アメリカ研究ユニットは、日米研究機構として日米間に存在する諸課題の研究、比較研究、日米とが共同して解決すべきグローバルな課題の研究等を対象とし、2007年に学内外、国内外から幅広い分野の研究者を結集できる組織として設立された。設立以降、当機構では諸課題を客観的・中立的・総合的に分析するのみならず、国際社会とりわけアジアにおける日本とアメリカ諸国とのパートナーシップのあり方等を戦略的に研究し、国際シンポジウムや各セミナー、ワークショップの開催、ワーキングペーパーおよび書籍の刊行等、政策提起に結びつけることを目的として活動してきた。
しかしながら、我が国における日米研究は、量・質ともに徐々に低下をしており、日米研究に大きな関心を寄せる研究者が減少している現状がある。これにより日本の政治や政策に対する米国の理解が表面的なものになり、グローバルな課題をめぐる議論においても日本人の視点や経験を組み込むことができず、これが最近の日本の存在感の喪失にも繋がっている。このままでは日米関係に重大な影響を及ぼす課題に直面した時に的確な判断・対応ができなくなる可能性があり、長期的には日米両国関係が疎遠になり、さらには悪化することを危惧する声も上がっている。
このような環境の中、当機構では2011年に改めて日米研究の進展について検討し、次の5年間では、これまでの各研究者やプロジェクト研究所の研究に加え、学問的にも実際的にも重要な4テーマ「米国内政治」、「経済」、「安全保障」、「環境」を設定し、より積極的・総合的で政策オリエンテッドな研究を実施することとした。
このような総合的で集中的な研究事業は、当機構が2007年に設立以来これまでの5年間の研究の蓄積の上に成り立っており、また特にこれまで積み上げてきた米国大学とのネットワークは、この研究事業に多くの外国人研究者の参加を可能とし、さらに研究成果を発信するのに有効となる。 総合的で政策オリエンテッドな日米研究の形成は、日米両国の政策的対話の促進に貢献し、次世代の若手研究者の育成は、将来の日米関係の発展や強化に寄与すると考えている。
さらに地域・地域間研究機構における研究対象は、北米、中米、南米と日本・アジア太平洋、欧州、アフリカ地域の間における経済、社会、文化、歴史上の課題へと発展することを目指している。