オーストラリア研究所【第Ⅳ期】【活動終了】
Institute of Australian Studies
研究テーマ
SDGs(Sustainable Development Goals)は、地球環境や経済活動、人々の暮らしなどを持続可能とするために、すべての国連加盟国が2030年までに取り組む行動計画であり、「誰も置き去りにしない(leaving no one left behind)」を共通理念として打ち出し、2015年の国連総会で採択された。国連が、2001年に策定した「ミレニアム開発目標」(MDGs)は、発展途上国が抱える問題を挙げたが、先進国主導の内容であったため、課題も指摘されていた、その後継であるSDGsは、ジェンダー平等の達成や、国内の不平等の削減、安全で働きがいのある仕事の提供などの課題が盛り込まれている。オーストラリア研究所は、SDGsをメインテーマに、オーストラリアが抱える課題を検証しながら、日本の地域社会の現在および将来の課題を、多文化、演劇、先住民、移民政策、言語教育政策、スポーツなどといった観点から考察する。
分野:地域社会の未来に貢献する
研究概要
オーストラリアと日本は、ともに、アジア太平洋経済協力(APEC)、ASEAN地域フォーラム(ARF)そして東アジアサミット(EAS)を含む、様々な地域のフォーラムで連携している。さらに、オーストラリアは、自然環境においては世界をリードし、OECD(経済協力開発機構)が調査した「より良い暮らし指標(BLI)」では、常に最上位にランクされている。そうした国の特徴として、当申請書の研究分野で記述したように、持続可能性(Sustainability)が挙げられる。その具体的なテーマに、健康・福祉、飢餓、貧困、質の高い教育、ジェンダー、気候変動、クリーン・エネルギー、人種などがあるが、オーストラリアは、現在、そして将来の日本の持続可能な諸課題を考える上で、そうしたテーマ研究の模範的なフィールドとなっている。すべての国連加盟国が2030年までに取り組む行動計画であり、「誰も置き去りにしない(leaving no one left behind)」を共通理念を、オーストラリア研究の枠組みで、検証する意義がある。
①出版プロジェクト:現在の研究所の構成メンバーは、専任、招聘研究員を含め、多文化社会、文学、演劇、先住民、移民政策、言語教育政策、スポーツなどを専門とする研究者であるが、共通の課題として、それぞれの研究課題を「持続可能性」というテーマで、どのように深化させられるかを検証してきた。具体的には、以下のような出版物で発信してきたが、今後も、引き続き、このような研究分野での検証を継続させ、出版を通して成果を世に問うていきたい。
これまでの研究所編による出版物
2009年『オーストラリア-多文化社会日本への提言-』
2012年『世界の中のオーストラリア-社会と文化のグローバリゼーション』
2014年『映画で知るオーストラリア』
今後の研究期間における出版プロジェクト
2018年『サスティナビリティ・サイエンスとオーストラリア研究:地域性を超えた持続可能な地球社会への展望』
2019年『食文化で知るオーストラリア』
2020年『オーストラリアーサスティナビリティの先進課題に取り組む』
②舞台芸術上演プロジェクト:これまで『サファイアーズ』『年に一度のあの日』『ノームとアーメッド』など、オーストラリア文学史・演劇史上重要な戯曲の日本初演プロジェクトに携わってきた活動を継承し、今後の研究期間でもオーストラリアの多文化社会を反映した舞台作品の日本上演プロジェクトを、研究所として主体的に推進する。オーストラリアにおける日系人ディアスポラの埋もれた歴史を発掘した演劇作品を大学で上演し、その歴史的・社会的背景と演劇学的意味を探るシンポジウムを開催する。またこれを大学の授業の教材としても活用し、研究と教育の両面で成果を得られるようにする。
③アウトリーチ活動:本研究員が毎年講演活動を行ってきた日豪合同セミナーについて、新たな研究期間内でも上記の研究の成果を積極的に一般聴衆に公開し、アウトリーチ活動を活発に行っていく。
所長
宮崎 里司[みやざき さとし](国際学術院教授)
メンバー
【研究所員】
宮崎 里司(国際学術院教授)
澤田 敬司(法学学術院教授)
ストックウェル グレン(法学学術院教授)
川上 郁雄(国際学術院教授)
【招聘研究員】
樋口 くみ子(大阪経済法科大学准教授)
嶋津 拓(埼玉大学大学院人文社会科学研究科教授、埼玉大学教育機構日本語教育センター長)