【開催レポート】ユニバーサルシアターでの映画鑑賞
学生スタッフリーダー 今泉 栞花
WAVOCでは、2025年3月5日(水)に、CINEMA Chupki TABATAにて、イベント「ユニバーサルシアターでの映画鑑賞」を行いました。本レポートでは、活動の様子や感想をお伝えします。
2023年に続き今回で2回目となる本イベント。CINEMA Chupki TABATA代表の平塚千穂子さんにご協力いただき、開催しました。もともと平塚さんは、目の見えない人たちと共に映画鑑賞を楽しむために、言葉による映像の解説(音声ガイド)をいち早く手がけ、視覚障がい者の映画鑑賞をサポートしてきた「バリアフリー映画鑑賞推進団体 City Lights」という団体を設立し、活動されていました。そして、ハンデに関わらず、誰でも映画を楽しめる場所をつくりたいという思いから設立されたのが、このユニバーサルシアター「CINEMA Chupki TABATA」です。
CINEMA Chupki TABATAには、字幕や音声ガイドが備えられているだけでなく、防音の個室もあり、音量や照明の明るさを自身で変えることができます。小さな子ども連れの方や、大きい音が苦手な方、暗い空間が苦手な方でも、周りを気にすることなく映画を楽しむことができます。
まずは、平塚さんからユニバーサルシアターの紹介がありました。当日は聴覚障がいをもった方が参加していたので、手話通訳の方を交えてのお話でした。平塚さんのお話を聞きながら、手話通訳の方が手だけでなく、表情や目線まで変えながら通訳する姿に感動しました。
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その後、『こころの通訳者たち』を鑑賞しました。これは、舞台手話通訳者のドキュメンタリー映画を、視覚障がいをもった方に楽しんでもらおうと奮闘する人々を記録した作品です。
コミュニケーションの手段はさまざまであっても、コンテンツを楽しむことに障がいがあってはならないという当たり前のことに改めて気付かされた作品でした。
聴覚障がいの方に向けた字幕や、視覚障がいの方に向けた音声ガイドを通して映画を見ると、これまでとは違う発見がありました。晴れた日の街の映像に対して、音声ガイドは「まばゆい太陽の光が明るく街を照らします。」と説明します。私は、音声ガイドはもっと淡白なものだと思い込んでおり、ここまで温度が伝わる説明をすることは意外でした。考えてみれば、視覚障がいの方にとって、ガイドは映像に付随するものではなく、それこそが一つの情報源です。どの情報を取り上げ、どの情報を省くのかは音声ガイド作成者に委ねられており、視覚障がいの方に寄り添った視点をもっていないとできないことだと感じました。
映画鑑賞のあとには感想や質問を共有する時間を設けました。バリアフリーの視点、舞台や映像制作の視点、障がいをもつ当事者ならではの視点など、さまざまな角度から質問があり、私にとっても刺激になりました。
今回のイベントを通して、バリアフリーに対する意識がまたひとつ変わりました。バリアフリーは全員が当事者であり、自分事として捉えなければいけない課題です。平塚さんの目指す「ハンデに関わらず全員が映画を楽しめる社会」の実現に向けて、今回がひとつのきっかけになればと思います。
改めて、平塚さん、当日参加いただいた皆さん、本当にありがとうございました。今後WAVOCでは、バリアフリーに関するイベントも開催していきたいと思いますので、このレポートをきっかけに関心を持った方は、ぜひWAVOCウェブサイトをご覧ください。みなさんの参加をお待ちしております!