Comprehensive Research Organization早稲田大学 総合研究機構

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【第Ⅱ期】臨床法学教育研究所
Institute of Clinical Legal Education

【終了】2007~2011年度
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研究テーマ

法曹養成教育における経験的方法論としての臨床法学教育の研究

研究概要

本プロジェクトは次の3つの研究目的を設定する。
 第1は、日本の法科大学院における臨床法学教育の実証的研究である。
 日本の法科大学院における臨床法学教育の実施状況について調査し、各校の臨床法学教育の特徴を明らかにする。とりわけ、何が臨床科目の目標とされているか、そしてその達成度はどうであるかについて実証的に検討する。
 第2は、法曹養成教育と他の専門職養成教育における臨床方法論の比較検討である。
 臨床教育という方法論は、代表的には医師養成教育において実施されてきたものである。この研究では、主として医学教育との対比で、現実の患者・依頼人を相手とする臨床実習に入る学生の知識と技能の確保、現役医師や弁護士を臨床指導教員として養成する課題等、医師養成と法曹養成に共通する検討課題について研究を行う。
 第3は、主要各国の法曹養成制度における臨床法学教育の位置づけの検討である。
 アメリカ法科大学院協会の臨床教育部会など、海外の臨床法学者の研究集会に本プロジェクトの研究員を派遣して、主要各国の臨床法学教育の実状を把握する。

研究報告

※臨床法学教育研究所
2012年04月01日〜2017年03月31日までの活動に関してはこちら
http://www.kikou.waseda.ac.jp/WSD322_open.php?KenkyujoId=6S&kbn=0&KikoId=01
※臨床法学教育研究所
2002年04月01日〜2007年03月31日までの活動に関してはこちら
http://www.kikou.waseda.ac.jp/WSD322_open.php?KenkyujoId=H4&kbn=0&KikoId=01

2011年度
研究報告 2011年度は、二つの重要な成果をあげることができた。
 第一に、当研究所が実施主体となって、司法修習の選択型実務修習プログラムを実施した。これは、2011年9月20日から22日の3日にわたって、司法修習生9名を受け入れて、精神的心理的ストレスを抱えた相談者や依頼者へのリーガル・カウンセリングのあり方について、実務研修を実施したものである。臨床法学教育の方法論を、法科大学院教育だけでなく継続的な法曹教育の中で活用する重要な試みである。
 第二に、2010年12月末から2011年2月上旬にかけて、司法修習の弁護修習指導担当弁護士を対象にして実施したアンケート調査について、回答をとりまとめ、これを分析する報告書を『臨床法学セミナー』第11号(臨時増刊)として公表した。回答データを分析すると、弁護修習が実務の現状を新人法曹に伝授することを主眼としており、修習生の教育訓練の方法についても、先輩弁護士の実務のあり方を見学するという受動的な方法が主となっていることが確認できた。
 他にも、2010年5月に開催した法曹養成と医師養成との連携についてのシンポジウムの報告を中心として、『臨床法学セミナー』第10号を刊行することができた。
2010年度
研究報告 2010年度は、海外の臨床法学教育について、とりわけ東アジアにおける新しい法曹養成制度の展開という共通点から、日中韓三カ国の法曹養成と臨床法学教育の役割に関するシンポジウムを、年度始めの4月に開催した。この企画には中国から清華大学および中国人民大学の研究者、韓国からは高麗大学校および韓国外国語大学校の法学専門大学院の研究者を招聘した。シンポジウムにおいては、制定法主義や判例法主義といった法系の相違と法曹教育の関係や、法曹人口の拡大の中での法学教育の多様化などについて検討を深めた。
 また、臨床方法論を活用する他の専門職教育の代表格である医学部における医師養成と、法科大学院の臨床教育が共通して抱える課題とその解決への取組みのあり方について、5月にシンポジウムを開催した。例えば、臨床実習に学生を出す前提としての学生の基本的な専門知識や技能の確認の方法や、臨床実習に出した学生の治療行為あるいは法律サービスの提供にどのような参加形態をとることが重要であるかについての議論を深めた。
 他にも、全国74校の法科大学院における民事・刑事の模擬裁判実施状況について、その調査結果を掲載した『臨床法学セミナー』第8号の刊行、および民事法分野における法科大学院教育と司法修習と連携についてのシンポジウムの報告を掲載した『臨床法学セミナー』第9号を刊行した。
2009年度
研究報告 2009年12月にアメリカ・カリフォルニア大学バークレー校ロースクールとの共催でシンポジウムを開催した。シンポジウムのテーマは、「臨床法学教育からの法理論と法実務へのインパクト」であり、アメリカのロースクールの冤罪救済プログラムや、生活困窮者層へのリーガル・サービスの提供について報告がなされ、日本からもリーガル・クリニックの先端的な取組みが報告され、日米の法曹教育の状況について比較検討を行った。
 他にも、全国74法科大学院におけるクリニック教育の調査結果を掲載する『臨床法学セミナー』第6号、およびイギリスの司法制度改革と法曹養成制度の動向について日英の報告を掲載する『臨床法学セミナー』第7号を刊行した。また、アメリカ・ロースクール協会の研究大会や、イギリスをベースとする国際臨床法学教育ジャーナルの研究大会等に派遣した研究員による、海外の臨床法学教育の動向についての報告会も実施した。
2008年度
研究報告 当研究所は、2008年度の重点研究課題として、「臨床法学教育と司法修習との関係」を設定し下記の研究活動を実施した。
  記
セミナーの開催
?テーマ:「新しい法曹養成制度における司法修習の役割―前期が存在しない新司法研修所教育の限界を実務修習でどのように補うか?―」
日時:5月28日(水)午後4時〜6時
講師:松島洋氏(弁護士・司法試験委員会委員・元司法研修所教官)
?テーマ:「日本における学生実務規則の制定について」
日時:7月24日(木)午後4時〜6時
講師:三澤英嗣氏(弁護士・渋谷パブリック法律事務所)
?テーマ:「法科大学院の実務導入教育と司法修習の役割分担を巡る議論の現状について」
日時:11月20日(木)午後6時〜8時
講師:井上裕明氏(弁護士・日本弁護士連合会法曹養成対策室長)

 また、法科大学院学生の実務権限を明確化する準備作業として、学生実務規則に関するアンケート調査を、2008年7月に臨床法学教育学会の協力を得て実施した。
 上記の他に、リーガル・クリニック調査を継続実施し、特徴的な臨床法学教育を実施する法科大学院からは担当教員(2009年1月16日の島根大学、2009年2月24日の獨協大学)を招きセミナーを開催した。海外の臨床教育については、2008年4月27日にワシントン大学セントルイス・ロースクールのジョイ教授、7月27日にロンドン大学のシャー教授を基調講演者として臨床法学ワークショップを開催した。前者については、臨床法学教育学会の機関誌である『法曹養成と臨床教育』創刊号(2009年3月刊)にその詳細が掲載されている。
2007年度
研究報告 今年度は、臨床法学教育の効用を重点研究項目とし、法科大学院での臨床法学科目の実施状況を調査した。調査は、全74法科大学院に対するアンケート、本研究所セミナーでの臨床科目担当者の報告、研究員による各地の法科大学院の実態調査等の方法をとった。法科大学院へのアンケート調査は、現在回答の集計作業中である。セミナーで報告された法科大学院は、北海道大学、岡山大学、広島大学、一橋大学、新潟大学等である。これらの報告は、『臨床法学セミナー(臨床法研資料集)』第1号〜第4号として公表した。
 海外の臨床法学教育の実施状況については、2008年1月にニューヨークで開催された全米法科大学院協会の年次総会に研究員を派遣し、また、3月にはボストンでの法廷技術研究所(NITA)研修会にも研究員を派遣した。中国については2008年3月に西安の西北政法大学および広州の中山大学において、臨床法学教育の実施状況を調査した。これらの海外調査の成果も、『臨床法学セミナー』等において公表する予定である。

 また、2回のシンポジウムを開催した。一つは7月に行った「変貌する法曹の『有能性』」であり、ここでは、アメリカの法曹教育に関する「ベスト・プラクティス・レポート」の著者の一人であるランディ・ハーツNYU教授を招聘し、法曹に求められる能力の変化を検討した。12月には、臨床法学教育の方法論の一つとしてのシミュレーションによる法曹教育について、「法曹技能の鍛錬とシミュレーション」を開催した。これらのシンポジウムについても、その概要を『臨床法学セミナー』等で公表する予定である。

所長

宮川 成雄[みやがわ しげお](法学学術院教授)

メンバー

顧問
宮澤 節生(青山学院大学大学院法務研究科教授)

研究所員
宮川 成雄(法学学術院教授)
浅倉 むつ子(法学学術院教授)
浅古 弘(法学学術院教授)
石川 正興(法学学術院教授)
石田 眞(法学学術院教授)
今関 源成(法学学術院教授)
岩志 和一郎(法学学術院教授)
上野 泰男(法学学術院教授)
上村 達男(法学学術院教授)
内田 勝一(国際学術院教授)
浦川 道太郎(法学学術院教授)
遠藤 賢治(法学学術院教授)
近江 幸治(法学学術院教授)
大塚 直(法学学術院教授)
大塚 英明(法学学術院教授)
岡田 外司博(法学学術院教授)
尾崎 安央(法学学術院教授)
甲斐 克則(法学学術院教授)
加藤 哲夫(法学学術院教授)
鎌田 薫(法学学術院教授)
川上 拓一(法学学術院教授)
菊池 馨実(法学学術院教授)
木棚 照一(法学学術院教授)
島田 征夫(法学学術院教授)
島田 陽一(法学学術院教授)
清水 章雄(法学学術院教授)
須網 隆夫(法学学術院教授)
首藤 重幸(法学学術院教授)
曽根 威彦(法学学術院教授)
高橋 則夫(法学学術院教授)
高林 龍(法学学術院教授)
田口 守一(法学学術院教授)
棚村 政行(法学学術院教授)
田山 輝明(法学学術院教授)
土田 和博(法学学術院教授)
栂 善夫(法学学術院教授)
戸波 江二(法学学術院教授)
鳥山 恭一(法学学術院教授)
野村 稔(法学学術院教授)
箱井 崇史(法学学術院教授)
古谷 修一(法学学術院教授)
正井 章筰(法学学術院教授)
水島 朝穂(法学学術院教授)
山野目 章夫(法学学術院教授)
和田 仁孝(法学学術院教授)
武井 一浩(法学学術院教授(任期付))
石田 京子(法学学術院准教授)
原口 佳誠(法学学術院助手)
越知 保見(法学学術院教授(任期付))
榊原 富士子(法学学術院教授(任期付))
日置 雅晴(法学学術院教授(任期付))

招聘研究員
児玉 晃一(リベる総合法律事務所弁護士)
大坂 恵里(駿河台大学法学部法律学科准教授)
谷 眞人(日比谷見附法律事務所弁護士)
鈴木 雅子(弁護士法人あると弁護士)
池原 毅和(東京アドヴォカシー法律事務所弁護士)
四ッ谷 有喜(新潟大学大学院実務法学研究科准教授)
池田 直樹(弁護士)
椛嶋 裕之(弁護士、日本弁護士連合会事務次長)
梶村 太市(弁護士)
河野 敬(弁護士)
四宮 啓(弁護士、日本弁護士連合会司法改革調査室長)
浜辺 陽一郎(弁護士)
上柳 敏郎(弁護士)
宮下 次廣(日本医科大学医学部教授)
岡田 裕子(弁護士)
花本 広志(独協大学大学院法務研究科教授)
山? 優子(立命館大学グローバル・イノベーション研究機構「法と心理学」研究拠点の創成ポストドクトラルフェロー)
佐藤 裕則(日本弁護士連合会情報統計室研究員)
吾妻 望(弁護士)
今野 久子(弁護士)
池田 雅子(弁護士)

リサーチ・アシスタント(RA)
鈴木 康文

連絡先

大学院法務研究科

学内コンタクト先:
E-mail: [email protected]

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