The Hirayama Ikuo Volunteer Center (WAVOC) 早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)

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フグプロ活動備忘録!“おいしい”から見えた世界 ~第二弾「oriental table AMA 早稲田」編~

フグプロ活動備忘録!
“おいしい”から見えた世界~第二弾「oriental table AMA 早稲田」編~

メンバー:R.M / J.S / T.K / H.S / M.O / H.U / S.A / Y.T

私たちはWAVOCに所属するボランティアプロジェクト、Food Glocal Project(通称フグプロ) です。“食から始めるグローカル社会共創~「おいしい!」からつながる世界とわたし~”をスローガンに2021年秋からスタートしました。誰にとっても身近な存在である「食」を通して、グローバルな問題をローカルな視点から解決することを目標に活動しています。

ローカルな視点を探るため、まずは都内にある在日外国人の方が働く飲食店にインタビューを行いました。4回に渡り、対談で得た現場の声をレポート形式でお届けします。今回は第二弾です。ぜひ、読んでみてください!

■訪ねたお店

「oriental table AMA 早稲田」は多くの早稲田生が利用する東京メトロ東西線の早稲田駅の目の前にある。明るいオレンジの店構えとスパイシーな香りは、ご飯時の学生たちをひきつけてやまない。きっと早稲田生にもこのお店をひいきにしている人は多いだろう。ご主人の出身はネパールだがインドやタイ料理も提供しており、本場の味は好評で早稲田だけでなく恵比寿、代々木にも店舗を構える。

訪問先:東京都新宿区馬場下町61 吉村ビル2F

■インタビューを受けてくださった方

グルンさん(左)とスクさん(右)

Profile
スクさん
出身地:ネパール 来日:15年目

来日の理由:日本が好きだから。日本では泥棒や食い逃げに遭遇することがない。また日本で働いた方が少し多く(ネパールと物価的に比較した)収入を得ることができる。

現在: 5年前に息子が日本で生まれ、妻と3人暮らし

 ■インタビュー

[料理の工夫]
─日本で料理を提供するうえで気を付けていることはありますか?
─はい。比較的日本人の口にも合いやすいようにマイルドな味付けにするなどの工夫をしています。

やはり日本人がどのように味を感じるかについては気を配っているようだ。そのため、お店で提供されている料理は、ネパールでの味とは多かれ少なかれ異なる味のものとなっている。

 やはり日本人がどのように味を感じるかについては気を配っているようだ。そのため、お店で提供されている料理は、ネパールでの味とは多かれ少なかれ異なる味のものとなっている。

           

[日本の印象]
―どうして数ある国の中で日本を選択されたのでしょうか。
―そうですね。ちょっと難しいですね。日本が好きだからですかね。

日本は安心して暮らせる国と認識されていることが分かった。スクさんによると、日本では泥棒や喧嘩、食い逃げに遭遇する機会がないからだそうだ。そのため、日本で暮らしてみたいと思うネパール人は多いようだ。しかし、ビザを取得することが難しいという問題があるため、実現は容易ではない。この他にも、日本で働くことにメリットがあることが分かった。ネパールの首都カトマンズであっても、仕事はそれほど豊富ではなく、日本で働いた方が少し多く収入を得ることができると教えていただいた。

[ビザ]
―スクさんは、日本に今後変わってほしいと思うところはありますか?
―ないよ。あ!強いて言うならビザの更新が大変なことかな。日本にずっといられるわけではなくて、5年ごとに必ずビザを更新しなければならなくて…とっても面倒だよ。

スクさんは日本に住んでもう15年となるが、永住権・日本国籍は取得できていないそうだ。また、日本に来た外国人は、就労ビザの場合初めは一年更新、その後まず三年更新のものとなり、最終的に五年更新の就労ビザが獲得できる、とのことだった。

―大変ですね。
―そうだよ。しかもこれは私だけじゃなくて妻と子どもも同じなんだ。

スクさんにはネパール国籍の妻と、二人の間に日本で生まれ育っている五歳の息子さんがいらっしゃるそうだ。妻は、配偶者ビザがもらえるため、ビザの取得自体はスクさんほど大変ではなかったとのことだ。しかし、配偶者ビザも更新が一定期間毎に必要となっている。また五歳の息子さんも、日本で生まれ育っているにもかかわらず、両親が外国人であるために、与えられるのは日本国籍ではなく、両親と同様ビザの更新が必要となっている。

―もっと簡単にビザが取れて、更新もできて、ずっと日本にいることができるようになればいいと思うよ。

日本に関してとても良い印象を持ってくれているスクさんが、唯一漏らしていた不満足。日本は本格的な移民政策が整備されていないが、日本で一生懸命働き生活している彼らに対する対応がもっと柔軟であればいいのに、と思わずにはいられなかった。

[コミュニティ]
―ネパールの方のコミュニティはあるのでしょうか?
―あるね。でも俺は参加してない。

ネパールの方が集まって相談しあうコミュニティがあって、そこに行けば友達が多くできるようだがスクさんは参加していないとのこと。コミュニティに入ったからと言って何か特別な役割はなく気軽に参加できるようだ。

―他のネパールの方との関わりはありますか?
―あるね。新大久保のネパール料理の店で飲むよ。

ネパール人のコミュニティに入っていなくても個人的なつながりでよく集まっているそうだ。コロナのせいで最近減っていた飲み会が少しずつ増えている、と嬉しそうに語ってくださった。みんながネパール語を話すようで日本人が入ったら置いていかれるとのことだった。また、スクさんが日本に来た直後には地域の地理を良く知った人と行動する必要があったため、自然とその人とも友達になれたそうだ。

■感想・考察

メンバー①
スクさんのお話からは、いかに日本社会という環境が住みやすく、また恵まれたものであるかを再確認できた。また、スクさんのような海外出身の方の持つ背景の一部を知ることもできた。一方、彼が語ることのなかった日本(人・社会)に対する不満は、より親密になれてから初めて知れるものであるため、今後も関係を継続させていければと思う。そして、スクさんの語ってくれた、ビザや国籍といった制度面での不満点は、今後の取り組みに必ず反映させていこうと決意した。

メンバー②
インタビューをさせて頂いたときは、終始和やかな雰囲気だった。日本に対してすごく好印象を抱いていらっしゃったこともとても嬉しかった。しかし、お話の中で、在留外国人として来日してビザを高頻度で更新しながら、来日当初は家族とも離れ離れで働き続けていた過去があったことを知った。この経験には、私たちの想像以上につらい側面があったのではないだろうか。また、現在は現職から転職することもままならないことも伺った。このようなつらさ、不自由さを伴う現代の日本社会の構造の一端に触れる機会となったように思う。

メンバー③
インタビューを通して特に印象的だったのは、ネパール人どうしのつながりが強いことだ。日本に関する情報は、インターネットよりも、友人や親戚など身近な来日経験者の生の声を頼りにしている場合が多いことを知った。異国の地での生活を充実させ、目標を達成するためには、信頼できる仲間や似た境遇の人とのつながりが重要であることを教えていただいた。その一方でビザや言語が、日本で働きたいと思う人の妨げになっているという問題もあるようだ。今後の活動を通して、この問題についてさらに深めていきたい。

メンバー④
私自身、インタビューは初めてだったがご主人が丁寧な応対をしてくださり楽しくインタビューすることが出来た。今回は初対面だったこともあり外国人の方の「情報」を伺うことに終始した気がする。今後もご主人やAMAさんと関係を築いていくので一層深いお話を伺うことができたらと思う。具体的には日本にいらした当時の心境や日本という全く異なる文化をもつ国に入ることに対しての不安に関心がある。なぜなら今後日本と外国の方との交流が国だけでなく人同士で密接になっていくためだ。そこで日本に来ることに障壁を感じさせないほど壁を無くしたいと思っている。日本において顕著な内と外との区別をなくした共生の姿を今後考えていきたい。

このインタビューに関してさらに詳しく知りたい方は、HPをご覧ください。
〈フグプロホームページ https://www.foodglocalproject.com/

 

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