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1956年早稲田祭映像をデジタル化 篤志の方のご寄付により実現
映像と解説
Thu 24 Oct 24
映像と解説
Thu 24 Oct 24
早稲田大学歴史館(館長:真辺将之文学学術院教授)は、所蔵する16mmフィルム映像「1956年早稲田祭」をデジタル化し、YouTubeにて全編を公開しました。
本資料は2012年度に稲門シナリオ研究会から寄贈された16ミリフィルムで、再生手段がないまま保存されていました。今回、友金孝夫氏(稲門シナリオ研究会OB・早稲田大学職員)からのご寄付のお申し出を受けて専門の業者に依頼したところ、保存状態が良いことから、欠損したパーフォレーションの修復を経て、映像と音声とを17分間のデジタルデータに変換することができました。
資料の情報
早稲田大学歴史館 所蔵資料
資料群名:2012年度稲門シナリオ研究会寄贈早稲田祭関係資料
資料番号:1
資料名 : 〔16ミリフィルム〕1956年早稲田祭 早稲田大学早稲田祭委員会書記局財務部保管
作成年月日:1956年
作成者・差出人名:稲門シナリオ研究会
受入番号:201202200001
備考:2024/09/17 デジタルデータ納品
映像および利用条件
- 本資料の利用はYouTube上のみに限ります。他の媒体やサービスへの転載・頒布は禁止します。
- 歴史館東伏見アーカイブズでの資料利用(閲覧・複写等)は行いません。
- 権利上の問題が懸念される劇伴の一部を削除しています。
解説
早稲田大学歴史館スタッフ 林建吾(文学研究科修士課程)
本資料は、1956年の早稲田祭の様子を記録した自主映画です。戦後の学制改革によって新制大学が発足すると、1950年代には全国の大学で全学一致の学園祭が行われるようになりました。早稲田大学でも統一祭実現の機運が高まり、1954年にはのちに第1回と数えられる早稲田祭が開催されています。本資料は1956年の早稲田祭を準備から当日までひととおり記録しており、この時期の早稲田祭を伝える貴重な映像資料といえます。
1956年の早稲田祭は11月20日の前夜祭を皮切りに、21日から25日まで5日間開催されました。早稲田祭の象徴的な催しといえば、仮装行列・フォークダンス・ファイヤーストームでした。講堂ではさまざまな演劇や合唱が行われ、期間を同じくして運動会も開催されました。学生・教員・地域住民が一堂に会して宴に興じる光景からは、統一祭が実現した直後の、牧歌的な早稲田祭の雰囲気が感じられます。
一方で早稲田祭は、大学や社会の中で生きる学生を克明に映してきました。1956年の早稲田祭で関心を集めた「生産性向上の問題」とは、同年1月に早稲田大学と米国ミシガン大学の間で産業生産性の向上を目的として締結されたいわゆるミシガン協定への反対運動のことです。またこの時期の早稲田祭では、昼間と夜間の学部間格差解消を目指す単一学部制の要求運動が行われたように、働きながら大学に通う勤労学生が一定の存在感を持っていました。
制作に協力した稲門シナリオ研究会は、戦後における学生の自主映画運動の先駆け的存在でもありました。1953年に同研究会が九十九里で軍事基地の実情を記録した映画「九十九里」を制作すると、これが1つの定型となり、以後全国の大学や高校で学園祭・日常生活・旅行などの記録として映画制作がさかんに行われるようになったのです。とりわけ学園祭は自主映画の主要な題材とされました。本資料はこうした流れの中で制作されたものと考えられ、戦後の自主映画運動を考える上でも重要な意味を持ちます。
本Web記事のテキストおよび画像の引用にあたっては以下の情報を出典として付記してください。
- 著者名:早稲田大学歴史館
- タイトル:1956年早稲田祭映像をデジタル化 篤志の方のご寄付により実現
- 掲載サイト:早稲田大学歴史館
- 更新日:2024年10月24日
- URL:https://www.waseda.jp/culture/archives/news/2024/10/24/5587/
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