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ウーラ・レポート(第4回):遺伝子のすがた カラダの中でおこる不思議

★★★WURAタイトル_影なし新人研究リサーチアドミニストレーターのウーラ(WURA;Waseda University Research Administ-rator)が、早稲田大学の研究者が出展・講演しているイベントに参加して、みなさんに研究内容をご紹介していきます。

 

ウーラさ有り

こんにちは、ウーラです!
今日は2013年度から電気・情報生命工学科 胡桃坂仁志教授が代表を務める文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究「動的クロマチン構造と機能」の一般公開シンポジウム「遺伝子のすがた-カラダの中でおこる不思議-」(2016年8月21日(日)13:00-17:00、於:早稲田大学国際会議場 井深大記念ホール)に来ました。一般向けのシンポジウムは今年が3回目、初の東京開催です。会場には高校生や学部生の姿も多く見られました。■1

 

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胡桃坂仁志 教授

「動的クロマチン構造と機能」は総勢37名の研究者が参画し、オールジャパンで取り組んでいる研究です。たった1つの細胞である受精卵から、どのような遺伝子の働きで目や髪、胃袋などに分化し、ヒトとして機能するようになるのかということを、原子・分子・細胞レベルで研究し、その全機構を解明することが目標です。研究課題としている「動的クロマチン構造」について少しご紹介します。クロマチン構造は、遺伝情報を継承する物質であるデオキシリボ核酸(DNA)を小さな細胞核内に効率良く染色体として折りたたむための生命の知恵と言えます。ヒストンというタンパク質にDNAが巻き付いたヌクレオソームという基本パーツが、さらに数珠つなぎに連なった形状をしていると考えられています。■2-3改遺伝情報を読み取るためには、この折りたたまれたクロマチン構造が必要に応じてゆるみ、変動する必要があります。この変動の機構を明らかにすることで、次の工程であるリボ核酸(RNA)への転写、その後のタンパク質合成の流れも分かり、最終的にはヒトのあらゆる生命活動のメカニズムを解明できるのではないかと考えています。ですから、この「動的」なクロマチン構造の制御について、様々な視点から観察し、機能を解明したいのです。

 

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受精卵からヒトになるという現象は知っていても、その経過で、どの部分の遺伝情報がどのように読み出されて働くか、まだまだ分かっていないんですね。この研究プロジェクトの中で、胡桃坂先生ご自身が進めていらっしゃる研究についても紹介してくださいました!

 

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胡桃坂仁志 教授

「遺伝子のすがたを原子レベルで見る」
染色体の端領域はテロメア、中央のくびれた領域はセントロメアと呼ばれています。セントロメアは細胞分裂の際に紡錘糸が引っ張る部位で、これが正しく機能しなければうまく細胞分裂できませんので、非常に重要な領域です。■4セントロメアのヌクレオソームは通常とは異なるタンパク質を中心に構成されていることが分かっていました(CENP-Aヌクレオソーム)。このCENP-Aヌクレオソームを1個だけ人工的に作製して観察したところ、巻き付いたDNAの両端が開いて「ぶらぶら」していることが分かりました。■5では何故「ぶらぶら」しているのか?これを知るために、さらにヌクレオソームが繋がった、より生体での状況に近い状態のものを作製したところ、CENP-Aヌクレオソームでは巻き付いたDNAの自由度が高いためか、通常のヌクレオソームを結合させた場合とは異なった特殊な形になり、選択的に他のタンパク質(紡錘糸を含む)が結合しやすい状態になっているのではないか、ということが分かってきました。
セントロメアはこれまで形成機構、維持機構などすべてが不明とされてきましたが、基盤構造がもうすぐ明らかにできるかもしれないと、わくわくしています。

 

ウーラ感動さ有り

最新の研究についても聞けちゃいました!ヌクレオソームを人工的に作製できるところが胡桃坂研究室の強みだそうです。ここに至るまでは数々の課題をクリアする必要があったようですが、楽しみながら、たまに脇道にそれながら、研究を進めていらっしゃるそうです。シンポジウムでは、この研究プロジェクトに参画している研究者のうち9名の先生方からの講演も行われました。どの先生も、DNAとは、染色体とは、という基本的な話題を導入に、各々の研究領域の最新情報を紹介してくださり、会場からもたくさんの質問が出ていました。初心者でも引き込まれる研究講演、次回開催の際は是非多くの方に聞いていただきたいです。

 

バックナンバー

☞第1回:スマート社会を拓くグリーン・コンピューティング
☞第2回:START技術シーズ選抜育成プロジェクト試作品展示会 Robotics×Future 2016
☞第3回:小中学生のための科学実験教室(第29回)ユニラブ

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