東日本大震災の災禍から11年目となる3月11日、NHKのNEWS番組「おはよう日本」において、人間科学学術院 辻内琢也教授の研究グループの研究成果が紹介されました。
以下、NHK NEWS WEBからの抜粋です。
東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で避難生活を余儀なくされている人に医師などで作る研究グループが調査を行ったところ、今も3割を超える人にPTSD=心的外傷後ストレス障害の疑いがあることがわかりました。
この調査は、早稲田大学人間科学学術院の辻内琢也教授らの研究グループが、福島県から関東などへの避難者の精神的な負担を調べるため、事故のよくとしの平成24年からほぼ毎年行い500人から1000人ほどが回答しています。
今月、ことしの調査の速報値がまとまり、回答者の32.6%に、事故の場面がいきなり頭に浮かぶ「フラッシュバック」に悩むなどPTSDの疑いがある症状が見られることがわかりました。
PTSDの疑いの症状が見られる人の割合は最も高かった平成24年の67.3%に比べ半分程度まで減っていますが、辻内教授は、依然として深刻な現状だと分析しています。
また、調査では新型コロナによる生活への影響について、「生活状況が悪化した」と答えた人が38%にのぼりました。
辻内教授は「今は避難者の生活に関するさまざまな支援が打ち切られ、PTSDから回復できない人にとってはもがいても前に進めない『泥沼』のような状況だ。福島の事故は決して終わっておらず、どのような支援ができるかを話し合うべきだ」と話していました。