ワボプロ成果発表会レポート
2017年12月14日にワボプロ4団体による成果発表会が26号館地下多目的講義室で行われた。
当日はあくとact~他者の支えになる演劇プロジェクト~の発表から始まった。
今回の全4団体の成果報告は、あくと担当教員の石野由香里助教の専門であり、あくとの活動の中心である「演劇的手法」を用いて発表が行われた。
活動中、他者との関わり合いの中でひっかかりを感じたシーンを切り取り、それを実際に演じる。
シーンを切り取り、細部まで思い出す、そしてそれを身体で再現する。このプロセスは活動で感じたことを振り返ること、改めて自分や他者の気持ちや社会について考えること、その場にいなかった人と体験を共有することを可能にする。

あくと担当教員 石野由香里助教
実際の発表では各団体、以下のようなシーンを切り取った。
- あくと
劇場で白杖をついた視覚障碍者の人と、その後ろを歩く人々のシーン。開演5分前、気づいているが声をかけられない人と、気づかずに進みの遅さに文句を言う人々がいる状況。

「あくと」 視覚障碍者とその後ろを歩く人々を演じた学生に気付いたことを話してもらう
- パラリンピックリーダープロジェクト
車椅子利用者のアスリートとメンバーが、活動時間外に公衆浴場で会話したシーン。公共の場での生活への手助けの仕方に戸惑う学生に対し、アスリートはその葛藤を「大丈夫」という一言で返した。
- 海士ブータンプロジェクト
海士町で漁業体験中、10日以上同じ単純作業を行った最終日に漁師が学生に「大変か」と尋ねたシーン。「私じゃなくてもできますよね」と答えると「やっぱり機械化は必要か」と返された。
- 狩り部
現地の猟師に教わり、罠を実際に仕掛けるシーン。実践してみたものを猟師に「いや、ここはこうした方がいいと」一から訂正され、生活地域や年齢の違いによる知識や常識の差にもどかしくなる。

「狩り部」 現地の猟師から罠の仕掛け方を指導されるシーンを演じる
これらの発表を来場者の方に観てもらい、シーンについての議論に参加してもった。一方的な発表ではなく、双方のやり取りの場を設けることで、ワボプロというスタートしたばかりの活動への理解、また活動それ自体をより深いものにしていくきっかけとなることを目指した。
実際に、身体を使った発表会を行ったことで、議論の場では来場者からより近い距離から多くの疑問や感想が寄せられ、来場者にシーンを演じてもらう場面もあった。
活動メンバー間だけでの共有では気づきもしなかったことや、思いもよらない疑問が投げかけられた。中には、そのシーンのどこに問題があったのかという質問もあり、引っ掛かりやもやもやの根本を改めて見つめ直すきっかけをもらうことができた。
ボランティア活動をしていると、普段の生活の場以上に相手の言葉や表情、仕草に無意識に敏感になる。そしてそれらを見逃してしまっては本当に必要とされていることに気が付くことはできないだろう。
相手との間に存在する、「見えない」「わからない」「~だろう」という不確かなものを少しでも無くし、距離を縮めながら活動をもっと深めていく。活動メンバーにとってその大きな一歩を踏み出すことのできる成果報告会となった。