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院生スイマー・牧野紘子 「もうダメ」が始まりの時 2度の挫折経て五輪へ

早稲田大学大学院で学びながら、初となるオリンピック代表に内定した水泳部OG・牧野紘子選手(教育学研究科博士後期課程1年)。2016年リオデジャネイロ大会、2021年東京大会と代表の座を逃し、3度目の正直で切符を掴みました。普段は早稲田界隈の油そば巡りが趣味という牧野選手のパリへの思いとは? 早慶戦応援ツアーを実施するなど、多くの人々とスポーツを繋ぐ活動を行っている学生プロジェクト「VIVASEDA」が話を伺いました。

2024年3月、競泳五輪代表選考会で力泳する牧野選手。パリ五輪代表に決まった(共同通信)

――牧野選手は200mバタフライ出場ということで、競技の魅力を教えていただきたいです

私が専門としている200mバタフライは、競泳の中でもきつい種目です。競泳はレースも練習もきついのですが、その中でも200mバタフライは体にダメージがくる種目です。そのため、200mの中で後半伸びてくる選手とバテてしまう選手で大きく順位が入れかわります。他の競技に比べれば何秒・何分の世界ですが、その中で順位変動があって楽しめる種目だと思います。

――競技と大学院生活の両立の仕方、工夫していることについて教えていただきたいです

正直、学部生の方が大変でした。今はまだD(博士課程)1年目なので、学会発表や論文を書く必要があり、先行研究を読み漁っている状況です。練習の合間などに先行研究を読んで、スキマ時間にできることをやっています。ネットで論文とかを調べたり、自分のパソコンで打ち込んだり、共有をしたりしています。外でできることは外でやります。そして、先生や同じDの方と話したりする時は大学に行っています。スケジュールを分け、自分がこの時間は空いてるからこのときはこれに専念しよう、という感じで、前々からスケジュール調整をしています。メリハリをつけていますが、自分の中で負担はなく、競技だけというよりも競技もやりながら違うこともやったり、競泳以外のコミュニティがあったりすると、自分の中で楽な感じです。良い意味で気が散ってストレス発散になります。競技と違う方と触れ合うと、自分の気持ちが整理されて固執しなくなります。

――競技以外で、大学での印象的な思い出はありますか

学部生の時は楽しかったです。でも、3、4年生の時にちょうどコロナ禍で、友達と遊び・旅行・飲みに行くことが全然なく、印象に残っていることがあまりないです。教育学部1年生のときの話なのですが、初等教育学専攻は30人くらいしかいないので、まとまりがありました。しかも、小学校の先生を目指している子もいて、「これしようよ!」というように、社交性がある子がたくさんいました。なので、休み時間にみんなで一緒にご飯を食べたり、同じ教室に集まってちょっとゲームをしたりして楽しかったです。また、3年生から入ったゼミはオンラインだったのですが、ゼミの同期と最後の最後に旅行に行けてすごく楽しかったです。今でも学部生の時の友達と連絡とったり、ご飯を食べに行ったりもするので、そういう友達に出会えたのがよかったです。

2021年4月、競泳日本選手権で女子200m㍍のバタフライで2位となった学部4年生の牧野選手(左)。惜しくも五輪代表には届かなかった(共同通信)

――印象に残っている授業はありますか

色々ありますが、教職の科目が多かったので、授業でも実際に小学校に行って図工の授業をみんなでやったり、自分たちで考えて実践したりしました。小学生が受ける図工や理科の授業を実際に自分でやってみて、どういう気付きがあるのかを体験しました。他の学科だとあまりないかもしれませんが、実習やグループで行う授業がたくさんあり、友達と意見を共有しながら進められました。座学というよりは、手を動かしたり友達と意見を交換したりというような授業が多かったことが、印象に残っています。

――早稲田のお気に入りスポットはありますか

教育学部なので、グランド坂の方しか行かないです。私は自転車通学なので、あまり早稲田駅の方にも行かないのですが、大学の友達と「図星」や「麵爺」、「武蔵野アブラ学会」などの「油そば」巡りはしていました。今でも1人で「麵爺」に行ったり、「図星」に行ったりしています。今は研究室などに籠ってしまうことが多いですが、社会科学部と教育学部の間の広場から下に降りていく階段の開けている場所は好きです。立ったり、階段を上り下りしたりしています。桜もきれいで風通しが良い場所です。イチョウの木が両方に立っているので、写真を撮ったりしています。

――座右の銘や自分が大切にしている言葉はありますか

競泳の200m背泳ぎの銅メダリストである中村礼子選手がおっしゃっていた「頑張るということは、もうだめだと思った時からが始まりです」という言葉です。東京スイミングセンターの先輩だったこともあり、この言葉がプールのところに貼ってありました。自分が練習で、もうだめかもと思ったときに思い出す言葉です。

2016年8月、全国高校総体・女子400m個人メドレーで優勝し笑顔の牧野選手(右)。リオ五輪出場は叶わなかった(共同通信)

――パリ五輪に向けて目指す目標、パリ五輪への思いをお聞かせください

オリンピックが初めてなので、今は緊張しているというよりもすごく楽しみです。今まで2度挫折してきたからこそ、オリンピックで泳げるということがすごく楽しみです。目標は、まだ個人で世界大会の決勝に残ったことがないので、決勝に残るというのが大前提です。あとは、200mバタフライの自己ベストが7年以上前の記録なので、その決勝の舞台で自己ベストを更新するのが、今の目標です。

――最後に早稲田生に向けたメッセージをお願いします

今回、早稲田の方から取材の申し込みが来るとは思っていなくて、学部生ではないので違うと思っていたのですが、やっぱりそういうところに早稲田の繋がりがあるな、とすごく感じました。応援していただけるのもすごくありがたいことですし、こうやって繋がりを感じられるのも幸せなことです。なので、そういったみなさんの応援を自分の泳ぎで表現して、少しでも良い結果をお届けできるように、頑張りたいと思います。

選考会で女子200mバタフライでパリ五輪代表に決まり笑顔の牧野紘子(共同通信)

◆牧野紘子(まきの・ひろこ)

2022年早稲田大学教育学部卒業。大学院教育学研究科博士後期課程1年。世界選手権には3度の出場経験があり、中でも2017年ブダペスト大会は17歳で出場。2024年3月22日に行われた国際大会代表選手選考会に出場。女子200メートルバタフライで2位となり、パリオリンピック日本代表内定。種目:バタフライ、自由形(リレー)。

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