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少数精鋭で勝つ早実 データバレーで「春高」出場目指す

高大連携強化企画 早実高男子バレー部 春高予選特集【練習編】

1年生が多く入部した今年の早実男子バレーボール部のメンバーは14人。例年より多いとは言え、他の強豪校に比べればまだまだ少ない。しかし今年のインターハイ予選でも都4位と実力は確かだ。そんな少数精鋭の早実はどのような練習を行っているのか。

記事・写真 五十嵐香音(学生スタッフ・政治経済学部2年)

※この取材は9月7日に行われたものです

自主性を尊重 流れを意識した練習メニュー

新井がホワイトボードに書いたこの日のメニュー(左)、「シート」を行う選手たち

取材を行った水曜日は、授業が午前中で終わる。数多くある部活で体育館を分け合うために、高校男子バレー部は後半の3時半からだ。基本的に、メニューは選手が考えるそうで、綿引亮太監督は練習開始後すぐに、ホワイトボードにメニューの確認に行った。国体などで他校の監督の下、練習する機会のある新井は、新しいメニューを考えたり、他校のメニューを取り入れたりしてチームに還元する。ウォーミングアップの後すぐに行われた「シート」と呼ばれる練習もその一つだ。3人がコートに入り、最初はチャンスボールをセッターにしっかり返す基本的なところから行うが、徐々に強度を上げ、スパイクレシーブや離れたボールに飛び込むフライングレシーブに移っていく。これは6人全員で共通の意識を持って動くトータルディフェンスの練習だ。ブロックの位置をイメージして、レシーバーはどう連動し、守るのかということを、変わりゆく状況の中で考える。綿引監督は時折選手を集め、理論を説明していた。

理論を説明する綿引監督

続く1対1のブロック練習では、スパイカーが強打を果敢に打っていく。2段トスを打ち切るスパイク練習でもブロックがしっかり2枚付き、監督の球出しが伸びたものは、ブロック側がダイレクトで叩く練習にもなっていた。つまり常に試合と同様、スパイカー対ブロッカーの本気の戦いがある。このように様々なメニューで一貫して、サーブ・スパイク・レシーブ・ブロックというバレーの基本的な動きを、決して単体で終わらせていないことに気づく。それぞれの流れと、連動を意識した複合的なメニューであった。

モニターのリプレイやアナリストの存在 効率的でデータを駆使したバレー

選手の理解の助けになるモニター

体育館の壁には、モニターが設置されている。これは高校ではかなり珍しく、トップ校であってもなかなかないだろう。選手たちは、自分の守る位置やスパイクのフォームを逐一確認する。それとともに監督のアドバイスを受け入れ、吸収することで、自分に落とし込んでいく。

「指摘されても、なんで指摘されるか理解できない。自分の体がどうなっているか自覚できないことが多いんです。だから7秒後に映るからどうぞって(笑)。見てごらんよっていうと納得するでしょ。」(綿引監督)

また、今回は平日の練習ということで不在だったものの、試合には現役早大生で、早実バレー部OGである女性アナリストが同行する。アナリストが毎試合、自チームと対戦相手のチームのアタック、サーブ、レシーブの効果率や、配球率をすべて出し、それに基づいて戦術を立てる。データを見てうまくいかなかったものは、修正していく。高校生でありながら、すでにデータバレーをしているのだ。

注目選手

練習を見た中で、特におもしろい、興味深いと思った3人を紹介しておきたい。1人目はミート力があり、鋭いクイックを打つMB(ミドルブロッカー)安村怜慈(2年)。ブロックの要であり攻撃もこなす彼は、スパイカーとの1対1のブロック練習の際にも、セッターと合わせていないのに平然とクイックを打っていた。クイックは、大学生であってもなかなか合わないことを考えれば、驚きのコンビネーションの良さだ。長らく目をけがしていたが、回復とともに徐々に打てるようになったという。レシーブが乱れた時などはレフトを頼るのが一般的ではあるが、一人に配球が偏ると、的を絞られ苦しい戦いになる。ミドルブロッカー陣のクイックの決定率は、勝敗を決める大事な要因となるだろう。

クイックを打つ安村

2人目は主にライトからの攻撃をするOP(オポジット)西脇柊(2年)。身長は175センチと小柄だが、切れの良いスパイクを打つ。面白いことに、昨年までは守備専門のポジション・リベロだったそうだ。人数の少ない早実では、ポジションをいくつか兼任することもある。1人が何役もこなせる多才な選手がいることも強さの秘密かもしれない。

スパイクを打つ西脇

最後に、監督に一押しの選手を聞いた。北田朔也(1年)は、全日本中学校選手権を優勝した経験があり、実績でいえば新井にも勝るという。まだまだ粗削りだが、空中姿勢の美しさが特徴だ。レシーブに関してはまだ発展途上のようで、監督も熱の入った指導をしていた。彼を含め、1年生は8人。「例年よりも多い」と監督も顔をほころばせる。やはり予選のスケジュールを戦い抜くためには、人数も大事な要素となる。来年以降、チームの中心選手となっていくであろう彼らにも期待したい。

スパイクを打つ北田(左)、監督の指導を受ける北田

【高大連携強化企画】早実高男子バレー部 春高予選特集

【前編】リクルーティングの難しさ 大学最強・早大との連携 綿引亮太監督×新井琉之介

【後編】「春高に行けずとも」正攻法で挑んで散った昨年から得たもの

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