早稲田大学アカデミック・ライティング教育部門(GECが提供する五つの基盤教育部門の一つ)では、二つの実践が両輪で行われています。ライティング・センターと初年次生向けの授業「学術的文章の作成」の二つです。
ライティング・センターは、正規授業外の支援機関です。学内すべての学部生、大学院生、教員が自由に利用できます。文章あるいは未だ文章になっていない課題について、書き手が専門的な訓練を受けたチューターに個別に相談できます。英語または日本語の、ライティング授業課題、レポート、学位論文、投稿論文、留学志望書、研究計画書などの文章を書き手がよりよくしていくための支援をします。文章を検討するための言語は、英語、日本語など複数から選べます。学期中に開室しており、チューター約30名が勤務しています。西早稲田キャンパスと所沢キャンパスにも週2回開かれる分室があります。
「学術的文章の作成」授業は、大学1年生を主な対象とし、アカデミック・ライティングの基礎的な技術を身につけるための正規授業です。どの学部に所属する人も履修できます。8週に亘り、パソコン配信で授業を受け、毎週400字~600字の文章を書いて提出します。履修者は、専門的な訓練を受けた指導員から毎週、個別にフィードバックを受けることができます。年に3回開講され、指導員60名~70名が勤務しています。本授業を必修科目としている学部もあります。
どちらの実践においても、「自立した書き手」を育てることを目指しています。チューターや指導員は、添削をいっさいしません。一読者としての感想、文章を診断する観点、修正方法などを伝え、書き手が自力で文章をよくしていけるように助言します。
約30名のチューターと60~70名の指導員は、いずれも学内の様々な研究科から集まった大学院生です。チューターと指導員は、事前研修、新人研修、実地研修を経て、自分の専門分野に加えてライティング指導の専門家となって卒業していきます。