として男女共同参画は重要な課題でり女性だけではなく男性の働き方・生活のしかたを考える必要があること、「介護」は世代も性別も問わない問題であることが述べられ、「この講演をこれからの生活に役立てていただきたい」との開会挨拶がありました。
津止先生 2016画像 009続いて本日の講演者津止正敏先生が登壇され、「男性介護者という言葉が使われはじめたが、ニュースで配信される場合、事件の加害者というイメージが強い、『介護は家族の中で加害者と被害者がでる』という現実にとても心が痛み、社会的な支援が必要ではないかと考え、男性介護支援のネットワーク組織を立ちあげ活動している」と支援を始めたきっかけと、今までおこなってきた男性介護者の交流会がはじめに紹介されました。次に、支援活動の中で直接届いた声を交えながら、「遠距離介護も増えており、育児や介護を担うケアラーと呼ばれる人は、日本において人口の2 割とも言われている」とい現状が伝えられ、また社会保険制度や介護保険制度の変化による介護形態の多様化と在宅介護の長期化や重度化、介護に関わる人々の高齢化について、数値データが示されました。これからは誰もが『介護する/される』時代となり、仕事と介護の両立ができる社会・職場が必要であること、男性介護者が言葉にして発信する場所が不可欠であること、介護当事者に寄り添い一緒に考える支援こそ『介護離職防止』の最も確かな援助であるという具体的な支援方法を伝えられました。「今のような介護を排除して成り立つ暮らしや働き方ではなく、介護のある暮らしや働き方ができる社会を標準にすべきで、これからの社会生活のテーマである」と締めくくられました。津止先生 2016画像 005

講演後の質疑応答は、ダイバーシティ推進委員会委員長 矢口徹也教授が進行し、参加者からは色々な視点からの質問が届き、津止先生より一つ一つ丁寧にお答えいただきました。

最後に矢口教授より閉会の挨拶として、学部生を対象に行ったワークライフバランスのアンケート結果―多くの在学生が親世代の介護について関心を抱いている現状、が紹介されました。その上で、介護は、福祉の問題のみでなく、人が「働くこと」「生きること」「育てること」と関る課題であり、大学でも学生たちと考えていくテーマのひとつと感じている、とお話がありました。

参加者からは、「複雑化する介護の実態を、リアリティをもって感じることができた」「多くのデータを示していただき、勉強になった」「介護を生きるモデルとするという視点にはっとさせられた」と、年齢層や立場の違いからの幅広い感想が寄せられ、それぞれの気づきが与えられた満足度の高い講演会となりました。

矢口先生・津止先生 全体2016画像 019 - コピー

〈2016 年度サポート交流事業〉

*開催報告(PDF)のダウンロードはこちらから

参加者の声:「つながろう、介護者」

この講演から学んだことは、「介護をめぐる現状の厳しさ」と「介護者ネットワークがもつ希望」でした。
様々な統計データや当事者の体験談などから伝えられた介護をめぐる現状は、これまで報道等で知っていたことを超えて深刻かつ複雑なものでした。社会が大き く変化するなかで、介護する/される人の関係性も、要介護者の状況も、介護の形も、「今、こうなっています」と一括りにして説明できないほど多様かつ複雑 になっている、ということを認識しました。「これが問題だから、こうすればいい」と簡単に言い切れるほど、介護の問題をめぐる構図は単純ではない、と気づ かされました。
しかし、講演で重きが置かれていたのは、前段のような「問題」に加えて、男性介護者のネットワークづくりに見える「希望」でした。介護の感情や経験を分か ち合う場を設けることにより、介護者が「ひとりじゃない」「他者の経験が役立つ」という気づきを得られることは、「誰もが『介護する/される』という暮ら し方」が広がる今とこれからにおいて、重要なことであると考えます。講演の最後に、「『介護を排除して成り立つ暮らしや働き方』ではなく『介護のある暮ら しや働き方を社会の標準に』」というメッセージがありました。その理念を実現するための仕組みづくりや実践に取り組むことが、これからの重要な課題である と考えます。
今年、私の就職先が決まるとともに、父が還暦を迎えました。この講演をきっかけに、「男が介護を担うとき」に備え、「仕事と介護の両立」をどうするべきか、社会課題と自分事の両面で考えていきたいと思います。
文学部4年 小陳 泰平

 

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