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【学生の声】富良野スタディツアーに参加して

【学生の声】富良野スタディツアーに参加して

アジア太平洋研究科 修士2年  バシューツカヤ エレーナ

2024年9月2日(月)~5日(木)に実施された富良野スタディツアーに参加しました。富良野での生活は自然の雄大さと厳しさを実体験する場となりました。地球環境の歴史を学ぶ散歩から始まり、森の中でのキャンプ、焚火を使った自炊、農業体験、登山や植樹など東京では味わえない自然との触れ合いに身を投じる4日間となりました。このレポートでは、富良野での体験を自然との関わり、演劇を通したコミュニケーション手法、自然環境の大切さの3つの観点から印象に残ったことを記していきたいと思います。

既に述べたように、富良野での生活は自然と密接に結びついたものでした。富良野にたどり着いた初日は、林の中に広がる富良野自然塾で、地球とは何か、これまでどのような歴史をたどってきたのか、野生の植物が広がる道を散歩しながらインストラクターの方から説明を聞きつつ、思考を巡らせました。実際に多様な植物が咲き誇り、共生している中に身を置くことで、地球の歴史がいかに自然環境を作り出すのに大きな役割を担っているのか、地球全体における人類の歴史がちっぽけなものであるのかについて改めて考えさせられました。

特に印象に残っているのが、初日と2日目のキャンプです。初日は自然塾のある林の中で、2日目は山奥にある小屋で実施されました。
明かりもWi-Fiもない空間で自然日光やライトに頼りながらテントを設立し、薪を起して食事を作り、制限された水量を節約しながら使いつつ夜を過ごしました。シャワーも電気もない暮らしなんて、と少しがっかりする気持ちはすぐに覆されました。現地の温泉の温かさ、自炊料理の工夫の過程の楽しさと出来立てのおいしさ、満点の星空の下での団らんは普段の便利な暮らしでは得ることのできない充実した時間を作り出したからです。自然で過ごす時間の中で、都会暮らしで失っている暮らし方の多様性に気が付かされました。


2日目の午前中は富良野演劇工場で、元富良野自然塾の参加者で現在は役者兼演劇講師を務めている方のもとで、演劇ワークショップに取り組みました。
体での表現方法を変えながら様々なワークに取り組むことで、言葉での表現以上に振舞い方やジェスチャーが持つ付帯的役割の大きさを認識させられました。同じ言葉でもどのようなシチュエーションや表情、体の動作で発するかによって相手が受け取る印象がかなり変化することに驚かされました。特に記憶に残っているのが、人の社会的及び個人的ステータスと振舞い方との関わり方です。同じ立場の人でもどのような動作の振舞いを選択するかによって、その人の周りから見える立場が異なるという話は、普段は気が付かない盲点であるとともに、日常生活でも応用が出来るものだと感じました。
また、社会的な振舞い方と個人的な振舞い方の掛け合わせで人の印象が決まるという話もおもしろかったです。講師の方の陽気で冗談の多い明るい人柄も手伝い、ワークショップが終わるころには物足りなさを感じるくらいあっという間に時間が過ぎていきました。

自然と人間との共生を実感したのは、2日目の午後に行われた農業体験と、最終日の植樹です。
どちらも人間と自然との相互関係によって成り立つ活動であると感じました。農業体験では、ビニールハウスでのトマト栽培を見学した後に、カボチャの収穫後の跡片付けを手伝いました。伸びきったつるをちぎって片づけ、新たな植苗のために畑を開放する作業では、農業の裏方を見れたような気がしました。植えてから収穫だけが農業の仕事ではなく、植えるための土づくり、土地や天候に合った品種の選択など、農家の役割は植える前から始まっていることを学びました。
農作業の前後には、一から農業従事者となった方から農家になるまでの選択と苦労の過程を伺うことができました。情熱的で饒舌な人柄の農家の方からの話は、農業だけでなく人生の選択肢へと広がり、朗らかだが真剣な話し合いの場でそれぞれが考え込む姿を見ることができました。

3日目の登山では自然と人間との関わりを火山と自然災害の側面から学ぶことができました。
自然公園として認定されている火山を上りながら、火山に関わる堆積物の知識、大雨や火山噴火による生態系の変化と人に与える影響、火山災害防止のための取り組みについての話を聞くことができました。ジオパーク職員の方の地学の知識と、富良野自然塾インストラクターの方の動植物の生態学の知識が飛び交い、山の自然を異なる側面から眺めることができました。標高の高い山であったことから上るのには少し体力が必要だったのですが、頂上に近づくにつれ、雄大な景色と澄んだ空気を感じるにつれ、疲れが解放感へと変わっていきました。

最終日の植樹では、旧ゴルフ場として使用されていた土地に木を植えつつ、木の生育過程と森の自然界における役割を学ぶことができました。植えたばかりの枝木から樹齢80年以上の樹木まで様々な木を見つつ、森が育つまでの途方もない時間の長さを心から体感することができました。自然植物や動物に関する解説も今までに知らない知識ばかりですごく面白かったです。

都会では気軽に体験することができない自然との共生生活の中で、自然に関する知識や見方が変わったのはもちろん、生き方の多様性に気が付かされる4日間でした。

「富良野スタディツアー」
テレビドラマ『北の国から』(フジテレビ系列)などで著名な作家・倉本聰氏が主宰する「富良野自然塾」と、WAVOCが共同で主催する3泊4日のプログラムです。
富良野の大自然を五感で感じながら環境について学ぶ「環境教育プログラム」、富良野の地に根付く演劇的手法を用いて現地の風土を感じる「表現ワークショップ」、そして電気やガスのない中でエネルギーに頼らない原始的な生活を送る「生活体験プログラム」など、富良野の地ならではのさまざまな体験をします。
また、富良野で活躍する卒業生から、農業やまちづくり、地域交流事業について学びます。

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