歴史問題を中心とした東アジア地域の国際関係の研究
東アジア国際関係研究所
Institute of East Asian International Relations
研究テーマ
研究概要
世界が中国の経済成長に注目しているなか、東アジアにおけるナショナリズムの台頭がこの地域の国際関係に大きな影響を与えている。日中韓のナショナリズムの対立はこの三ヶ国の歴史認識の相違と、それによって引き起こされた国民感情の衝突に起因する。しかし、当該地域における歴史の和解はいまだ実現されていないのは、各国の歴史認識に対する全体的な研究と理解が十分であることと、歴史認識と外交政策との関係に対する構造的な把握がまだ十分に行われていないことと関係する。
本研究所は歴史認識問題と東アジア国際関係の研究成果を生かし、歴史と外交の二つの視点から東アジアの国際関係が抱えている問題を研究する。具体的には、東アジアの国際関係に影響を与え続けている歴史問題についての構造的な分析を行い、その解決に建設的な提言を行なう。また、日中韓の歴史研究者と国際関係研究者のネットワークを構築し、長期的な研究協力の基盤を整備する。このような努力は、この地域の国際関係研究に新たな可能性を提示するとともに、国際関係の安定にも寄与するものと確信する。
研究報告
2007年度
研究報告2007年10月に設立された本研究所は東アジア地域の国際関係の歴史と現状を主たる研究対象としている。設立してから主として次のような活動を行ってきた。
1 米国コロンビア大学所蔵の張学良インタビュー記録の翻訳と出版。140時間以上に及ぶ張学良のインタビュー記録は株式会社雄松堂によって文字化されているが、本研究所が主体となってその翻訳、注釈、解説を中心とした編集作業を進めている。この事業は、中国近代史のみならず、東アジアの国際関係史に大きな影響を与えた西安事変などの研究に大いに貢献すると確信する。
2 中国社会科学院近代史研究所との歴史共同研究。2007年12月〜2008年1月、中国社会科学院との協力で、日中両国の歴史教育と学生の相互イメージについての日中同時アンケート調査を実施した。
3 2008年1月25日、近代史研究所の歩平所長ら中国側研究者とアンケート調査の結果に基づいて、早稲田大学で共同研究会を開催した。
4 2008年3月15日、本学台湾研究所、台湾中央研究院アジア太平洋研究センターとの共催で「東アジアの中の日本」をテーマにシンポジウムを開催した。
所長
劉 傑[りゅう けつ](社会科学総合学術院教授)
メンバー
劉 傑(社会科学総合学術院教授)
島 善高(社会科学総合学術院教授)
李 成市(文学学術院教授)
梅森 直之(政治経済学術院教授)
青山 瑠妙(教育・総合科学学術院教授)
江 正殷(留学センター准教授(任期付))
連絡先
研究所の学内箇所:社会科学総合学術院 劉傑研究室
研究所コンタクト先:
[email protected]
03−5286−3827