Office for Promotion of Equality and Diversity早稲田大学 ダイバーシティ推進室

「私のワークライフバランス」を希求して 法学学術院・石田京子准教授

連載 ワークライフバランス挑戦中! 第12回

「私のワークライフバランス」を希求して

法学学術院准教授 石田京子

出産しても「止まらない」

子どもが生まれるまでは、研究室に12時過ぎまでこもることは珍しくなかった。臨月のお腹を抱えて深夜12時過ぎに大学の門を通ると、必ず守衛さんがギョッとしていた。そんな生活は、2011年に長男が生まれてからほぼ不可能になった。当時助教だった私も、希望すれば恐らく育休取得は可能であったと思うが、育休を取ることはまったく考えていなかった。研究者としてまだ駆け出しの段階で、ようやく自分の仕事というものが見えてきそうな時期に、たとえ数ヶ月でも立ち止まることが怖かった。保育園が空くまでは、息子をベビーシッターに預けて、それまでよりは遙かに短い時間、講義や研究にあてた。

2013年、次男が生まれた。このときは少しばかり悩んだが、やはり育休は取らないことにした。育休を取らないで復帰すればそれだけ子どもたちに接する時間が減ってしまうが、年度明けから保育園に入れることを考えるならば、早めにその体制を整えた方が良いようにも思えた。結局、二人目の時もベビーシッターを雇い、産休から復帰した。

常に心がけているのは、「止まらない」こと。家庭も仕事も大事ならば、両方精一杯大切にするしかない。毎日少しでも仕事を進める。でも子どもの目の前にいるときは精一杯の愛情で接する。時々、周りの人から「仕事はいつでもできる、育児は今しかできない」と言われるが、今しかできないことがあるのは、研究も同じだ。そして「今が一番可愛いとき」という言葉も信じていない。

子どもはいつだって愛おしいはずだ。確かに幼少期はためらいなく愛情表現ができる貴重な時期かもしれないが、少しずつ母親よりも友だちに気持ちが向かっていく長男の可愛さが薄れていくとは思わない。一緒に居られる限られた時間、きちんと子どもと向き合う姿勢をいつまでも忘れないようにしたいと思っている。

大して守れていない「マイルール」とその効果

多くの子育て中の人がそうであるように、私も圧倒的に時間が足りない。私が研究の対象としている司法制度や法曹制度は近年変化が激しい。時機を得た研究をしたいと思いつつ、十分な時間が取れないことに常にもどかしさを感じている。保育園は夜8時半まで利用できるが、子どもたちは長時間外で過ごすと体調を崩しやすくなる。子どもが寝てから仕事ができれば良いが、私がそっとベッドを抜け出して仕事をすると、次男が大声で怒って私を呼びにくる。でも、夕方に一切仕事を入れないという選択肢は私には取れないし、毎日子どもたちと一緒の就寝・起床をしていては家事も仕事も回らない。そこで可能な限り周りの人の手を借りて、私なりのルールを掲げることにした。(1)夕方に仕事を入れるときには、保育園のお迎えから夕食、入浴までベビーシッターにお願いする。ただし、可能な限り週1回に留める。(2)週末の研究会への出席は土日のいずれかに留め、少なくとも1日は家族と過ごす。(3)深夜の仕事は週2回に留める。実は、どれも大して守れていない。週末、子どもたちと終日「戦いごっこ」をしてくれる夫にはいつも心から感謝している。母乳しか飲まない時期から週末私が家を空けていたこともあり、子どもたちはパパ、ママの役割に違いがあると思っていない。長男が片言で言葉を話し始めた頃、いつも不思議そうに「パパ、おっぱい、なーい!」と言っていた。

多様なワークライフバランスを認める社会へ

少し前の世代の先輩方よりも、私ははるかに恵まれた環境で子育てしながら仕事も続けさせていただいている。近年、手軽に利用できる育児サービスは急速に増えたし、仕事を持つ親に配慮した諸制度も飛躍的に整備された。ただ、これで当事者の悩みがなくなったかといえば、それは別の話である。週末に仕事を入れるべきか、風邪気味の子供をベビーシッターに預けてまで夕方の研究会に出るべきか。常にジレンマを感じている。それでも、悩んで自分で選んで実践できることはやはり恵まれていることだと感じる。個々人が自分なりのワークライフバランスを悩みながら選択し、実践できる環境がより進めばと思う。

略歴

国際基督教大学教養学部卒。東京工業大学大学院にて学術修士、ワシントン大学にて法学修士ならびに法学博士を取得。ワシントン大学での研究員を経て、2007年本学法学学術院比較法研究所助手、2009年より法務研究科助教、2012年より現職。

専門領域

法学(法曹倫理、法社会学、ジェンダー法)

家族構成

夫と息子2人(4歳と1歳)の4人家族

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