
チャンピオンベルトと大隈ベアを抱える岩田選手
早稲田大学ボクシング部出身で今年3月にWBC世界ライトフライ級王者となった岩田翔吉選手(帝拳所属、2018年スポーツ科学部卒業)が4月24日、競技スポーツセンターを訪れました。岩田選手はスポーツ振興担当理事・藤田誠商学学術院教授と学生時代に所属していたゼミの恩師である同センター所長・石井昌幸スポーツ科学学術院教授に、1年ぶりにチャンピオンに返り咲いたことを報告しました。

ゼミの恩師・石井所長(左)にベルトについて説明する岩田選手
持参したチャンピオンベルトを藤田理事と石井所長に披露した岩田選手は「世界戦のダメージもなく、1週間後から非常にモチベーションを高くトレーニングに取り組むことができています。今年中にさらにタイトルを獲ってWBA、IBF、WBOの4団体統一王者を目指します」と抱負を語りました。
その後、早稲田スポーツミュージアムに移動。2度目の世界王者となったため、前回サインを描いた枠に再びサインをいただき、記念撮影を行いました。
岩田選手インタビュー
2度にわたる世界戦敗北からの再起 「覚悟を決めるのは難しかった」
2022年11月の世界初挑戦で敗北。2024年10月の世界再挑戦で悲願の王座獲得。2025年3月の初防衛失敗による陥落。そして2026年3月の王座返り咲き。困難を乗り越えて、不屈の精神で再起してチャンピオンベルトを手に入れた岩田選手に、話を聞きました。

早稲田のロゴが入ったトランクスをはいて王座に復帰した(共同通信)
―王座陥落から再起しようというモチベーションは、どのように作り上げていったのでしょうか。
本当に非常に難しかったです。ボクシングを続けるということだけであれば、時間が経てばできます。しかし、もう一度世界チャンピオンを目指すとなると、その覚悟が必要です。やはり、世界を目指すというならば、中途半端な気持ち、少しの迷いでもあると不可能です。ボクシングは甘くない。自分自身、それがよく分かっています。
――敗戦から半年を経た10月に再起戦に臨みました。
正直な話、再起戦の試合会場に入って拳にバンテージを巻いている時でさえ、闘争心が湧いてきませんでした。相手は世界ランカーのメキシコの選手。前の試合で世界タイトルに挑戦している強敵です。そんな不安な状態でリングに上がるのは初めての経験でした。それでも戦っているうちに、少しずつ気持ちが戻ってきて、勝つことができた。勝った時、「もう一回、何が何でも世界チャンピオンになってやる」という気持ちが芽生えました。
不完全燃焼のまま匙を投げてしまうのは、アスリートとして失格だと思っていたので、最後は燃え尽きるような形で終わりたかった。「リングで失ったものはリングで取り戻す」という決意が固まって、本当に家族が支えてくれたおかげで、もう一度世界に挑むことができました。

早稲田スポーツミュージアムで記念撮影
――再起に当たり、最初のジムワークを17号館のボクシング部練習場で行ったそうですね。それはなぜですか?
早稲田が好きだったからです。早稲田に入りたいという気持ちは、中学生・高校生の頃からあって、それを叶えてくれたのがボクシングで。
――ボクシングスタイルをアマチュア時代の足を使ったスタイルに戻したと伺いましたが、それはどういった理由ですか?
常に足を使い続けて最後にパンチを落とすというのが、自分の元々のボクシングスタイルでした。パンチ力が強かったので、(アマチュアの10オンスのグローブより軽い)8オンスのグローブとなって、プロはアマチュアと全く別物だと感じてスタイルを変えました。相手に強く当たれば倒せる、という感覚でやっていたのです。
ただ、(敗戦した)プエルトリコの選手たちのように、全く自分の土俵で勝負してくれない相手もいました。本当にもう一度世界を目指すのであれば、どんな選手にも対応できるボクシングを作り込んでいかなければならない。その覚悟を持つことが難しかったのです。何でもできるようにならないとチャンピオンとして君臨することは困難です。そこを新しいトレーナーと二人三脚で取り組んできました。

4月10日、チャンピオンベルトを携えてボクシング部練習場を訪れた岩田選手と部員
――最後に、ボクシング部の部員へメッセージをお願いします。
ボクシングはいろんなことを同時に考えながらやらないといけないスポーツです。減量も、トレーニングもきつい面がたくさんあると思いますけれど、毎日しっかり自分で決めたことを積み上げていくことが大事です。積み上げることで実力が備わっていく。いつその実力が発揮できるようになるかは分からないけれど、積み上げていけば必ず成果が出るというのは間違いないことです。
自分にはここが足りない、こういうところを改善できる、という気づきを得るために、頭を使ってしっかり取り組んでほしいと思います。練習の中のちょっとした何かから掴んでいく。その積み重ねが、いずれすごく大きな成果になります。自分が今こうしてボクシングを続けていられるのも、積み上げてきたことがあったから、でしかありません。

1度目の世界王者となったときに書いたサインの上に、2度目のサインを入れる岩田選手




