公開セミナー 村上春樹文学に出会う#4
陳 國偉 愛の形状――村上春樹と台湾文藝青年の感性(8月25日開催)
今年度から公開セミナー「村上春樹文学に出会う」シリーズを始めています。さまざまな形で村上文学と関わってきた方々に、村上作品との“出会い”や“絆”について語っていただき、さらに村上文学を読む面白さや文学研究の魅力を来館者と交流し合う空間を作ります。
第四回目には、日台比較文学研究者・陳國偉先生を招いて、台湾の文藝青年たちがどのようにして村上春樹文学から影響を受けたかを、お話していただきます。文藝青年は台湾で「文青」と略すことが多く、文学のみならずアートや音楽、映画などをこよなく愛する青年を言います。
台湾では1980年代から村上春樹文学が読まれはじめ、世界と個人の捉え方、感情と感性の成り立ちなどの面において、文藝青年に深い影響を与えてきました。本講演では以下二点に分けて考察される予定です。
まず『風の歌を聴け』、『1973年のピンボール』、『カンガルー日和』、『ノルウェイの森』などの村上春樹初期作品は愛と人間関係を描き出しており、そうした描写はちょうど1990年代台湾で流行した日本ドラマとあいまって、当時の若い世代の「純愛」に対する想像を膨らませたこと。
次に、その文藝青年の多くはのちに台湾文学における重要な作家となりましたが、彼らが小説創作の過程で村上春樹の世界観をいかに転換して、世界に対する新たな感性のシステムと文学観点、実存主義的な生命の感覚などを発展させてきたかということ。
この二点ともに、21世紀の台湾の文化環境において重要な役割を果たしており、文学作品と日常生活にも深く浸透している様子が解説されます。
講演後には、来場者の方とのQ&Aも予定しております。奮ってご参加ください。
詳細
- 開催日時:2023年8月25日(金)13:30〜15:00
- 開催場所:国際文学館(通称:村上春樹ライブラリー)2階ラボ
- 使用言語:中国語・日本語(通訳あり)
- 参加:無料・予約不要
- 主催:早稲田大学国際文学館
講演者
陳 國偉(チン コクイ)
文学博士。台湾国立中興大学准教授(台湾文学・トランスナショナル文化研究科)、早稲田大学訪問学者(文学研究科)。専門は台湾文学、大衆文学、ミステリー、ポップカルチャー研究、日台比較文学研究。著書に『越境と翻訳:現代台湾ミステリ小説における身体の翻訳及びトランスナショナルジャンルの再生産』(聯合文學出版、2013) 、『ジャンルの風景:戦後の台湾大衆文学』(國立台灣文學館出版2013)。共著『交差する日台戦後サブカルチャー史』(北海道大学出版会、2022)。
司会
栗原 悠(国際文学館)
監修・通訳
権 慧(国際文学館)
注意事項
主催者側で記録のため撮影または録画することがあります。
体調管理、手洗い・手指消毒などの基本的な新型コロナウイルス感染症予防対策をお願いします。
マスク着用については本人の判断に委ねます。
本件に関するお問い合わせについて
- email:wihl*list.waseda.jp(*部分を@に変更してください)