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総長挨拶 学生と共に目指す「世界で輝くWASEDA」【2019年度入学記念号】

早稲田大学総長 田中 愛治(たなか・あいじ)

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

皆さんは昨年12月に完成した多目的施設「早稲田アリーナ」で入学式を行う初めての学年になります。早稲田アリーナはかつてさまざまな式典が行われた体育館「記念会堂」に変わる施設だけでなく、学生の主体的なグループ学習ができるラーニングコモンズを併設し、日本全体のスポーツの発展に寄与してきた早稲田スポーツの輝かしい歴史を学べる「早稲田スポーツミュージアム」もあります。このような自らのキャンパス内にある会場で、複数の学部・大学院の学生が一堂に会して早大生としての一体感を高める入学式を行うことは、早稲田大学の伝統の一つであります。

早稲田アリーナ(左)とその前身である記念会堂で行われた入学式の様子

その早稲田大学で学ぶことの意味を皆さん、よく考えてください。今日の世界ではどのような問題であっても明確な答えは存在しません。日本は少子高齢化社会に直面していて、経済も不安定であり、国際情勢に目を向けてもいつどこで紛争が起こるか分からない状態です。こうした問題には「正解」がないのです。皆さんが高校まで勉強してきたことの多くは、答えのある問題でした。特に受験勉強では早く正確を得ることが大事だと教えられてきたと思います。ところが社会に出れば、そのような答えのある問題に遭遇することはなかなかありません。何が問題か分からない場合もあれば、問題が分かったとしても答えが決まっていない。誰も答えを知らないという状況に遭遇します。

答えのない問題にも解決策を示せる「たくましい知性」

早稲田大学では、そのような答えのない問題に対する解決策を自分の仮説として提案できる力を身に付けてください。知識と論理的推論だけを頼りに数分で問題を解くことを目的とする受験勉強とは違い、自分なりの仮説を提案するまでには数週間、数カ月、数年といった長い時間がかかるかもしれません。5000年の人類の経験のエッセンスを体系的にまとめたと言える学問から学びながら、自分なりの解決策を仮説として立て、考察して検証し、また課題を見つけて考える。このことを私は「たくましい知性」と呼んでいます。その「たくましい知性」を育むところが、早稲田大学なのです。

早稲田キャンパスにある大隈重信像

1882年、大隈重信によって設立された早稲田大学は「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就」という建学の理念を掲げ、135年以上にわたって「たくましい知性」を育成してきました。それをより一層進めていくために、早稲田ではグローバルエデュケーションセンターを中心に、あらゆる学部の学生が学ぶことができる全学共通の科目を提供しています。「日本語の学術的文章の作成」「英語での発信力」「数学的な論理的思考力」「データサイエンスを駆使できる統計学的な理解」「情報科学を活用する能力」という五つの基盤教育を充実させ、体系的な教育を行っています。皆さんはこうした教育を活用して、「たくましい知性」を育んでください。

多様な価値観に敬意を持って接する「しなやかな感性」

「たくましい知性」に加えて早稲田大学で身に付けてほしいことは、国籍、エスニシティ、信条、年齢、性別、障がい、性的指向・性自認などに関わらず、多様な価値観に敬意を持って接し、理解し尊重する「しなやかな感性」です。創立以来、早稲田は多様性を大切にし、誇りにしてきました。1905年には清国留学生部を創設しており、現在の早稲田には約7,500名の外国人学生が留学し、毎年4,000名を超える日本人学生が海外の大学で学んでいます。2017年4月には国内初となるセクシュアルマイノリティ学生の支援施設「GS(ジェンダー・セクシュアリティ)センター」を発足させ、同年に「早稲田大学ダイバーシティ推進宣言」も発表しました。

国際色豊かで、多様な価値観にあふれている早稲田大学のキャンパス

早稲田では多くの国・地域から来た人々の、さまざまな価値観に出合う機会に恵まれています。可能であれば一度は海外に留学して、外から日本を見つめてください。卒業後、日本国内で働くにしても海外に出て行っても、情報化社会にあってはグローバルな視点が必ず求められます。創立以来、多様性を積極的に推進してきた早稲田大学で「しなやかな感性」を磨くことは、グローバル社会においても自分自身の人間的力量を高めることにつながっていくでしょう。

「たくましい知性」と「しなやかな感性」は、世界で生き抜き、人類社会に貢献するために必要な二つの柱だと思っています。

学生による自由闊達なイニシアチブ

もう一つ、早稲田大学の重要な伝統があります。それは何かを成し遂げたいと思っている学生には、何でもできる環境が整っている、ということです。勉強でもスポーツでも、サークル活動でも、やりたいことを早稲田で探せばどこかにあるはずです。自分自身で新しい活動を作ることもできますし、大学はそれを奨励しています。自由闊達(かったつ)な学生たちのイニシアチブを大切にしてきた伝統があるからです。

WAVOC(平山郁夫記念ボランティアセンター)には、年間9,000名以上の学生が登録し、災害復興支援活動や町おこし活動、障がい者支援活動などに取り組んでいます。日本最大規模の学園祭「早稲田祭」は約600名の学生からなるサークル「早稲田祭運営スタッフ」が、企画・立案・広報・渉外などの全てを自主運営し、二日間で約18万人が訪れるイベントを開催しています。

毎年11月に行われる早稲田祭(左)とWAVOCの学生による災害復興支援活動の様子

また、先に述べたGSセンターは、学生が自由な発想で大学改革案を提言する「Waseda Vision 150 Student Competition」がきっかけとなり、学生の強い思いによって生まれた組織です。さらに企業が実際に抱える課題について、学生たちがチームを組んで課題解決に取り組む「プロフェッショナルズ・ワークショップ」というプロジェクトもあります。

早稲田の学生はボランティアや社会貢献への意識が高く、独自の文化として根付いています。何らかの形で早く社会に貢献したいと思う学生がいて、その思いが実現できるような仕組みが早稲田大学にはあります。大学から決められたことに取り組むだけでなく、自分がやりたいと思うことは、どんなことにでも打ち込めばいいのです。学生が主体的にさまざまな活動をするというバイタリティーは早稲田ならではのものですので、在学中にぜひ、肌で感じてください。

世界のトップクラスの大学になる覚悟

昨年11月に早稲田大学総長に就任して以来、私が強調していることは「世界で輝くWASEDA」を目指すということです。世界のトップクラスの大学になるという覚悟を決め、私たち教職員をはじめ、学生や学生の保証人、校友をも含めた関係者全員がその思いを共有することです。

そのために、早稲田大学は学術的に意義がある、世界に誇れる研究を行わなければなりません。卓越した研究を行って海外の教員から「早稲田で共同研究がしたい」と思われる大学にするのです。優れた教員が早稲田で研究すれば、学生は世界トップクラスの研究者の授業を受けられるようになります。文系・理系を問わず、あらゆる分野で国際的に高いレベルを目指していきます。早稲田大学が世界のトップを目指す決意を固める時期に入学してきた皆さんは、きっと後悔のない学生生活を送り、満足いく経験を得られるだろうと思っています。「世界で輝くWASEDA」に導くには、学生の皆さんの覚悟も必要で、関係する全員の継続的な取り組みと努力が求められます。より良い大学にするための方向性は、私が示していきますので、ぜひご協力いただきたいと思っています。

早稲田大学は、型にはまったルートを求めるような大学ではなく、自分でやりたいことを探し出す大学です。早稲田にいる間に高く飛躍するための準備をして、面白いと思うこと、やりがいを感じることに思い切って挑戦してください。それは勉強や学問研究かもしれないし、将棋かもしれないし、音楽や演劇かもしれないし、スポーツかもしれません。とにかく、思い切ってやってみる。それによって得られたものを糧に、卒業後に羽ばたいてください。それが早稲田らしいと言える生き方であり、早稲田はその準備に最も適した大学だと思っています。

総長撮影:飯島裕

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