Global Japanese Studies早稲田大学 文学学術院 国際日本学

学生報告書

鳩飼未緒 文学研究科 演劇映像コース

柳井リサーチフェローシップ・プログラム UCLA派遣 報告書

文学研究科博士後期課程演劇映像学コース5年 鳩飼未緒

このたび私は柳井リサーチフェローシップ・プログラムの助成をいただき、カリフォルニア大学ロサンゼルス校Department of Asian Languages and Cultures(以下、ALC)のVisiting Graduate Researcherとして2019年3月29日から6月29日までロサンゼルスに滞在した。

滞在中は、カリフォルニア大学サンディエゴ校で開催された “Feminist World-Building in Japanese Cinema/Building Feminist Worlds in Japanese Cinema” や、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校での “Inaugural Workshop of Gender and Criticism: Japan in the Trans-Pacific” など、関心のある分野のワークショップやシンポジウムに複数参加することができた。中でも “Feminist World-Building” は、私の研究対象である日活ロマンポルノと関係性の近いピンク映画をメインテーマにしたシンポジウムで、研究発表の聴講や参加者との交流を通じて博士論文に反映できそうな新たな知見を得られたため、非常に貴重な経験であった。

また、UCLA図書館のSpecial Collectionsに所蔵されている日本映画のポスターのコレクション調査も行った。このコレクションは1960-70年代の日本映画をアメリカで上映した際に作成されたポスター約250枚で構成された珍しいものだが、死蔵されていたために詳細なカタログなどは無いようで、今後、博士論文提出後のプロジェクトとしてより詳細な調査を行いたいと考えている。

さらに、滞在の最後には、ALCの山﨑順子助教授や研究図書館の司書トモコ・バイアロックさんの協力を得て、日活ロマンポルノをテーマにしたワークショップを開催させていただいた。私が約1時間の口頭発表を行い、その後で45分ほどのディスカッションを設けたのだが、日本での学会発表では出ないような質問や意見をたくさん頂戴し、とても有意義な時間を過ごした。

3ヶ月間の一番の収穫は、自らの研究の位置付けを考え直す機会を得たことである。私は修士課程から日本映画を中心に研究しているが、ずっと映画の研究科に所属してきたため、地域研究の一環としての日本研究に従事している方々との交流はこれまで多くなかった。しかし今回、文学や歴史、美術、宗教、ポップ・カルチャーといった日本研究の諸分野に携わるALCの先生方、学生たちとの交流やシンポジウムなどへの参加を通じて、自分が行っている戦後日本映画の研究を、より大きな、国際的な日本研究の枠組みの中に位置付けて捉え直すことができた。また、ジェンダーやセクシュアリティという関心事を共有する女性の日本研究者と知り合うことも多く、研究の内容だけでなく、日米における女性研究者の現状などについても意見を交換し、大きな刺激を受けた。私はアメリカで修士号を取得したものの、帰国後日本で研究を進める中で内向きの意識が強くなってしまっていたように思う。しかし今回のロサンゼルス滞在を通じて、国際的な研究の潮流を把握し、その中に自らの研究を位置付けてみる意義を再認識することができた。今後は日本国外の研究者との交流や対話を積極的に行いつつ研究に精進する所存である。

一覧へ

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/flas/gjs/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる