Graduate School of Japanese Applied Linguistics早稲田大学 大学院日本語教育研究科

その他

柴野たまの(日研修士8期生)

現職:JICE(日本国際協力センター)・日中技能者交流センター 非常勤日本語指導員

大学院が発足した年の秋、私は早期退職した夫とともに、日本語講師として中国へ渡った。

学生として日本語を学び続けたいという想いもあったが、タイミングが合わず、私には大学院は縁がないものと諦めていた。

「やっぱり大学院に行きたい」、「もう一度勉強したい」と思うようになったのは、中国で学生の指導に明け暮れていた3年目のこと。人に教える、ということを通して、自分の不勉強さを痛感していた。「人の世話ばかりしていないで一度帰って、勉強し直したらどう」と恩師の言葉もあり、一念発起することになった(講師を続けていく上での事情というか打算も少しありました)。

中国で講師の実務をしながら入学のための準備をするのは、要領の悪い私には大変な労力だった。入ってからも、往復3時間の通学、レポートに追われ、日本語は体力勝負と泣いた。改めて学問の厳しさも知った。並の頭で苦しんだ。

しかし、それでも、大学院に入ってよかったとつくづく思う。

話は遡って、センターに通い始めた頃。あの頃は本当に感動の連続だった。学生が本職の頃にはなかった、学び、知る喜び。心の底からの「ああそうなのか!」「分かった!」。大袈裟と言われるかもしれないが、ヘレンケラーのあの場面のような気持ちにさえなった。

あの日々の感動は決して色あせるものではないけれど、大学院に通うことによって、改めて原点に立ち返った気持ちだった。そして当時以上に深い知識も得ることができた。特に、アルゼンチンでの教科書作成は、大学院での経験があったからこそ出来たと感謝している。

苦しみは一人ではやってこない。必ず喜びの種を連れてくる。撒かれた種は、美しい花を咲かせ実を結び、過ぎし日の全てが今に繋がっている。

63歳、まだまだ口は達者。日本語で楽しもう。今、私は本当に日本語がうまくなりたいと思っている。

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