Athletic Center早稲田大学 競技スポーツセンター

News

ニュース

「先輩を表彰台に」山本が執念 ”早大スキー部”一丸で五輪複合団体「銅」

「複合の日本」復活 脈々と受け継がれる早稲田魂

銅メダルを獲得し記念撮影する日本チーム。(前列左2人目から)渡部善選手、永井選手、渡部暁選手、山本選手、谷地選手と河野コーチ(後列右)。まさに早大スキー部一丸といえる表彰台だった(共同通信)

北京オリンピックも終盤に差しかかる中、2月17日に行われたノルディックスキー複合団体競技で、渡部暁斗選手(2011年スポーツ科学部卒)、永井秀昭選手(2006年同部卒)、渡部善斗選手(2014年同部卒)、山本涼太選手(2020年同部卒)の4人全員が早大スキー部出身というチームで臨んだ日本代表。前半のラージヒルジャンプでは4位につけた日本は、後半のクロスカントリーで3位と、強豪の一角オーストリアを退けて逆転。7大会28年ぶりの表彰台に登りました。

その28年前、リレハンメルオリンピックで金メダルを獲得したチームも、現ヘッドコーチ・河野孝典氏(1991年人間科学部卒)と荻原健司氏(1992年人間科学部卒)のスキー部OBがメンバー。ベテラン・中堅・若手が頑張り、サブメンバーにはスポーツ科学部3年の現役スキー部員・谷地宙(ノーマルヒル30位)も控える今回のチームは、スキー部が担ってきた「複合に強い日本」の復活を印象付けました。

渡部善が133.5メートルの大ジャンプ、距離でも3位の好走

チームで一番のジャンプを飛び、距離でも1走として3位に付けるなど、活躍した渡部善選手(共同通信)

全10チームの4人がそれぞれ1回ずつジャンプを飛び、その結果をポイントで競う前半のラージヒルジャンプでは、1人目渡部暁選手がK点ちょうどの125メートルを記録すると、2人目渡部善選手が133.5メートルのジャンプを見せ、この時点でのトップに立ちました。続く3人目永井選手が128.5メートル、4人目山本選手が135メートルをマークし、全体を終えて日本はオーストリア、ドイツ、ノルウェーの3強に続く4位という結果に。大きなミスはありませんでしたが、走力で他国に劣っている日本としては、前半のジャンプで3強に割って入りたいところでしたが、あと一歩届かず、後半のクロスカントリーに望みを繋ぐ形となりました。

2走・38歳ベテラン永井が粘りの走り

永井選手(右)にタッチする第1走者の渡部善選手(共同通信)

後半のクロスカントリーは、4人がリレー方式で5キロずつ、計20キロを走り切ります。ジャンプの結果から首位のオーストリアから12秒遅れてスタートした日本でしたが、開始早々、1走の渡部善選手が、前を走るドイツ、ノルウェーに追いつき、3人の2位集団でオーストリアを追う展開に。その後、ドイツと共にトップのオーストリアに追いつくと、1位集団を形成します。この時点で、ノルウェーはやや後方に。このまま第2走の永井選手にリレーすると、ノルウェーも快走を見せ、日本は再び4位に。

3走・渡部暁が先頭集団で争う

渡部暁選手(右)にタッチする第2走者の永井選手(共同通信)

3位のドイツとはたった0.4秒差です。ここで、先日の個人ラージヒルで3大会連続メダルの快挙を遂げた渡部暁選手にタッチすると、目の前のドイツを抜いて、オーストリア、ノルウェーとの先頭集団へ。しかし、この集団を引っ張る中で、「オフテブロ(ノルウェー)に離されるかたちで凉太にタッチすることになって、いい働きができなかった」と振り返ったように、リレー直前でトップのノルウェーから離され、2位で山本選手につなぎます。

「涼太行け!」、エースが次世代のホープに託す

渡部暁選手(奥)からリレーされ、スタートする最終走者の山本選手(共同通信)

先頭を走るノルウェーとの差が開く一方で、日本はオーストリア、ドイツともに2位集団に。後半にオーストリアが失速すると、フィニッシュ直前でドイツとの2位争い。山本選手は執念の激走を見せ、激しい競争の末、ドイツからわずか0.3秒差でゴール。日本は3位となり、1994年のリレハンメル大会以来の悲願のメダルを手にすることとなりました。

山本、先輩たちの待つゴールへ飛び込む

山本選手は両手を上げて、出迎える先輩たちに飛び込むようにゴールした(共同通信)

「表彰台に先輩方を上げたい」という強い気持ちで最年少ながら奮闘した走りを見せた山本選手をはじめとして、全員が粘りのある走りをした今大会。『オール早稲田』でメダルを獲得したこのノルディック複合団体競技について、渡部暁選手は「団体戦のメダルはチームみんなで喜べて、個人で取るよりも何倍も嬉しさがある」と語りました。かつての日本は1992年、1994年のオリンピック2連覇、2009年の世界選手権での金メダルと、複合団体を得意としてきました。しかし、2014年のソチ大会以来、表彰台にはノルウェーの、ドイツ、オーストリアの姿があり続けました。その一角を打ち崩した今、復活の兆しがここにあります。

この日はチームサポートに回った谷地選手は「ノルディック複合、銅メダル。本当におめでとうございます。凄いものを見ました。先輩たちの姿から多くの事を学びました。もちろん、めちゃくちゃ悔しいです。4年後は私も夢を叶えられるように、頑張ります」と喜ぶと共に「今日が、4年後への新たなスタートだ。この悔しさを絶対に忘れない。決して諦めない。決して止まらない。夢は叶う。改めて先輩達が教えてくれた。大変な道のりになると思う。だけど、それでも挑戦する。めちゃくちゃ心が燃えている」と、奮起を誓いました。

日本の活躍、そして現役早大生と校友の活躍から目が離せません。

文:学生スタッフ・宮島真白

日の丸を掲げて喜ぶ(左から)渡部善選手、永井選手、渡部暁選手、山本選手(共同通信)

競技後インタビュー

渡部善「長いことメダル目指して、やっとここまで来れた」

ーーメダル獲得です。どんな思いですか

やっと取れたなという感じがしますね。長いことメダルを目指してずっとやってきて、時間はかかりましたけど、やっとここまで来れたなという気持ちです。

ーー善斗選手の素晴らしい滑り、そしてチームとしてもワックスがよく効いていたように感じましたが、いかがでしたか

そうですね。今日は本当にMVPはワックスマンだと思います。スキーは本当にすごく滑りましたね。

永井「最後にこんなご褒美が待っているとは」

ーー「最後の挑戦になると思う」というお話の中で、メダルが待っていました。どんな気持ちですか

本当に最後の最後でこんなご褒美が待ってるとは思わなかったので、今日一緒に戦ったチームメートおよび日本チームのスタッフ、コーチ、全てのみんなに感謝したいですね。本当に最高です! ありがとうございます。

渡部暁「個人で取るよりも何倍も嬉しさがある」

ーー最後、山本選手を迎え入れた時、どんな思いでしたか

今日、僕はいいジャンプもできなかったですし、最後クロスカントリーの方もオフテブロ(ノルウェー)に離されるかたちで凉太にタッチすることになって、いい働きができなかったけれど、チームのみんなに助けてもらいました。最後は「涼太いけ!」という感じで、託して信じて待っていました。

ーー団体のメダルの喜び、そして意味というのはどう感じていますか

団体戦のメダルはチームみんなで喜べて、個人で取るよりも何倍も嬉しさがあります。それは2009年のリベレツ世界選手権の時に、僕だけしか体感していないんですよね。そこから長い時間かかってしまったのですが、この瞬間というのをみんなで共有できてすごくうれしいですし、こういう気持ちというのは、チーム全体としてこの後の、続いていく日本のコンバインドチームの未来に対して本当に良いメダルだったなと思います。

山本「表彰台に先輩方を上げたいというのがありました」

ーープレッシャーもあったと思いますが、どんな気持ちで走っていたのですか

まず4走に決まった時に、「これプレッシャーヤバいな」と感じました。表には出さないようにはしてましたけど、自分の中で一番きついレース展開になるだろうなというのが想像できたので、あらゆる想像をしてきました。やることは変わらないと思っていたので、自分の、ちょっと良くなってきた滑りを少しでも出せたらいいのかなと思っていました。しかし、まさかあそこの位置で表彰台を争えるとは思っていなかったのでまずは良かったと思います。

ーー最後の直線はどんな気持ちでしたか

正直なところを言うと、「オーストリア来るな」という感じで走っていました。ドイツももう少しの所にいたので、いろいろな気持ちはありましたけど、とりあえず表彰台に先輩方を上げたいというのがありました。気持ちが先走っていた感じですね。

オール早稲田で「銅」 北京五輪スキー複合団体28年ぶりの表彰台

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/athletic/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる