地政学的緊張の高まり、環境問題に対する取り組みの見直し、生成 AIの普及など、ビジネスのパラダイムは大きく変化しつつあります。現代の企業経営に求められるのは、従来の発想にとらわれずに新しい可能性に挑戦する力、グローバル化する世界における事業機会とリスクに備える力、そして多様化する価値観に耐える柔軟さではないでしょうか。
私たちビジネス・ファイナンス研究センター(WBF)は、日本そしてアジアをリードするビジネススクールである早稲田大学ビジネススクール(WBS)と一体になり、不安定化する世界における企業を導く実践知の創造と提供の拠点となるべく、幅広い教育研修プログラムと研究プロジェクトを早稲田大学の内外に提供してきました。
我々は未来のビジネスエリートを目指す若い企業人を対象とするMBA教育と、経営管理層の中核として活躍中の企業人が現在抱える問題を解決するための知見を提供するエグゼクティブ教育を、その活動の両輪としています。ビジネス・ファイナンス研究センターは、後者、すなわちエグゼクティブ教育の中核を担う存在として、これまで以上に多様で高度な知的創造と啓発の場を提供するべく、さらに多くの活動を展開していきたいと考えています。
同時に、研究活動、研究プロジェクトにおいては、早稲田大学におけるビジネス・ファイナンス関連分野の研究者をはじめ、国内外の大学や研究機関の研究者、実際に業務に携わる実務家が幅広く連携し共同研究を行うことにより、世界水準のビジネス・ファイナンス研究を推進していきます。研究成果は、まずワーキング・ペーパーや紀要として発信され、最終的には、学会誌やビジネス誌に論文や記事の形で掲載、もしくは書籍として出版されます。こうして発表される我々の研究成果が、学術的な意味で大きなインパクトを与え、さらには、ビジネスの実践の場や公共政策の決定過程に影響を与えることなどを通じて、広く社会に貢献していくことを目指します。
私たちの活動が、早稲田大学ビジネススクールと共同して展開している数多くの研究活動や出版活動ともあいまって、日本そして世界の企業活動のさらなる発展に資するものとなることを願っています。
菅野 寛 教授(早稲田大学大学院経営管理研究科)
東京工業大学大学院修士課程修了。カーネギーメロン大学経営工学修士(MBA)。ボストン コンサルティング グループ (BCG) にて十数年間、日本およびグローバル企業に対してさまざまなコンサルティング・サービスを提供。BCGにてパートナー&マネージング・ディレクター職、Technologies, Media and Telecommunications部門のアジア・パシフィック代表等を歴任。