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早大、東京レインボープライドに3年連続で参加 学生たちが気付いた変化

セクシュアリティ(性の在りよう)にかかわらず、全ての人がより自分らしく誇りを持って生きていける社会を目指して、毎年代々木公園周辺で開催されている日本最大のプライドイベント「Tokyo Rainbow Pride(以下、TRP)」(※)。今年は4月28日と29日の2日間で実施され、早稲田大学からはGSセンター(ジェンダー・セクシュアリティセンター)が3回目のブースを出展しました。

TRP2019:GSセンターブース前の様子

TRPの中でも特に盛り上がったのが、渋谷・原宿一帯を練り歩くレインボーパレード。GSセンターは今年、現役大学生・教職員・卒業生有志による「すべての大学に多様なセクシュアリティを」というグループに加わり、事前の公募で募った仲間も含め、早稲田関係者約45名でパレードに参加しました。

過去に参加した2回の様子も振り返りながら、約20万人が楽しんだ「TRP2019」での気付きについて、GSセンター専門職員の渡邉歩さんに聞きました。

(※)「東京レインボープライド2019」は、LGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティの存在を社会に広め、「”性”と”生”の多様性」を祝福するイベント。主催者の「特定非営利活動法人 東京レインボープライド」は「らしく、たのしく、ほこらしく」をモットーに、性的指向および性自認(SOGI=Sexual Orientation, Gender Identity)のいかんにかかわらず、すべての人が、より自分らしく誇りをもって、前向きに楽しく生きていくことができる社会の実現をめざしています。

東京レインボープライド公式ホームページより

GSセンター専門職員 渡邉 歩(わたなべ・あゆむ)

左から、GSセンター学生スタッフのろーたさん、セイイさん、ちゃんまなさん、専門職員の渡邉さん

――そもそもGSセンターがTRPに参加したのには、どんなきっかけや目的があったのでしょうか。

クイズ企画を実施し、参加者にはオリジナルステッカーを配付。学生が作った問題ということで初めは高をくくっていた人も、難易度の高さに途中から本気モードになる場面も

2017年4月のGSセンターが開設された直後に、既に参加準備をしていたLGBT稲門会(※1)から、一緒に出ませんかとご厚意でお誘いを受けたのが始まりです。初年度と昨年度はGSセンターの存在自体を知ってもらうことが第一と考え、認知度向上を目的に出展しました。3年目となる今年は、もう一歩踏み込んで、ブースを訪れる人に何かしら知識を持って帰っていただくために、学生スタッフを中心に考えた、ジェンダー・セクシュアリティに関する知識を問う「クィア(※2)・クイズ」という企画を行いました。

GSセンター学生スタッフ高菜さんがデザインしたオリジナルステッカー

※1 セクシュアルマイノリティ当事者やその支援者であるAlly(アライ)によって構成される早稲田大学公式の卒業生組織。
※2 「クィア」は主に男性同性愛者やトランスジェンダー女性への侮蔑語として使われていたが、アイデンティティの一貫性を批判的に捉え直し、否定的な価値付けをあえて引き受けることで価値の転倒を意図する言葉として使われている。

――GSセンターのブースにはどのような目的で人が訪れるのですか? また3年間継続して出展する中で感じたニーズの変化はありましたか?

1年目はGSセンターの活動実績も、また独自の企画もまだなかったため、センターの紹介をするくらいしかできませんでしたが、稲門会の活動を見に来た早稲田の校友の方から、母校にこうしたセンターができたことに対して、喜びやお褒めの言葉をもらいました。また、2017年当時はまだ大学として出展している例は多くなく、大学がどんな支援を始めたのかに興味を持って寄ってくださる方もたくさんいました。

TRP2017:2017年5月6日・7日開催 総動員数:105,000人
メインゲートにほど近い場所でありながら、ゆったりとした一角にブースを出すことができたため、気軽な気持ちで立ち寄ってくれる人も多くいたという

2年目となった昨年はワセダベアを呼んで記念写真企画を行ったことで、通行人の目を引くことができ、中には「GSセンターがあるから早稲田に入りたい」という高校生の声や、「多様性を尊重する早稲田に子どもを入れたい」という保護者の声を直に聞くことができました。また、この頃には「早稲田ヒューマンライブラリー」という大規模な学内イベントを企画していたので、イベントに興味を持った方も説明を聞きに来てくれました。

TRP2018:2018年5月5日・6日開催 総動員数:約150,000人
(左)ワセダベアの登場で周囲の注目を集めた
(右)スチューデントダイバーシティセンターの3オフィスが合同で実施した「早稲田ヒューマンライブラリー」(2018/5/26実施)の告知も行った

3年目の今年は全体的に企業ブースが多く、また大学名を冠したブースも増えてきており、社会全体の急速な機運の変化を感じた年となりました。その分これまでのように早稲田が取り分け目立つ雰囲気は薄れましたが、その一方で、「GSセンターを自分の通っている大学にも作りたいがどうしたらいいか」という質問をしてくれた他大学の学生や、「自分の大学でもセクシュアルマイノリティ学生支援を始めていきたい」という他大学の教職員もブースを訪れてくれて、これまで活動してきたことが他の大学の動きにも影響を与えていることを実感しました。

TRP2019:2019年4月28日・29日開催 総動員数:約200,000人
LGBT稲門会が作成したメッセージボードを掲げて歩いたそう

――普段GSセンターが行っている大学内に向けた啓発イベントだけではなく、TRPのように一般社会に向けて名前を出して関わっていくことには、どのような意義があるのでしょうか?

早稲田大学がALLY(支援者)であることを世の中の人々に知ってもらう、ということはもちろん第一の目的なのですが、結果的に一番身近で感じた同じくらい大きな意義は、イベントに関わった職員や学生スタッフたちの変化でした。

GSセンターの学生スタッフにはモチベーションの高い学生が集まっていて、職員と共に全力で学内の啓発活動に取り組んでくれています。ただ、大学の中だけでの活動では効果がすぐに現れなかったり、効果はあっても目には見えなかったりすることも多く、「活動しても結局何も変わらない」とネガティブになってしまうときもあります。こうして大学の外で行われるイベントに参加することは、日頃の活動が何につながっていっているかを可視化できたり、さまざまな人の活動に触れることで自分たちの活動の意義を再確認することもできます。学外に出たことで、私たちの取り組みに肯定的ではない意見にも出合いましたが、私たちを取り巻く現実と直面する意味でも、GSセンターにとってTRPは年1回のとてもいい機会になっています。

パレードを歩くと沿道の通行人やお店の人が祝福してくれているムードがあり、とてもテンションが上がるという

――今年は初の試みとして、パレードを一緒に歩く仲間をホームページで事前に公募したと伺いましたが、どういう意図があったのでしょうか。

実は昨年くらいからSNSや来室者からの要望で、「学生スタッフをやりたい」、「イベントのボランティアをやりたい」という声が多く寄せられるようになっていて、何らかの形でGSセンターの活動にコミットしたいという要望の高まりを感じていました。それは初年度には年間で延べ約1,000人だった利用者の数が、2年目には延べ約1,400人に増えたことや、学生スタッフ応募者数も、初年度の3倍以上に増えたことなどからも感じており、何かしらGSセンターの活動に関心を持った人たちをつなげてできるイベントがないかな、と考えていたタイミングでした。

今回パレード参加を呼び掛けたのは、一人ではこうしたイベントに参加するのが怖いという人も、早稲田大学の一員として一緒に歩くということを通して、一人ではないということに気付いてもらい、連帯を体感できる良い試みだと思って募集に踏み切りました。募集を開始してわずか数日で募集枠を超えてしまったため、当初予定していた締め切りより早く応募フォームを閉じることとなってしまいましたが、早稲田大学関係者として約45人の参加者と一緒にパレードを歩くことができました。

約2.5kmを一緒に歩いたことで連帯感が生まれたそう

――GSセンターの活動にコミットしたいという要望は今後も続きそうですが、普段の活動やイベントにはそうした余地はあるのでしょうか?

そのとき何かやりたいという気持ちは、生まれたときにつなげていかないとすぐに萎(しぼ)んでいってしまうので、その思いをどうサポートしていけるかが大事だと思っています。ただ、私たちの広報力が弱いことでイベントの情報が届かなかったり、届いても学生だと授業と重なっていて行けないこともあると思います。そうしたときは、その何かやりたい気持ちを持って、ぜひGSセンターに来てほしいです。学内外のイベントの紹介や、その気持ちに合った本を紹介できれば、気持ちを切らさずにつないでいくことができるかもしれません。また、最近「GSセンターメンバーシップ」という取り組みを始めました。登録することで、不定期ではありますがイベント情報やボランティア募集情報をメールマガジンで配信していますので、ぜひ利用してほしいと思います。

GSセンター内のイベントは、専門職員が見守る中、実は全て学生スタッフが企画・運営をしています(※)。そのときホットな話題や自分たちの問題意識からテーマ設定しているため、多くの来室者にとっても関心があるのではと思っています。また職員よりもフラットな関係の中で、深いところまで話ができる、そうした環境を提供できることもGSセンターがある大きな意義であると考えています。

(※)センター内のイベントには「ここだけの話にする」「見た目で判断しない」などのグラウンドルールが適用される。

TRP2019 学生スタッフによる振り返り

ろーた

私は今回のTRPで3回目の参加になり、GSセンターのスタッフとして毎年パレードにも参加しています。GSセンターに勤務してすぐのころ、正直なところLGBTsはもちろん、TRPについてもあまり知識がなかったため、不安でいっぱいでした。しかし、いざTRPに参加してみるとその不安は消え去ります。ふと気付けばパレードに参加して、”Happy Pride!” の掛け声と共に、笑顔でみんなとハイタッチしている自分がいました。

パレードへの参加を通じて、大切なことは知識だけではなく、相手を思いやる気持ちと、自分を認める勇気なのだと気付けました。TRPにはたくさんの笑顔と虹色があふれています。早く来年にならないかなぁ。そんなことを思わせてくれるイベントです。

ちゃんまな

私は昨年の夏にイギリスのブライトンでプライドパレードに参加したのですが、TRPは今回が初めてでした。ブライトンと比較すると、まず、TRPの規模の大きさに驚きました。また、ブライトンパレードはヨーロッパで一番盛り上がると言われているようですが、大企業のブースは少ない印象でした。もちろんパレードには名だたる大企業が協賛を行っているのですが、TRPのような企業ブースは少なく、日本はビジネス色が強くて個人間の関わりが見えにくかったように思いました。

早稲田のブースにいるときに、たまたま通りかかった人がのぞきに来て話を聞きに来てくれるということが何度かあったのですが、それは渋谷という土地柄あってのことだと思うのでとてもいいなと感じました。また来年も参加したいです。

 

【次回特集予告】6月17日(月)公開「鴨川セミナーハウス特集」

 

【活動報告19-01】Tokyo Rainbow Pride 2019に参加しました

 

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