Organization for Regional and Inter-regional Studies早稲田大学 地域・地域間研究機構

その他

早稲田ラテンアメリカ研究所

所長

間藤 茂子  [ まとう しげこ ]
国際学術院  教授

概要

移民、民主主義、先住民研究、ジェンダー、移行期の正義

詳細

本研究所はラテンアメリカを研究領域とする多様な研究者の集合体である。早稲田大学における本領域のほぼすべての研究者が参加する利点を生かし、研究者同士の学術的意見交換とプロジェクト提案を介して、開発途上国が直面する様々な問題―貧困、未熟な民主主義、人種間対立、ジェンダー無理解、軍事政権下での人権蹂躙―の本質を解明し、その解決策を模索する。
具体的な研究テーマとして以下を提げる。
①米国のトランプ政権誕生後、メキシコや中米からの移民には厳しい移民政策が取られ、
米墨間の越境問題は世界が注目している。ヨーロッパでは西欧への東欧や中東からの移民流入に関して激論が交わされ、新入管法を昨年可決した日本において看過できないイーシューである。
②民主化を達成したと思われるラテンアメリカ諸国であるが、いまだに支配的なクライアンテリズムに依拠する民主主義の低下は21世紀においても存在し、貧困を解決できない途上国における民主主義の定着化を見守る必要がある。
③ラテンアメリカには現在でもおよそ2千万人の先住民が生活し、彼らの太古から維持されてきた文化は主流国民にも様々な影響を与え、とりわけナショナル・アイデンティティに関する研究は国家統合問題にも関係する重要なテーマである。本研究所では特にメキシコ、ペルー、パラグアイの先住民研究を行う。
④ラテンアメリカにおける社会マイノリティである女性、LGBTに関する研究は20世紀末から本格的に始まった新研究分野であり、男女格差と弱者差別が存在する日本の女性研究者が本テーマに挑戦する意味は大きい。
⑤20世紀ラテンアメリカにおいては、多くの国が軍事政権を経験した。国によって軍政の仕組みは異なったが、軍部官僚型権威主義体制のアルゼンチンとチリでは軍部による反体制派―左派系政治家・知識人、労働者、ジャーナリスト―に対する非道な人権蹂躙が行われ、多くの国民が殺害され、また行方不明となった。本研究所では犯罪者を断罪するか恩赦を与えるかという国民を二分する議論と残された遺族の心象の研究を行う。
⑥東アジアとラテンアメリカの多様な分野での比較、インターディシプリナリー研究を行う。21世紀よりアジアとラテンアメリカの比較研究が注目を集めている。2018年開催第36回LASA研究集会(Latin American Studies Association―世界最大のラテンアメリカ研究協会)では新規セクション「アジアとラテンアメリカ」が1996年設立以来初めて設けられた。本研究所では、既に東アジアとラテンアメリカの民主化と経済発展を比較する政治経済的研究が進んでいる。日系文学研究、移民研究においてもアジアとラテンアメリカを結ぶトランスパシフィックスタディーズの研究を行う。
⑦2021年度後期に第2回「ラテンアメリカン・デイ」(第1回2015年11月14日)を開催する予定である。研究者、大学関係者に限られない参加者のための集会にする。

研究報告

ニュース記事

公開講演会「廃墟における主権――ペルー・アンデス内戦後の死をめぐる権力、統治性、民衆」開催のお知らせ(3/18)

共催国際シンポジウム「次世代のラテンアメリカを形成する政治・経済的要因ー東アジアとの比較を交えてー」開催のお知らせ(3/8)
第40回ORISセミナー「ポピュリスト民主主義の形成:ラテンアメリカからの教訓」

2017年度

科研課題「想像の共同体MexAmericaの構築をめぐる米墨の相克」を調査分析し、「ワセダアジアレビュー」に「トランプ大統領と新米墨関係」に関する論文「マヤとサポテコのロサンゼルスーカリフォルニアに住むメキシコ先住民の社会」(渡辺暁)と「メキシコの新移民政策―マッチング・ファンド「3x1プログラム」の課題」(山﨑眞次)を発表した。
また、2017年度に学術交流協定書を締結したメキシコ北部国境大学(COLEF)から2018年2月5日にRafael Alarcón 教授を招聘し、「Mexican Migration to the United States in the Trump Era」というテーマで講演を実施、学内外から多くの参加者があった。
2017年12月8日、シンポジウム「ホセ・ワタナベ その作品、アイデンティティと見ることの詩学」を開催し、学内外から多数の参加者があった。
また、2017年12月4日、アルゼンチン国立科学技術研究所労働社会科学調査研究所国際リサーチセンター(CIMI-CEIL/CONECIT)のSonia Budassi教授を招聘し、「Introducción al periodismo literario(ナラティブ・ジャーナリズム概説)」というテーマでセミナーを開催した。

2016年度

  • 2017年2月6日(月)シンポジウムを開催
    テーマ:「今 キューバを考える Cuba after Castro but with Trump」
    2016年11月末、強烈な反米主義を掲げたカリスマ的リーダー、フィデル・カストロが他界し、キューバの社会主義政権は大きな節目を迎えた。一方、米国では共和党のトランプが大統領に選出され、一旦国交正常化した両国関係は予断を許さない。このような歴史の重大な局面において、キューバの未来を展望するシンポジウムを企画した。三名の登壇者は、社会主義経済を維持してきたキューバの一党体制の行方を占うとともに、これまでタブーであった人種問題がどのように再解釈されつつあるかについて専門的見地から報告した。
    シンポジウム開催当日、会場の小野記念講堂には多くの聴衆が詰めかけ、200席のほとんどが埋まった。3名の登壇者、伊高浩昭氏、田中高氏、岩村健二郎氏は政治、経済、文化の3面からキューバの現状と予測される未来について報告した。討論者の高橋百合子氏の報告に対する指摘に続き、会場からは多くの質問と意見が寄せられ、それに対して登壇者からの丁寧な応答があり、盛会のうちにシンポジウムは閉会した。
    会場がほぼ満席になるほどの聴衆が詰めかけたことは、本シンポジウムのテーマが時宜を得たものであり、日本でのラテンアメリカ研究の普及に一役買ったのではないかと思われる。

2015年度

  • 科研費の申請
    『北米大陸における新しい「共生コミュニティ」の形成』という研究課題で申請中:
    早稲田、上智、中部、山梨、愛知県立、同志社、北海道大学の7大学13名の教員により構成。
    本研究はMexAmericaという移民コミュニティの形成・発展を、ただ単にメキシコ・米国の2国の視点ではなく、経済(グローバル化)と政治(内戦と民主化)というマクロ要因の観点から分析し、同地域の移民の統合様式を検証し、さらに同地域を中心に北米大陸に新しい「共生コミュニティ」が形成されつつあることを解明する。
    代表者:山崎真次
    研究経費:19,940千円
  • シンポジウムの開催
    2015年11月14日(土)12:00~14:00(小野記念講堂)
    ラテンアメリカン・デイ
    「遥かなる南米、そこに誕生したミッション文化と先住民文化の今」
    講演者:ギジェルモ・ウイルデ(アルゼンチン科学技術研究所委員会 研究員)
    音楽演奏(南米のフォルクローレ):ルイス・サルトール(アルゼンチンのアーティスト)と早稲田大学中南米研究会の学生諸君とのコラボレーション
    イエズス会フロリアン・パウケの絵画展:伊藤滋子(歴史家);18世紀のアルゼンチンのモコビ族を描いた絵画について説明
    討論者:武田和久(高等研究所)
    司会:山崎真次(早稲田大学)
    植民地時代におけるイメージ、権力、イエズス会の土着文化への適応と先住民のキリスト教文化への順応に関して、学術報告、音楽演奏、絵画展によって教職員だけでなく一般の入場者に対しても理解してもらうためのシンポジウム。
    当日は生憎の雨であったが、100名近い人が入場し、南米の先住民文化とイエズス会の布教活動について十分な理解が浸透した。

2014年度

  • WILAS第2回研究報告会
    Latin-American-WILAS_2タイトル:先住民はなぜ反乱するのか―19世紀メキシコの事例研究
    報告者:山﨑眞次(政治経済学術院 教授)
    討論者:木下雅夫(早稲田大学非常勤講師)
    日時:2015年2月4日(水)13:00~14:30
    会場:早稲田大学1号館310教室
  • WILAS第1回研究報告会
    Latin-American-WILAS_1-1タイトル:スペイン領アメリカならびにポルトガル領ブラジルにおける先住民統治政策―カシカスゴを中心に
    報告者:武田和久(高等研究所 助教)
    討論者:山﨑眞次(政治経済学術院 教授)
    タイトル:サパティスタ自治区と周縁共同体を訪問して
    報告者:辻枝里花(社会科学研究科 修士1年)
    討論者:畑惠子(社会科学総合学術院 教授)日時:2014年11月7日(金)18:00~20:45
    会場:早稲田大学3号館609演習室

顧問

  • 山崎 眞次 早稲田大学名誉教授

研究所員

  • 伊川 健二 文学学術院文化構想学部教授
  • 石田 智恵 法学学術院法学部准教授
  • 岩村 健二郎 法学学術院法学部教授
  • ケラム マリサ 政治経済学術院政治経済学部准教授
  • 後藤 雄介 教育・総合科学学術院教育学部教授
  • 高橋 百合子 政治経済学術院政治経済学部准教授
  • 寺尾 隆吉 社会科学総合学術院社会科学部教授
  • 浜 邦彦 教育・総合科学学術院教育学部准教授
  • 間藤 茂子 国際学術院国際教養学部教授
  • ロペス アルフレド 政治経済学術院政治経済学部教授

招聘研究員

  • 武田 和久
  • 畑 惠子
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WASEDA University

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