- SGU海外渡航補
私は、早稲田大学の「2024年度SGU健康スポーツ科学モデル拠点 大学院生海外渡航補助」を受けて、2024年8月12日から2024年11月9日の3か月間、カナダのバンクーバーにあるThe University of British Columbia(UBC)で研究活動を行いました。
- 子連れ留学
私の研究留学の特徴としては、1歳の娘を帯同して行ったことが大きなポイントだと思います。お子様を帯同して留学を検討している全ての研究者の皆様の参考になることを願って、詳細を報告させていただきます。
必須事項は以下の通りです。
- 留学が決まる前から現地のチャイルドケアに登録する
- 受け入れ先の教授に確認をする
- 治安、アクセスの良い場所に1ルームを借りる
2-1. チャイルドケアについて
今回の留学準備では①が最も難しい問題でした。現在カナダでのチャイルドケアの利用は現地の方でも困難で、待機児童が非常に多い状況です。留学が決まってからチャイルドケアを探しても入ることができず、最悪の場合、留学を諦めることになる可能性があります。UBCスタッフや学生ためのUBC Child Careの平均待機期間は2-3年でした。私のスケジュールとしては、12月>Guy Faulkner教授より受け入れ許可、2月>SGU補助金申請、チャイルドケアウェイトリスト登録開始、4月>SGUプログラム内定、5月>賃貸の契約、9月以降のチャイルドケア入園決定通知、8月>渡航でしたが、もっと早くチャイルドケアのウェイトリストに登録しておくべきだったと感じています。幸い、私はUBCのWesbrook mallにあるYMCAの運営するチャイルドケアからUBCの学生としてプライオリティがもらえたため、利用することができました。料金については、バンクーバーの1日10ドル政策に基づいている施設だったので200ドル/月で利用できましたが、私立のチャイルドケアやシッターを利用するとフルタイムで2,000ドル/月ほどかかる場合もあるようです。9月までは、現地の日本人ベビーシッターサイトで探した、ファミリーチャイルドケアを2週間使用しました。こちらを利用することで現地で子育てをしている日本人の方との繋がりができて心強かったので、余裕があれば利用してみると良いかもしれません。
現地チャイルドケアの園庭
2-2. アパートについて
私は、UBCから離れたバンクーバーの中心部ダウンタウンに2,500ドル/月の1ベッドルームを借りました。ダウンタウンを選んだ理由としては、1) UBC付近の物件はシェアハウスがメインだったこと、2) 現地に住む友人がダウンタウンに住んでいたことが挙げられます。他の学生と比較すると家賃が高額だと思いますが、シェアハウスやホームステイは子どもへの心理的負担が大きいと判断したため、1人暮らし用の物件を選びました。留学先にUBCを選んだことの一つに、バンクーバーの治安の良さもあります。治安が良いといっても海外は日本とは異なるため、十分に下調べをして危険な場所や出歩いては行けない時間帯を把握しておくこと、頼れる人が居る場合は遠慮なく頼ることが家族を守るために最も重要になります。実際ダウンタウンはバンクーバーの中では治安が良い方ではなかったのですが、特にトラブルに巻き込まれることなく過ごすことができました。またアクセスに関しては良好でバンクーバーはバスの路線が多く、ダウンタウンからUBCバスループまではバス1本、30分ほどで通うことができました。
- 留学先
私の受け入れ先は、Guy Faulkner教授の指導するPopulation Physical Activity Lab – Kinesiology(通称:Pop-PAラボ)という研究室でした。Guy Faulkner教授は、応用公衆衛生学におけるカナダ保健研究機構・カナダ公衆衛生庁(CIHR-PHAC)の議長を務めています。Pop-PAラボでは、公衆衛生のための効果的な身体活動介入の開発と評価、身体活動や座位行動を引き起こす、または防ぐ要因の検討および身体活動とメンタルヘルスに関する問題に対処するために、さまざまな学術的視点と研究デザイン、理論的および方法論的アプローチを取り入れた研究を行っています。ラボの雰囲気としては自由度が高く、娘に対しても優しく受け入れてくださいました。ラボミーティングでは学生のプレゼンテーションが行われ、身体活動と抑うつの関係について活発に議論することができました。私の滞在中には、子どもの身体活動量の評価、測定を実施していました。また他研究室との交流も積極的に行っており、PSYPACという心理学関連の研究室に所属する他の大学院生、ポスドク、教授が参加するPSYPACビーチパーティーという懇親会にも参加しました。
Health Sciences Mall @UBC
- 最後に
私はこの3か月間を通じて、貴重な経験を得ることができました。海外の研究者と友好関係を築き、カナダの文化に触れ、大切な友人、娘と過ごした時間は人生の宝物になりました。留学準備をする段階から大変なことが多くありましたが、この機会に挑戦して本当に良かったと感じています。この経験を活かして、今後も運動疫学の分野に貢献していきたいと思います。本研究留学に関しまして、多くの方々にご支援いただきました。Guy Faulkner教授、Pop-PAラボのメンバーには貴重なご指導と多くのご支援を賜りました。感謝申し上げます。また、このような機会を与えてくださった早稲田大学の指導教官である澤田亨先生、留学手続き等のご支援をしてくださった佐野芙美様、現地での生活をサポートしてくれた大切な友人、娘を受け入れてくださった現地のチャイルドケアスタッフの皆様にも感謝申し上げます。最後に、所沢事務センターの皆様による全面的なご支援により、本研究留学を成功させることができました。心より感謝いたします。
このレポートが新たに挑戦する研究者の参考になれば幸いです。
Stanley Park