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【開催報告】第22回JINSHA情報共有会 「こんな研究費があったら!」ワークショップ ~エフェクチュエーションで考える人社系研究資金の可能性~(2025年11月19日開催)

2025年11月19日、早稲田大学121号館 コマツ100周年記念ホールにて、第22回JINSHA情報共有会「こんな研究費があったら!」ワークショップ ― エフェクチュエーションで考える人社系研究資金の可能性 ― を開催しました。(主催:早稲田大学 研究戦略センター(リサーチ・イノベーション・センター 研究戦略セクション))。
本会は、参加者の手持ちの手段から出発し、総合知のようなトップダウン概念や目標は持たず、自由な思考を展開することに重点を置いたワークショップ中心型で開催しました。参加者は事前準備の必要なく気軽に参加でき、SDGsの達成やAI社会、超高齢化社会への対応など複雑な社会課題を前にして要件・評価・伴走を具体化し、翌日から提案に生かせる下地を整えるワークショップに取り組みました。研究グラントに挑む側と設計する側の距離を少し近づけることにも挑戦しました。
グループワークでは、起業家の意思決定法として知られる「エフェクチュエーション」の考え方を取り入れ、既存の枠にとらわれない研究費のあり方を話し合いました。「こんな研究費があれば面白い」「手元の資源で何ができるか」を出発点に、研究者や支援者の“野望”を実現に近づける、実行可能な新しい研究グラントの形を検討しました。
人文・社会科学系の研究費の少なさという共通の悩みを出発点に、全国から集まったURA・研究者・研究支援スタッフらが、自分たちの「今ある資源」からどのような研究ファンドを生み出せるかを熱く議論し、会場は終始、前向きなエネルギーに包まれました。

*エフェクチュエーションは、手持ちの資源を生かして、未来を創る思考法で、経営・起業分野で注目されています。

セミナー概要

■イベントの狙い

人文・社会科学系の研究を支える代表的な公的研究費は科研費ですが、理工系に比べて、人社系に特化した継続的な資金獲得の機会は依然として限られています。JST RISTEXなど一部のプログラムに挑戦できるものの、採択倍率は高く、安定的な研究基盤を築くには十分とは言えません。
一方で、人文・社会科学の知は、超高齢社会や地域課題、AI社会、教育格差など、答えの見えにくい複雑な社会課題に向き合ううえでますます求められています。そこで本ワークショップでは、「既存の制度を嘆く」のではなく、「自分たちの手持ちの資源から、どんな研究費ならつくれるか?」をテーマに、未来を“予測する”のではなく“創りだす”思考法として知られる「エフェクチュエーション」を手がかりに議論しました。

*JINSHA情報共有会は、人文・社会科学系研究推進フォーラムの関連企画として2017年度から始まり、人社系研究に関わる研究者やURA等が、機関の枠をこえて議論し合う場として継続してきました。

■第22回JINSHA情報共有会の様子

当日は、以下のプログラムで実施しました。

<開会挨拶>
赤尾健一(早稲田大学 社会科学総合学術院 教授、研究推進部特命部長)

<基調講演>
ユウ ヘイキョウ(早稲田大学人間科学学術院 教授/神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科 教授(兼任))

・過去の人社系分野の研究資金の獲得 + その工夫
・米国と日本の研究資金に関する考え方の違い
・人社系の新たな資金の仕組みとテーマの例

<ワークショップ>
島岡未来子(早稲田大学 研究戦略センター 教授)

・ Step1:手持ち資源を見える化(手中の鳥)
・ Step2:協働と偶発の発想(クレイジーキルト+レモネード)
・ Step3:行動に移せそうな範囲を考える(許容可能な損失)
・ Step4:構想をまとめる(飛行機のパイロット)
・ Step5:共有&リフレクション

ワークショップでは、参加者が自らの経験・ネットワーク・所属機関の制度や地域資源などを素材に、「こんな研究費があったら!」というアイデアを次々に形にしていきました。

<解題・講演>
中村龍太(複業家/コラボワークス代表/サイボウズ執行役員/日本エフェクチュエーション協会 理事)

・ワークショップの解題(エフェクチュエーション)
・ビジネス界の最新のトレンド
・まとめ

<グループディスカッション>
島岡未来子(早稲田大学 研究戦略センター 教授)

グループディスカッションでは、理解が深まったエフェクチュエーションの5つの原則をヒントに、会場のあちこちで「うちの大学の〇〇という事例が組み合わせられそうだ」「自治体の魅力はアーティストと組んで仕掛けた方が面白い」など、参加者同士の対話が途切れることなく続きました。

<開会挨拶>
松永康(早稲田大学 研究戦略センター 副所長/教授)

■今後に向けて

今回の第22回JINSHA情報共有会では、「研究費」という大学経営の中核に関わるテーマを、人社系の視点から、しかもエフェクチュエーションという実践的な思考法を通して問い直すことができました。今後は当日の議論をもとに、グラントモデルの具体案を整理し、資金配分機関や企業等との対話の場づくりなどへと展開していく予定です。

■実施概要

日時:2025年11月19日(水)13:00-17:30
会場:早稲田大学121号館 地下1階 コマツ100周年記念ホール
形式:対面
対象:URA、研究者、大学・研究機関等の職員、府省・自治体職員等
主催:早稲田大学 研究戦略センター(リサーチ・イノベーション・センター 研究戦略セクション)
後援:人社系URAネットワーク(JINSHA)
司会:森本行人(早稲田大学 研究戦略センター)
実行委員:島岡未来子(早稲田大学 研究戦略センター)、井上素子(同)、森本行人(同)

■運営・問い合わせ先

早稲田大学 研究戦略センター(リサーチ・イノベーション・センター 研究戦略セクション)
担当:森本・井上・島岡
Email: [email protected]

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