Global Japanese Studies早稲田大学 文学学術院 国際日本学

学生報告書

大木エリカ 文学研究科 日本語日本文学コース

ブリティッシュコロンビア大学ワークショップ参加報告

文学研究科日本語日本文学コース博士後期課程3年 大木エリカ

 今回、ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)が新規購入した飛鳥井雅章(1611-1679)の「吉野記」を起点とした「吉野」あるいは「旅」に関わる文学・歴史・文化についてのワークショップに参加するべく、2023年3月6日~8日にかけて同大学に滞在した。

現在、早稲田大学とUBCの大学院生とが共同で上記のテーマに関するウェブコンテンツを作成する計画が進められており、今回のワークショップはその計画と連動して企画された。早稲田大学からは私を含め三人の院生が今回のプロジェクトに参加したが、バンクーバーに到着した初日から、まずは1970年の大阪万博の三洋館をそのまま移築したUBCアジア図書館など、大学のキャンパス内にある様々な施設を見学した。図書館には飛鳥井雅章の「吉野記」をはじめ数多くの貴重な日本語文献が所蔵されており、それらの資料を実際に拝見する機会を得ることができた。

「吉野記」をめぐるワークショップでは、早稲田大学・UBC双方の院生によって「吉野記」に描かれている様々なモチーフや「万葉集」の引用に関する発表が行われた。私自身は、現在日本の近代文学(谷崎潤一郎)を研究しており、今回はラジオといった音声メディアの観点から「吉野」と「旅」を描いた谷崎の「吉野葛」(1931年)について発表した。発表を通して「吉野葛」における〈声〉の問題は、文学テクストとマス・メディアの関係性だけではなく、「吉野記」といった「Manuscripts」をめぐる議論の中で浮かび上がる「文字」と「物質性」の問題を考察する上でも非常に重要であると感じ、今後の自分自身の研究にとって大きな収穫を得た。

また、今回はワークショップ以外にも様々な形で早稲田大学とUBCの院生同士が交流する機会が設けられた。例えば、ワークショップの前には院生それぞれの研究対象・研究内容を紹介する「Pecha Kucha」の時間が設けられたが、発表の中ではマス・メディアやジェンダー問題など共通のテーマに対する関心も見受けられた。さらに、クリスティーナ・イ先生(UBC)の授業では「カナダと日本の学術文化」に関する意見交換も行われ、国際的な日本学研究の視点および国際発信の手法について学ぶ機会を得ると同時に、今後の研究交流のための人脈を構築することができた。

最後に、今回のプロジェクトへの参加をサポートして下さった早稲田大学の河野貴美子先生、陣野英則先生ならびにスタッフの方々、そしてUBCのクリスティーナ・ラフィン先生、クリスティーナ・イ先生、ジョシュア・モストウ先生、大学院生の方々に心よりお礼を申し上げる。

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