開催概要
- 日 時:2025年9月20日(土) 13:30開始(13時開場)
- 場 所:明治大学駿河台キャンパス研究棟4階第一会議室 ※zoomによるハイブリッド開催
- 対 象:教職員、学生、一般
- 言 語:日本語
- 主 催:朝鮮史研究会
(共催)早稲田大学朝鮮文化研究所、科学研究費補助金基盤研究(A)「高句麗・渤海史像の再構築についての総合的研究」
趣旨
朝鮮史研究会関東部会9月例会の企画「朝鮮史を東アジアに拡張する―中国唐代史との接触領域」は、東アジアのなかで朝鮮史をとらえ、その歴史像をより豊かに、多面的に描き出すことを目指すミニシンポジウムである。
歴史研究において一国史の限界が叫ばれて久しい。そこで地域を広域的に捉える歴史像が提唱された。朝鮮史に関わるものとしては、東アジア史、東部ユーラシア史、海域アジア史、グローバルヒストリーなどが代表的なものであろう。かつて東アジアという枠組みは、韓国学界では拒否感をもたれてきたとされるが、近年ではそのほかの広域史の概念とともに多くの研究者が使用するようになってきている。
ところで、日本における朝鮮史研究はどうであろうか。一部の研究テーマに関しては、日本や中国を射程に入れた研究が行われることもあるが、朝鮮史はどうしても一国史的な傾向が強い。これは、戦後日本における朝鮮史研究が「他律的歴史観」を批判してきた経緯があることと関連するのだろう。もちろん、朝鮮という地域を一つの独立した個性のある地域とせず、中国や日本の附属物のように捉える歴史像は論外である。しかし、朝鮮史を一国史の枠組みのなかだけで把握しようとしても、そこには収まりきらない歴史的資料や歴史的事象が存在する。
そこで今回の企画は、朝鮮古代史と中国唐代史との接触領域に存在する論点を検討する。個別の研究発表では、福島理生「仏教史料として見る『新羅白紙墨書大方広仏華厳経』」は、中国仏教史の観点から新羅の仏教経典を分析し、東アジアの仏教史料としての新たな価値を見出す。王一嘯「十世紀の東アジアにおける『黒水・女真』と後唐の海上ルートの馬貿易」は、遼金時代を研究する視点から五代の後唐と高麗の意外なつながりを明らかにする。そして合同書評会「鄭炳俊『高句麗遺民李正己一家の藩鎮史』東国大学校出版部、2024」では、中国唐代の藩鎮史を研究する新見まどか、朝鮮古代史を専攻し対外関係史を研究する小宮秀陵、同じく朝鮮古代史を専攻し高句麗遺民史を研究する植田喜兵成智が多角的に当該書籍を批評して、著者鄭炳俊をまじえた討論を行う。本書は、韓国における中国唐代史研究者である鄭炳俊の研究成果であり、その取り扱う内容は中国史や朝鮮史の領域にまたがる。
こうした朝鮮史だけにおさまりきらない事象を広域的かつ俯瞰的な視点から捉えることで、朝鮮史研究を東アジアの領域に拡張し、その研究を世界史的な文脈に位置付けることをねらうものである。
プログラム
第1部 研究発表
福島理生 氏 「仏教史料として見る『新羅白紙墨書大方広仏華厳経』」
王一嘯 氏 「十世紀の東アジアにおける『黒水・女真』と後唐の海上ルートの馬貿易」
第2部 合同書評会「鄭炳俊『高句麗遺民李正己一家の藩鎮史』東国大学校出版部、2024」
書評者:新見まどか 氏、小宮秀陵 氏、植田喜兵成智 氏
リプライ:鄭炳俊 氏
参加申込み方法
参加を希望される方は、9月18日(木)17時までに以下のURLに進み、必要事項をご記入いただき送信して下さい。
対面で参加される方も参加登録をお願いいたします。対面での参加費は200円です。
https://forms.gle/9DPXg94wbdcFKHkL9
問合せ先
朝鮮文化研究所 研究員 植田喜兵成智
kn-ueda[at]waseda.jp
※お手数ですが、[at]を@におきかえて入力ください。