2022年度稲門奨励賞受賞者について
受賞者 大槻栞佳氏
活動内容:法曹としての明確な自らの将来像を描き、実現のために自発的にインターンシップ活動や論文執筆活動に挑戦した。
- 選考委員所感
本年度は、3年ぶりに稲門奨励賞受賞者として1名を表彰する。
近年、新型コロナウイルスの感染拡大によるオンライン授業の導入、法科大学院在学中の司法試験受験等の新制度の設立、学生数の減少等、学生にとっては、課外活動を行うことが難しい環境の中で多数の応募があったことは選考委員一同喜ばしく感じている。
ただ、応募者の中には、承認団体の代表等を務めて課外活動したことを応募理由の中心に挙げる者もいたが、承認団体に属してその団体の従来からの活動及びその延長線上の活動を熱心に行うのみでは、本奨励賞の選考基準を満たすことは困難である。その取り組みが従来の活動の枠組みを超えた新規性のある取り組みか、その取り組みに社会的影響力はあるか等の観点を加えて、総合的に高く評価される必要がある。
もちろん、昨今の承認団体の活動の中には、学生らに極めて有益な影響を与えるものや、学内での活動にとどまらず、学外の団体と連携した既存の枠組みにとらわれない活動をしているものがあり、目を見張るものがある。また、新型コロナウイルスの感染拡大により、そもそも承認団体の活動として課外活動を行うにも限界があるところでもある。しかし、そのような中でも、法務研究科の学生たちには、今を生きる学生たちを取りまく環境を踏まえて自ら独自の問題意識を形成し、頭を悩ませ、その解決に向けて実践をしていく姿勢を追求していただきたい。次年度以降も、新たな「挑戦する法曹」の出現に期待している。
- 受賞理由
大槻栞佳氏の活動のうち、特に顕著な実績として挙げられるのは、複数の企業が主催するインターンシップへの参加と信託と暗号資産を用いた資金洗浄に関する論文執筆活動である。
大槻氏は、単に、企業が主催するインターンシップに参加し、指導教員の下で論文執筆活動を行ったのみではなく、在学中に学業と並行して社会問題や将来のビジョンを模索し、それに基づいて行動を起こす意欲や積極性はもとより、自己の問題意識の解決に向けた多種多様な課外活動を通じて、学内だけにとどまらず、広く社会に還元してきたことが認められる。大槻氏の活動は、まさに「挑戦する法曹」としての理想を体現しているものといえる。
したがって、大槻氏の活動は、近年の法務研究科を取り巻く環境のもとでは特に貴重なものであり、奨励賞受賞にふさわしいものである。