日本地域文化研究所【第Ⅱ期】【活動終了】
Waseda Institute of Glocal Cultures
【終了】2009~2014年度
研究テーマ
グローカルな視点からの日本地域文化研究
分野:文化
研究概要
現代の国際社会で求められているのは、国と地域を問わず「グローバルに考え、ローカルに行動する」人材である。しかし、人を育てるのはローカルな知恵であり、その基礎にたって初めてグローバルな視野をもつことができる。人が健康に育ち、力強く生きていくための情報の集積地が地域だと考えられる。そうした地域を「文化」と「歴史」の両面から研究していこうとするのが研究所の主な研究テーマである。そして一年毎に、特定の地域を選んで、同地域の文化と歴史を深く研究する。特に、「文化」では、同地域にあった藩校や塾、そしてそこで指導した思想家や文人の思想や業績などの研究に焦点をあてる。また、歴史では、同地域の過去の伝統や慣習が現在どのように変容し、生き続けているか、また将来どうなるかといった現在及び将来の視点から研究する。事実、これまでの約五年間、そうした研究を行ってきており、既にその成果を、『日向の歴史と文化』、『吉備の歴史と文化』、『肥後の歴史と文化』、『伊勢の歴史と文化』(何れも行人社刊)として既に発表している。そして、本年は、肥前(佐賀)を取り挙げ、その歴史と文化を研究しているが、今年末にはその成果を公刊する予定である。しかし、今後は、日本の地域を、日本の中史(特に江戸・東京)あるいは世界との関係に焦点を次第に移していくつもりである。そうすることによって、真のグローカル研究が出来るといえるのではないかと思う。現在、研究対象としている肥前(佐賀)も、そうした観点から行っている訳だが、これからはそうした方向を更に加速させていきたいと考えている。もとより研究は学内外から専門の方を多数お招きして行う。
研究報告
【2013年度】
グローバルを視野に常に置きながら、実際に人を育ててきたローカルな伝統的思想、文化などに焦点を当てて研究、発信、教育を行ってきた本研究所は、2013年度には主として次のような活動を行った。
〔研究・教育〕
・講演:古賀勝次郎演題「日本の近代化と儒学―佐賀藩の場合」(7月21日、於ホテルニューオータニ佐賀)
・古賀勝次郎所長の近刊書『鑑の中の近代−「法の支配」』をめぐる日本と中国』(2014年1月発行)を基に、「日向出身の儒学者、安井息軒を中心にして『法の支配」をめぐる日本と中国を考える」というテーマで定例研究会を行った。
・2013年3月に刊行した本研究所紀要シリーズの7冊目、『日本地域文化ライブラリー7薩摩の歴史と文化』の読書会を行った。
〔教育〕
本研究所の趣旨に沿った形で行っている講義(前期は「経済と倫理」、後期は「経済と社会と文化」)をオープン教育センターで引き続き開講した(各講義共に履修登録者は100名)。
【2012年度】
1.第7冊目の研究紀要、『日本地域文化ライブラリー7薩摩の歴史と文化』を2013年3月に行人社より刊行した。目次詳細は下記の通りである。
第一部研究会報告
島津斉彬の集成館事業−薩摩藩の近代化とその背景(田村省三)
薩摩と明治維新(福田賢治)
第二部薩摩(鹿児島)の歴史と文化
薩摩探訪(兼田麗子)
薩摩藩の儒学の伝統(古賀勝次郎)
薩摩焼−四百年の伝統(山下廣幸)
薩摩切子(土屋良雄)
薩摩の焼酎と食文化(鮫島吉廣)
鹿児島湾の素顔とその生い立ち(根建心具)
「薩摩おごじょ」と地域経営(奥 健一郎)
伊地知正治と立憲構想−安井息軒との関連で(古賀勝次郎)
森有禮の衝撃(今井隆太)
東良助とその周辺(片岡浩毅)
第三部日本の地域文化
地域に根づく石井記念愛染園−主張を持った様々な活動を支えてきた成り立ちと理念(兼田麗子)
あとがき(古賀勝次郎・東英弥)
2.本研究所が取り上げた地域(日向と吉備)について継続的に研究を行っているメンバーが下記のような社会的発信活動を行った(講演会・学会発表は除く)。
(1)古賀勝次郎(所長)
・テレビ解説、UMKテレビ宮崎「みやざき偉人伝ひむかの群像〜激動の幕末を駆け抜けた大儒学者安井息軒」2013年2月24日。
(2)兼田麗子(客員教員)
・単著刊行『戦後復興と大原總一郎−合成繊維ビニロンにかけて』成文堂、2012年10月。
・単著刊行『大原孫三郎−善意と戦略の経営者』中公新書、2012年12月。
・共著刊行『続・現代の学生に贈る』(「反骨の先人との対話、河合栄治郎、大原孫三郎、大原總一郎」)桜美林大学北東総合アジア研究所、2013年2月。
所長
古賀 勝次郎[こが かつじろう](社会科学総合学術院教授)
メンバー
【研究所員】
古賀 勝次郎(社会科学総合学術院教授)
池田 雅之(社会科学総合学術院教授)
島 善高(社会科学総合学術院教授)
白木 三秀(政治経済学術院教授)
【招聘研究員】
今井 隆太(愛知学院大学文学部・淑徳大学国際コミュニケーション学部・名古屋学芸大学非常勤講師)
高柳 俊哉(富士見丘高等学校教諭)
川口 さつき(日本大学国際関係学部・短期大学部非常勤講師)
齋藤 洋子(学習院大学国際文化交流学部非常勤講師)
雲藤 等(早稲田大学社会学部ティーチング・アシスタント)
杉山 剛
新美 貴英
東 彦弥(株式会社宣伝会議取締役社長、公益財団法人東教育研究財団代表)
東 英弥(株式会社宣伝会議取締役会長、事業構想大学院大学理事長)
小端 進(株式会社宣伝会議取締役、事業構想大学院大学常務理事・事務局長)
田中 里沙(株式会社宣伝会議取締役副社長、事業構想大学院大学教授)
星原 大輔(早稲田大学社会科学総合学術院非常勤講師)
石黒 太(流通経済大学非常勤講師)
庄司 武史
兼田 麗子(桜美林大学大学院国際学研究科特任准教授)
連絡先
社会科学総合学術院 古賀勝次郎研究室