2016 年7月1日、男女共同参画推進室を発展的に改組し、早稲田大学ダイバーシティ推進室を開設いたしました。本学におけるダイバーシティ推進についてお話しをいただきました。
鎌田 薫 早稲田大学総長
畑 惠子 ダイバーシティ推進担当理事
矢口 徹也 ダイバーシティ推進室長
矢口:このたび、男女共同参画推進室長の役職を引き継ぎ、ダイバーシティ推進室長として指名を受けました。早稲田大学では創立125年をむかえた2007年、教育・研究活動や学術・研究分野における男女共同参画の促進、誰もが能力を発揮できる環境の整備などが宣言されました。そして、2012年、「Waseda Vision 150」が策定され、2032年に向けた核心戦略の中に「男女共同参画」「ダイバーシティ」が盛り込まれました。この流れを受け「ダイバーシティ推進室」が始動しました。
鎌田:早稲田大学は、創立以来、全国各地の志ある学生を広く受け入れるだけでなく、早くからアジアの留学生や女子学生にも門戸を開いてきました。このように多様な人たちが集い切磋琢磨するなかで育まれてきた早稲田の学風と文化をさらに発展すべく、「Waseda Vision150 」では多様性の尊重と推進が謳われています。多様な知を組織するためには新たな視点と思考の導入が不可欠であり、このために教育・研究・大学運営への女性や外国人の参画を求め、また年齢、性別、専門、地域などを超えた、目的を共有する人々からなる新たなコミュニティの形成が必要であると考えています。
畑:本学ではこれまで「ダイバーシティ推進」それ自体を目標に掲げることはありませんでしたが、学内のさまざまな箇所で個別に地道な取り組みがなされてきました。矢口室長の言葉にもありましたように、男女共同参画は2007年以来、同推進室を中心に活動が続けられてきましたし、Waseda Vision 150では2032年の学生・教職員における女性・外国人比率の数値目標が示されています。学生部には障がい学生支援室や国際コミュニティセンターが開設され、学生たちからのLGBT学生センター設置の提案は実現に向けた検討がされています。これらはすべて、「ダイバーシティの推進」に収斂するものであり、特定の属性によって差別されることなく、全構成員がその能力を十全に発揮することによって新たな知を創出し、学内だけでなく社会全体の多様な生の共存に貢献することに繋がります。
鎌田:今日、「ダイバーシティ」は、性別、国籍、エスニシティなどだけにとどまらず、さまざまな少数者への配慮をも含む概念になっています。その推進のためには、異なるものに対する寛容さがあればよいというわけでなく、参画の機会とその利益の平等な享受を保障していかねばなりません。大学は理念を率先して実践し、よき社会の実現のために提言していく使命を担っています。
畑:そのために私たちに求められるのは、その意義を理解し、日常生活のなかで問題を見つけ解決していく姿勢を養うことであると思います。
矢口:多様な人々が集うことが早稲田大学の特色であり、お互いの個性を認め合って成長していける空間がこの大学の魅力であると思います。本学がダイバーシティ推進を掲げる意味を確認し、また、多くのみなさんのご意見を頂きながらこの課題に取り組んでいきたい、と考えています。
本学のダイバーシティ推進への取り組みに、大学構成員・関係の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。