所長
黒田 一雄 [ くろだ かずお ]
国際学術院 教授
概要
SDGs第4目標達成を目指した教育のグローバルガバナンスの理論化と実証
詳細
世界レベルの貧困格差や環境・感染症対策のような典型的なグローバルイシューに対する国際社会のグローバルガバナンスは、社会諸科学の文政ツールを用いる形で、様々な分析枠組みが提示され、これを使った実証研究が行われている。しかし、教育分野においては、未だナショナルレベルの分析が中心であり、国際開放体系下の政策枠組みを意識した研究の蓄積は乏しく、教育のグローバルガバナンス構築に向けて構造的な課題となっている。本研究の独自性は、グローバルな教育思潮や国境を超える教育活動に対する多様な政策的立場を統合し、分析枠組みを提示しようとする点である。本研究の最も核心的な問いは「国際的教育諸課題を国民国家とグローバルガバナンスの連動としていかに認知・分析し、これを国際社会としていかに解決するか」である。この問いに答える学知を生み出すことによって、SDGs第4目標の達成に貢献することが、この研究の目的である。
本研究では、SGs第4目標から、①EFA(万人のための教育)、②インクルーシブ教育、③21世紀型学力、④国際学力調査(調査の質)、⑤ESD(持続可能な開発のための教育)、⑥地球市民教育(平和のための教育)の6つの教育課題を選び出し、その研究対象とする。
そして、①この6つの国際的教育課題に関係する国際機関や国際会議の政策文書や会議資料の収集と包括的・歴史的把握、②世界比較教育学会連合(WCCES)との連携による、世界各国の各教育課題ごとの比較教育学論のメタ分析、③ユネスコ統計研究所・PISA等のグローバルな二次データの収集、④アプローチ別の事例国4各国の現地調査及び政策担当官への質問紙・聞き取り調査を実施する。そして、これらをデータベース化して国際教育政策データアーカイブを作成し、日本・海外の研究者が共同利用しながら、日本での国際シンポジウムや既存の国際会議でのワークショップを開催を通じて議論し、研究論文にまとめていく。
2013年度
平成25年度政府開発援助ユネスコ活動費補助金
インクルーシブ教育の質向上に資するユネスコ及び教育省担当官能力開発事業
- 【事業目的】
1.ユネスコアジア太平洋地域教育事務局及びアジア・太平洋地域における途上国の教育省のキャパシティ・ディベロップメントへ貢献する。
2.ユネスコ及び関係各国教育省のキャパシティ・ディベロップメントを通じて、各途上国におけるインクルーシブ教育政策につき、実証調査を基に検討し、教育の質の向上に貢献する。
- 【事業内容】本事業では、以下の3項目を実施する計画です。
① インクルーシブ教育政策調査、国際フォーラム、セミナーの開催等を通したユネスコのキャパシティ・ディベロップメントへの貢献
② アジア・太平洋地域における途上国の教育省のキャパシティ・ディベロップメントを通じたインクルーシブ教育の質の向上
③ インクルーシブ教育政策における政策評価フレームワークの構築、並びに実証分析結果に依拠した国際社会への発信
2012年度
平成24年度政府開発援助ユネスコ活動費補助金
アジア・太平洋地域における公正とインクルージョンのための教育政策調査
- 【事業目的】
1.アジア太平洋地域におけるインクルーシブ教育政策を検討し、政策研究/評価フレームワークを構築する。
2.インクルーシブ教育・教育におけるインクルージョンに関し、構築したフレームワークの政策的応用可能性を対象国において、考察・検討する。
- 【事業内容】
本事業では、インクルーシブ教育政策の中でも障害児に対する教育に焦点を当て、特に1994年にスペインのサラマンカで開催された「特別なニーズ教育に関する世界会議」で採択されたサラマンカ宣言の理念を念頭に置き、事業を推進してきました。具体的な事業内容は、以下の3点です。対象国は、アジア・太平洋地域における途上国です。① インクルーシブ教育政策における政策研究/評価フレームワークの構築
② 対象国において、構築したフレームワークの政策的応用可能性の考察・検討
③ 発展途上国におけるインクルーシブ教育の政策評価フレームワーク/調査手法の提案まず、各対象国におけるインクルーシブ教育政策をインクルージョンの観点を中心に整理・分析し、その後、各対象国において、上記の調査結果を踏まえて構築したフレームワークの政策的応用可能性を検証しました。各対象国においては、それぞれ障害児教育の状況や文化的背景、宗教、経済状況が異なるため、比較教育分析の手法を用い、国際比較を実施しながら実践への貢献に寄与しました。具体的には、対象国の教育省において、情報共有・関連議論を実施し、最終的には、関係者を招いてユネスコアジア太平洋地域教育事務局でのワークショップを開催し、広く調査成果を共有しました。
2009年度
国際教育開発フォーラム:
- 「国際教育開発・国際教育協力」報告者:ジェーン・ナイト (トロント大学教授)、ウィリアムス・ジェームス (ジョージワシントン大学准教授)
小川 恵一 (神戸大学教授) 、北村 友人 (名古屋大学准教授)、黒田 一雄(早稲田大学教授) 他詳細:神戸大学大学院国際協力研究科、名古屋大学大学院国際開発研究科と早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の3研究科が協力して、国際教育開発・国際教育協力分野の研究発表を行いました。
日時:2009年10月31日
場所:早稲田大学大学院アジア太平洋研究科
参加者:約60名
- 「急変する世界環境における高等教育の公的役割—連携と対話による多極的イニシアティブ」報告者:フィリップ・アルトバック (ボストンカレッジ国際高等教育研究センター所長・教授)、ジェーン・ナイト (トロント大学教授)、ウィリアムス・ジェームス (ジョージワシントン大学准教授)、米澤 彰純 (東北大学准教授)、北村 友人 (名古屋大学准教授)、鴨川明子 (早稲田大学助教)、黒田一雄 (早稲田大学教授) 他詳細:近年、「公共財」としての高等教育の役割が強調されるようになってきました。この背景には、プライバタイゼーションや市場化が強力に進められたことで、高等教育の公的側面がますます不安定な状態になってきたことが挙げられます。2008年の金融危機を契機として、持続的な未来の具体的ビジョンを確立するため、多極的なリンケージと対話を通じたグローバルなレベルでの協力が必要なことが改めて明らかになりました。このフォーラムでは、公共財としての高等教育の将来ビジョンのためのグローバルな枠組みと、地域及びステークホルダーの展望について、世界のトップレベルの専門家が集結して議論を行いました。
日時:2009年10月29日
助成:国際交流基金
場所:早稲田大学国際会議場井深記念ホール
参加者数:約250名
2008年度
国際教育開発ワークショップ:
- 「国際教育開発・国際教育協力」
報告者: ウィリアム・カミングス (ジョージワシントン大学大学教授)、ウィリアムス・ジェームス (ジョージワシントン大学准教授)、小川 恵一 (神戸大学教授)、黒田 一雄 (早稲田大学教授) 他
詳細: ジョージワシントン大学エリオットスクール・教育学研究科、神戸大学大学院国際協力研究科、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科の3研究科が協力して、国際教育開発・国際教育協力分野の研究発表を行いました。日時: 2009年3月27日
場所: ジョージワシントン大学ガバメントホール (米国・ワシントンDC)
参加者: 約50名
セミナー:
- 「Waseda CICE 国際教育開発セミナー」
午前の部:「世界銀行で教育政策を作る」
午後の部:「ハイネマン-ウィルソン-クリース論争:国際比較教育学へのメッセージ」
発表者: スティーブ・ハイネマン (米国ヴァンダーヴィルド大学教授、元北米国際比較教育学会会長)
日時: 2008年11月12日
司会: 黒田 一雄 (早稲田大学大学院 アジア太平洋研究科 教授)
EFA国際シンポジウム
- 「EFAの自立と持続的発展」
報告者: ニック・バーネット(ユネスコ本部教育担当事務局長補)、ロビン・ホーン(世界銀行教育部長)、ディナ・クラサティ(ユニセフ本部教育シニアアドバイザー)、西村幹子(神戸大学准教授)、山田肖子(名古屋大学准教授)、吉田和浩(広島大学准教授)、高村正彦(外務大臣)、黒田一雄(早稲田大学教授)
共催:外務省、広島大学
日時:2008年4月23日 場所:三田共用会議所
参加者数:200名
研究所員
- 勝間 靖 国際学術院アジア太平洋研究科教授
- 加藤 篤史 国際学術院アジア太平洋研究科教授
- 黒田 一雄 国際学術院アジア太平洋研究科教授
- 松岡 俊二 国際学術院アジア太平洋研究科教授
招聘研究員
- 内海 悠二 名古屋大学国際開発研究科准教授
- 亀山 友理子 慶應義塾大学経済学部特任講師
- 川口 純
- 垂水 裕子 武蔵大学社会学部教授
- 寺野 摩弓 国際協力機構(JICA)エジプト派遣専門家
- 土居 健市 Development Innovation Insider(Diinsider) Senior Researcher and Advisor
- ナジール イケダ リタ ザムザマ
- 林 真樹子 Universal Postal Union専門職員
- 平岡 理恵 京都先端大学特任教授
- MYAGMAR, Ariuntuya
- 柳 定賢 ベトナム国家大学ハノイ校日越大学講師