国際開発協力研究所【活動終了】
Institute for Global Development and Sustainability
【終了】2008~2013年度
研究テーマ
社会的能力形成の観点から、グローバル・サステイナビリティ（地球規模の持続性）と国際開発協力政策のあり方に関する調査研究や政策提言を行う。
研究概要
2008年10月の日本のODA実施機関の再編に伴い、世界最大の二国間援助機関（新JICA）が誕生する。この抜本的な制度変革を、開発途上国への効果的援助の促進へとつなげるためには、新たな知識創造による日本の開発援助政策の革新が必要である。また、こうした知識創造の成果を、国内のみならず世界へも積極的に情報発信することが重要である。
そのためには、ODA実施機関における調査研究機能の強化だけでなく、大学などの学術機関による国際開発協力に関する学術研究の一層の発展が不可欠である。とりわけ、開発援助の国際潮流を追いかけるだけでなく、日本の開発援助やアジアの発展経験を、世界的な視野から調査研究し、そこからオリジナルなアイデア・コンセプト・モデルを創り出すことにより、日本とアジアの経験（暗黙知）の普遍化・理論化を行い、国際開発協力分野における日本の特色ある独自な知的貢献と国際的情報発信能力の強化を早急に行うことが必要である。
さらに、温暖化などの地球環境問題の深刻化に対処するため、ドイツ・ハイリゲンダム・サミットにおいて安倍前首相が提案した2050年までに地球規模で温暖化ガスの排出を50％削減するなどの大胆な戦略の必要性を考えるとき、地球環境問題と途上国の貧困問題との同時解決に向けた革新的アプローチの研究開発が必要となっている。
本「国際開発協力研究所」は、早稲田大学に基盤を置きつつ、東京大学などの他大学およびJICA、JBICなどの開発援助実施機関などとの効果的連携を構築し、上記の社会的課題に応える調査研究および政策提言を行い、もって日本の国際開発協力の革新とグローバル・サステイナビリティの実現に資することを目的とするものである。
研究報告
2008年度
研究報告１.2008年度の活動
2008年7月17日および7月18日の両日、国際協力機構（JICA）・国際協力総合研修所・国際会議場において「国際開発協力におけるキャパシティ・ディベロップメントと制度変化に関する国際セミナー」を、国際開発協力研究所、早稲田大学グローバルCOE・GIARI、国際協力機構（JICA）、国際協力銀行（JBIC）、日本貿易振興機構・アジア経済研究所の主催によって開催した。
また、以下の研究会を開催した。
（１）2008年4月23日、菊地靖・早稲田大学教授「国際協力に関する有識者会議・中間報告について」
（２）2008年10月22日、田中勝也・滋賀大学准教授「中国の環境効率とキャパシティ・ディベロップメント」
（３）2008年12月17日、柳原透・拓殖大学教授「CD研究の課題について」
（４）2009年2月18日、恒川惠市・JICA研究所長「JICAのCD調査研究およびJICA研究所の調査研究活動について」
２.活動の成果
国際セミナーや研究会の活動により、国際開発協力研究における以下の5項目の重要性を明らかにした。
（１）CD（キャパシティ・ディベロップメント）から「CDと制度変化」への研究と実践の展開を図ること。
（２）CDの議論を技術協力分野から全ての開発援助分野へと拡大すること。
（３）Project/Sectorアプローチから「Programアプローチ」への転換。
（４）「Programアプローチ」と日本の開発援助政策の革新の必要性。
（５）日本の優位性（現場の知識の強さ）を生かしたMicro/Macro Paradoxの克服とMicro/Macro Loopを可能とする制度形成の理論的・実践的解明の必要性。
所長
松岡 俊二[まつおか しゅんじ]（大学院アジア太平洋研究科教授）
メンバー
研究員
松岡 俊二（大学院アジア太平洋研究科教授）
菊地 靖（大学院アジア太平洋研究科教授）
高瀬 浩一（商学学術院教授）
阿部 義章（大学院アジア太平洋研究科教授）
黒田 一雄（大学院アジア太平洋研究科教授）
大門 毅（国際教養学術院准教授）
勝間 靖（大学院アジア太平洋研究科教授）
連絡先
アジア太平洋研究科
Tel:03-5286-1471
E-mail:[email protected]
