Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

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中央ユーラシア歴史文化研究所【第Ⅰ期】
Institute for Central Eurasian History and Culture

【終了】2011~2016年度
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研究テーマ

中央ユーラシアにおける多言語コミュニケーション歴史的展開

分野:文化

研究概要

中央ユーラシアは、固有の諸言語・文化に加えて、中国・インド・西アジア・ヨーロッパ等に由来する多種多様な言語や宗教が交錯する地域であった。そこでは、多言語間のコミュニケーションや翻訳が常に重要な問題であり、外交や文化交流に大きな影響を及ぼしてきた。その実相を探ることを通じて、中央ユーラシア史の再検討を試みる。
但し中央ユーラシアは広大な歴史空間であり、時代・地域等を限定しなければ、具体的成果を挙げることは望みえない。そこで、当面は17世紀以降の近世・近代を中心とし、次の二つのサブテーマを立てる。
(1)清―ロシア外交における媒介言語の変遷:
中央ユーラシアにおいて圧倒的なプレゼンスをもった両帝国と、関連する諸地域・民族間の交渉の実相を、媒介言語・翻訳者養成・「誤訳」等の諸側面から検討する。
(2)チベット・モンゴルの近代:
19世紀以降、チベット、モンゴルでは、既存の「帝国」秩序を超える政治・文化的枠組みを構築する動きが見られたが、それは同時に、伝統的な言語・認識の体系と[近代」のそれとの間で、双方的な「読み替え」を進める営みでもあった。現地の視点に立って、こうしたチベット・モンゴルの近代を読み解くことをめざす。

なお、上記以外に、状況に応じて他のサブテーマを立てることも視野に入れる。

研究報告

【2016年度】
(1)第1期のプロジェクト「モンゴル帝国継承国家論の再検討」の総括として,次の活動を実施した。
・講演会(2016年7月8日) 
ダリジャブ(達力扎布)(中央民族大学歴史文化学院)「八旗察哈爾的建立及其発展変化」
・International Workshop: Reexamining “Successor States of the Mongol Empire”: Mongolia after the Mongol Era(2016年7月9日)
報告者:Christopher P. Atwood(University of Pennsylvania); Hosung Shim(Indiana University); 赤坂恒明(早稲田大学/内モンゴル大学); Samuel Hamilton Bass(Indiana University); Darijab (Minzu University of China)
(2)第2期のプロジェクト「中央ユーラシアにおける多言語コミュニケーションの歴史的展開」に関しては,次の活動を実施した。
・講演会(2017年2月14日)
ソーハン・ゲレルト(内モンゴル農業大学)「モンゴル高原における遊牧生産様式の変容─内モンゴルを例に─」
・Seminar: The Nature of Inner-and East Asian Polities and Inter-polity Relations in the 18th and 19th centuries, focusing on Qing-Tibetan-Mongol relations; Perspectives from Contemporary Sources(2017年3月6日-7日; Kreddha-International Peace Council for States, Peoples and Minoritiesと共催)
報告者・登壇者:Michael van Walt van Praag; Yumiko Ishihama; Hiroki Oka; David Robinson; Dorothea Heuschert-Laage; Akira Yanagisawa; Vladimir Uspensky; Brenton Sullivan; Yingcong Dai; Yuri Komatsubara; Geoffrey Wade
(3)中央民族大学モンゴル言語文学系との間の「学術交流に関する覚書」を,2021年9月30日を期限として更新した。

【2015年度】
(1)「チベット医学の薬材に関する基礎的研究」プロジェクトは、2015年2月に『チベット伝統医学の薬剤研究』を出版し、所期の目的をほぼ達成したので、「近代チベット・モンゴル研究会」に活動の軸足を移し、20世紀初頭のチベット・モンゴルをめぐる政治・文化状況を総合的に検証することをめざして、研究会(非公開)等を行っている。
(2)「モンゴル帝国継承国家論の再検討」プロジェクトでは、次の活動を実施した。
・講演会(2015年6月19日)[文学研究科東洋史学コースと共催]
講演者:施雯(上海大学外国語学院)、趙瑩波(上海大学外国語学院)
・臨時研究会(2015年12月17日)
報告者:ミャンガト・エルデムト(中央民族大学モンゴル言語文学系)
・臨時研究会(2016年3月29日)
報告者:李剛(中国第一歴史檔案館満文処)
(3)二つのプロジェクトにまたがる企画として、次のシンポジウムを実施した。
・シンポジウム「通商・巡礼・亡命:17世紀〜20世紀初頭の中央ユーラシアにおける超境界活動」(2016年3月12日)[私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「近代日本の人文学と東アジア文化圏」と共催]
報告者:濱本真実(日本学術振興会)、井上岳彦(北海道大学)、「小林亮介(日本学術振興会海外)、橘誠(下関市立大学・本研究所招聘研究員)
なお、中国の中央民族大学モンゴル言語文学系との間で、2015年6月16日に「学術交流に関する覚書」を交換した。12月17日の臨時研究会は、この覚書に基づくものである。

【2014年度】
(1)「チベット医学の薬材に関する基礎的研究」プロジェクトでは、これまでの研究成果を総括して、『チベット伝統医学の薬剤研究』(石濱裕美子・西脇正人・福田洋一・谷田伸治著、藝華書院、2015年2月)を出版した。
(2)「モンゴル帝国継承国家論の再検討」プロジェクトに関しては、次の活動を実施した。
・臨時研究会(2015年2月27日)
報告者・題目:関康(中国人民大学清史研究所)「清代旗漢甘氏家族的興衰」
・講演会(2015年3月4日)
講演者・演題:Dashdondog Bayarsaikhan(モンゴル国立大学)”Studies of Armenian Sources on the Mongols”
ただし、プロジェクトの中間的な総括のために開催予定であったシンポジウムは、諸般の事情により開催できなかった。
なお、二つのプロジェクトから派生・発展する形で、2012年度末から「近代チベット・モンゴル研究会」が活動を開始し、20世紀初頭のチベット・モンゴルをめぐる政治・文化状況を総合的に検証することをめざして、研究会(非公開)等を行っている。

【2013年度】
(3)「チベット医学の薬材に関する基礎的研究」プロジェクトに関しては、これまでの研究成果をまとめて訳注「宝の如き水銀を調合する物語。『希有の不死を成就する耳の飾り』という書」(『史滴』35号、2013年12月)を発表した。
(4)「モンゴル帝国継承国家論の再検討」プロジェクトに関しては、次の活動を実施した。
・第3回研究会(2013年11月23日):「『境界』から見るモンゴル史」
報告者・題目:ハスバガナ〔哈斯巴根〕(北京市社会科学院満学研究所、早稲田大学外国人研究員)「清初のハン号について──モンゴルの視点から──」;B. ナツァグドルジ(モンゴル科学アカデミー歴史研究所、本研究所招聘研究員)「18世紀ブリヤート人の汎モンゴル観念における仏教的要素」;E. ジグメドドルジ(モンゴル科学アカデミー歴史研究所、早稲田大学外国人研究員)「モンゴル国立中央文書館に所蔵される若干の日本人関係資料について」
・講演会(2014年3月7日)
講演者・演題:バイルドグチ(白拉都格其)(内モンゴル大学教授)「最近の内モンゴル近代史の研究動向について」
※なお、本研究所からの情報発信の場として、ホームページhttp://eurasiaken.sakura.ne.jp/を開設した。

【2012年度】
「モンゴル帝国継承国家論の再検討」プロジェクトについては、次の活動を実施した。
・臨時研究会(2012年4月26日):「清史編纂事業の現状と展望」
報告者:卜鍵(中国国家清史編纂委員会)、張永江(中国人民大学清史研究所)、劉文鵬(同)
・第2回研究会(2012年12月15日):「近代モンゴルにおける『モンゴル史』の構築」
報告者・題目:オーホノイ・バトサイハン「20世紀初頭のモンゴル人がモンゴル史に対して取った姿勢」、橘 誠(本研究所招聘研究員)「モンゴルの国史編纂と翻訳事業」、青木 雅浩(同)「モンゴル人民党におけるモンゴル帝国史」
・講演会(2013年2月16日)
講演者・演題:ネメフジャルガル(内モンゴル大学モンゴル学研究中心、亜細亜大学客員研究員)「内モンゴルにおける地下資源開発と経済社会変動」
「チベット医学の薬材に関する基礎的研究」プロジェクトについては、所内勉強会を定期的に開くとともに、チベット語医学書の訳注の準備を進めた。

【2011年度】
2012年1月28日(土)に、戸山キャンパス39号館第5会議室において「モンゴル帝国継承国家論の再検討」プロジェクトの第1回研究会を開催した。まず、柳澤明(所長)が「「モンゴル帝国継承国家論の再検討」プロジェクトの趣旨と今後の展開」として、本プロジェクトの趣旨に関する概括的な説明を行った。次に、赤坂恒明(招聘研究員)が「モンゴル帝国西部継承諸政権における王統と権威」と題して、モンゴル帝国の西部継承諸政権(イル汗国系、ジュチ裔系、チャガタイ裔系、オゴデイ裔系)における王統とチンギス裔の権威について、研究状況、史料状況を踏まえつつ、今後の研究課題となりうる諸問題を提示した。報告の後、参会者の間で、今後本プロジェクトの中で具体的にどのような課題を取り上げていくべきかについて討論がなされ、年度ごとにサブテーマを設けてシンポジウム等を行う等の方法が提案された。

所長

柳澤 明[やなぎさわ あきら](文学学術院教授)

メンバー

【顧問】
吉田 順一(早稲田大学名誉教授)

【研究所員】
柳澤 明(文学学術院教授)
石濱 裕美子(教育・総合科学学術院教授)
石見 清裕(教育・総合科学学術院教授)
小松 香織(教育・総合科学学術院教授)
雪嶋 宏一(教育・総合科学学術院教授)
飯山 友保(文学学術院准教授)

【招聘研究員】
赤坂 恒明
井上 治
宇野 伸浩
岡 洋樹
小松原 ゆり
鈴木 仁麗
高木 小苗
橘 誠
谷田 伸治
青格力
BATTSENGEL NATSAGDORJ
舩田 善之
ボルジギン・ブレンサイン
孟 達来
四日市 康博
青木 雅浩
荒井 幸康
小林 亮介
濱本 真実
朝克図
Namsaraeva Sayana
蒙古勒呼

連絡先

[email protected]

WEBサイト

http://eurasiaken.sakura.ne.jp/

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