
記者会見でエールを送る外池監督
2021年12月22日にア式蹴球部が行った4年生4名のJリーグ入団内定共同記者会見。2018年にア式蹴球部監督に就任した外池大亮監督(1997年 社会科学部卒)は、2018年入学の4年生を“同期”と呼んで、各選手の4年間を振り返り厳しくも温かい激励の言葉を投げかけました。
2022年にJリーグへ飛び立つ、田中雄大主将(スポーツ科学部4年)=ファジアーノ岡山(J2)、⽥部井悠副将(同4年)=ザスパクサツ群⾺(J2)、加藤拓己選手(同4年)=清水エスパルス(J1)、上川琢先週(同4年)=福島ユナイテッド(J3)へのエールです。

(左から)外池監督、上川選手、田中主将、田部井副将、加藤選手
外池大亮監督
「プロは応援されるだけでなく、逆に支えなければいけない」
課題を抽出するという鍛練を積み上げてきた
この学年は私が2018年に監督を務め始めた年に入学し来た学年であり、一緒にやってきた“同期”になります。ですので、その同期達に激励の言葉を送りたいと思います。
今シーズンの結果は関東リーグ5位、そしインカレ初戦敗退に終わりました。自分たちが目指すべきところではない非常に厳しい結果で、なかなか思うように行かない、本当に苦しいシーズンだったと思っています。ただ、この5位という順位も本当に苦しみ抜いた結果として、インカレの出場を勝ち得たことにつながりました。けが人も多く、いろんなことが起きたシーズンでした。
けれどもその日常においては、選手たちは試行錯誤と自問自答を繰り返し、多くのディスカッションを通じて、いろんな状況において課題を抽出するという鍛練を積み上げてきたのではいかと思います。結果という意味では、課題解決というところには至りませんでしたけれども、この課題を抽出する力というのは、これからのサッカーに生かせるだけでなく、社会で生きていく上でも非常に重要な力だと僕は考えています。そいういう意味では、いい経験をしたのかな、というふうにも思っています。
この4人が戦う舞台は、本当に厳しい世界
彼らはこれからプロという世界に行くのですが、 僕自身もプロで11年間やらせてもらって、自分なりに「プロとは何ぞや」と考えた認識は、「自分が楽しみ、人を楽しませられる存在になる」ということです。そのような考えで、最後の選手生活を送っていました。今の学生たちは本当に、自分たちの仲間や家族など多くの人たちに支えられ、感謝してきたという言うような言葉を、ブログなどいろんなところで語っています。
しかしこれからは、彼ら自身が、クラブの地域とかサポーターの方々に応援される存在になることはもちろんなのですが、そういう人たちを逆に支えて応援してしていける存在になってほしいと思います。サッカーにはそういう力があります。サッカーという舞台の中で経験し、表現し、 サッカーを生業としていくには、支える側になることを、追求してほしいと、考えています。
これから、この4人が戦う舞台は、本当に厳しい世界だと思います。 コロナ禍で特に3年生、4年生という期間を乗り切り、その中でいろんな課題いろんな現実、いろんな社会の環境に対して 自分たちの課題を見つけ出す力というものが、必ず支えになると思うので、 本当にそれぞれ、みんな、頑張ってほしいなと思います。
「セレンディピティ」を大切に
監督になってから4年、4年生たちに言い続けてきたこと、僕が4年間で一番大事にしてきた言葉は「セレンディピティ」、偶発的出会いという言葉です。アスリートとして、みんな真面目でストイックに過ごしていると、どうしても視野が狭くなってきます。
怪我をしているとき、苦しいとき、色んな考えを持っている人が社会にはいて、そういう人たちとふと出会ったり、ふと感じたり、話されたことをふと考えてみると、同じように聞こえていた言葉が実は違う意味に聞こえてきて、道が開けるときがあります。日常とスポーツという非日常の狭間には、そういう瞬間があり、それがスポーツに関わることの魅力でもあると思っています。
試合でも、ずっと攻め続けられていた場面で、パス一本がカウンターとなって急に道が開けたり、またその逆もあります。偶発的出会いを大切にするということを改めて僕自身も今後に活かしたていきたいですし、これからプロに旅立つみんなにも意識してほしいなと思います。